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日経がnoteと組んで「Nサロン」を垂直立ち上げできた理由【イベントレポート】

Reproさん主催のイベント「aCrew Vol.2 for Media ~日経新聞、朝日新聞、note、Gunosyの新規事業担当が登壇!メディア企業のZERO to ONE ~」に参加してきました。日経新聞の永吉さんが、日経×noteの連携についてとても強いお話をされていたので、まとめておこうと思います。

永吉さん(@nagayoshi76)日経新聞のnote担当として「Nサロン」の準備・運営、オピニオンリーダーを束ねたサイト「COMEMO」の運営を行う。

1.なぜ日経とnoteが組んだのか

最初に両社が組んだ理由について説明がありました。永吉さんは、これからのメディアに絶対な必要な条件として「コンテンツ」「プロダクト」「コミュニティ」を挙げます。日経にはコミュニティがない、という課題意識があったそうです。

そうは行っても、日経電子版の購読者数は成長著しく、有料会員は70万人に達する勢い。「コミュニティがないのに成長したのはなぜか」というのはずっと謎で、有料会員にヒアリングを重ねてきたところ、次の事実が明らかになったそうです。

永吉さん:コミュニティの代わりに「上意下達」があった。
上司から部下への「日経よく読め文化」が残っていたのです。

確かにそうかも、やっぱり大手は強いなと感じたのですが、日経では今は成長していても、これではいずれ立ち行かなくなると、noteと組むことを決意。パートナーとしてnoteと組んだ理由は3つ。

1.note自身がプロジェクト型組織だった。ピラミッド型の大企業がプロジェクト型になるには長い期間がかかる
2.コミュニティ作りのため
3.noteはコンテンツの力を信じる文化。日経とマッチした。

2.スムーズな2社連携のためにやっていること

日経ではこれまでいくつかのスタートアップに出資してきたそうですが、なかなか理想的な取り組みを実現するのが難しいとのこと。「これは大企業側に変えなきゃいけない責任がある」と永吉さん。

思うようにいかない理由の一つとして、スピード感の違いがあるとのこと。幹部層では連携に合意が取れていても、中間組織や現場など、社内のあちこちで疑問の声が出てしまう。noteと組んだときも「電子版の購読者数は上がるのか」という声はあったそう。社内説得に時間がかかりすぎる結果、プロジェクトが頓挫してしまい、うまく進んでいかなくなってしまうのです。

そこで日経は、社内に「note特区」を設置。幹部レベルで合意が取れた後は、永吉さんと上司の2人で進め、プロジェクトローンチまでは、関係者以外には細かく進捗共有をしないスタイルを貫きました。

永吉さん:大企業ですと、スタート前に仲間を増やそうというのはよく言われるところなのですが、この「note特区」によってスピード感が増しました。

3.3ヵ月7万円の Nサロンはなぜうまくいったのか

日経×noteでは、日経ファンになってくれる発信者を生むことを目標に「Nサロン」を立ち上げ。サロンでは、7つのゼミ入り放題、noteの有料サービスを利用可能、日経電子版が無料などの特典を用意し、3ヵ月間で100名のメンバーを募って始めたそうです。オンラインサロンとしては後発のNサロン、優位性や差別化をどのように作っていったのでしょうか。

勝因(1)noteをみんな書くスタイル

永吉さん:一般的に、オンラインサロンはそこにいるのが楽しい空気感がありますよね。自分の居場所を見つけるという感じがあり、それがサロンの魔力です。でもNサロンはやってみたら違いました。noteを書くという行為が自分を掘り下げる行為なので、サロンにきてその日あったことを自分なりに掘り下げる。自分に向かっている作業がある、他の人にずっと向かっていないのが大きい。仲間と群れることではないというのがよかったですね。

Nサロンメンバーでは、3ヵ月で500本のエントリーが上がったそうです。

勝因(2)7万円の価値をうまく作れたこと

Nサロンの7万円という価格設定。セミナーやゼミを多く開催している日経のスタイルだと、「7万円を支払ってもらうのであれば、情報をこれでもかというほど提供するという目線になってしまう」と永吉さん。でもその設計ではなく、コンテンツ運営に余白を作るのがポイントだったそうです。

余白があった結果、コミュニティ側で提供したゼミに加えて、メンバーが自主的に開く部活動が開催されることに。ここにはnoteの水野さんの戦略も関係していて、

水野さん:Nサロンは、自由に発言できる雑談場所をあえて場が温まるまで作らなかった。すると自発的にやりたいという話が出てきた

こうしたコンテンツ・コミュニケーションの設計も、「note特区」だったからこそ、スピード感&突き詰め感をもってできたそう。水野さんは「よくこんな『垂直立ち上げ』ができたな」とぽつっとお話していましたが、まさに垂直という表現がぴったりなのでしょう。今後どのように発展していくのか注目……するだけでなく、自分もメディアとして頑張らないとなと気合が入ったイベントでした!

※2019年6月19日10:20表現を一部修正させていただきました。内容は訂正しておりませんが、一部筆が乗りすぎの部分があり…。ご了承ください。

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