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店長論_07

前回、「目的 → 手段」が正しい方向性であることをお伝えしました。
きちんとした方向性で考えていくためには、まずは「目的」とは何なのかということを理解する必要があります。では「目的」とは何なのでしょうか。

私は「目的」を「理想の状態・目標達成の状態にすることやその状態に限りなく近づけること」であると考えています。この「理想の状態・目標達成の状態」を「目的」として具体的に考える必要があります。
この「目的」が明確になると、次に必要なことは「現状の把握」になります。現状を把握するために使用されるのが、集計表や分析表などの「手段」や「ツール」になります。

手段やツールで現状を把握できると、「理想と現状の差(ギャップ)」が見えてきます。この「差を埋める行動」をすることで理想の状態に近づけていくわけです。例えば、優良顧客との関係構築の向上のために「店舗の全販売員が購入金額上位100名の顧客の名前と顔を覚えて、来店時には会話ができるようになること」(目的)を目的にします。そのために購入金額上100名のリストを作成(手段)し、各販売員が顔と名前がわかる人に◯をつけてもらいます。このリストでどの販売員がどのお客さんを知らないかが把握できる(現状の把握)ようになります。このリストを基に、顧客Aさんを知らない販売員Bさんは顧客Aさんが来店の際には必ず会話ができるようなシチュエーションを店全体で作る(差を埋める行動)ようにして目的に近づけるように行動していきます。

半年などの一定期間が過ぎた後に、再度リストで○を付けてもらい現状の進捗状況を確認していきます。そして、また行動していくのか、何かしら修正していくのかを考えていきます。このように「具体的な目的 → 手段で現状把握 → ギャップを確認 → さを埋める行動 → 一定期間でチェック」を繰り返していきます。この作業は「PDCAサイクル」にも当てはまります。

上記の内容は、有名なフレームワークである「As is / To be」になります。「As is」が「現状」、「To be」が「理想」です。「As is / To be」は店舗やグループなどの組織でも活用できますし、個人にも活用できる優れたフレームワークです。個人であれば「英語学習」や「資格取得」など様々なケースに利用できるので、私も多用しています。

「As is / To be」で重要なことは「To be(理想)」を具体的かつ客観的に決定することです。顧客との関係向上を目指し、理想を「お客さんにとって居心地がよく、販売員と仲が良い関係を作る」としてしまうと、「居心地が良い」や「仲が良い」は人によって捉え方が変わるため理想の状態としては「主観的・抽象的」になっています。「具体的・客観的」にするためにはやはり数字をできるだけ用いると良いです。現状やギャップも数字で出せるようにすれば、理想・現状・ギャップが一目瞭然になるでしょう(言うのは容易で、実際にやるのは難しいですが)。

アパレル店舗でもあらゆる理想を考えてみてはいかがでしょうか。
「理想の顧客管理・理想の店長・理想のカウンター・理想の入りやすい店舗・理想のストック・理想のDM内容・理想の接客」
などなど様々な物事の理想を店舗スタッフ全員で話し合ってみるのも良いかもしれません。

アパレル店舗ではブランドイメージが大切で、会社や内部からの指示が多い店舗があります。ただし、理想な状態は店舗のブランド・立地・規模・形態などで変わるものなので、会社が与える1つものが理想な状態ではありません。毎日お客さんと触れ合っている店舗の販売員だからこそ考えられる、「店舗それぞれの理想の状態」があると思います。それは販売員である皆さん自身が考えていくべきだと思います。全社で同じ考え方ややり方を行っている会社も多いですが、急激に時代の変化が起きている現在、店舗の在り方も多種多様になっているため現場の販売員が能動的に思考し、行動していくことが大事になってきます。その思考の方法の1つとして「As is / To be」はとてもおすすめです。ぜひ活用してみてください。

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