研究の第一歩はムラのボスを見つけること!~放送大学大学院で教わった「研究の基本」が目からウロコだった~
きのう、放送大学大学院 社会経営科学コースのオリエンテーションに行ってきました。
今年から、通信制の大学院修士課程1年生(受験のことなどは別ブログにまとめているので、そのうち引っ越します)。これから政治過程論、政党システム論的なことを少しずつ勉強していきたいと思っていて、それをコミュニケーションのデジタル化とうまくからめた研究ができないか、2年間で模索していきます。
オリエンテーションで指導教官の先生から教わった「社会科学研究の基本」が学問領域に関係なくとても役に立ちそうだったので、記録しておきます。
①伝えるということは「読んでもらう」ということ
なにを当たり前のことを……と思ったものの、よく考えてみると、わかったことをただ文字に起こせば伝わる、というものではない。ひとりよがりだったり、破綻していたりすれば、かたちになっていても読んでもらえない。
大切なのは「副査に読んでもらいやすい論文を書く」と意識すること。指導教官は取り組みの過程を知っているので論文がどういうものかわかりますが、初めて読む副査は、そうではない。
副査がつっかかったりせず流れで読めるような論文にすることが大切。
そのために注意することとしては、
・適度な分量(社会科学、記述メインであれば30~50枚)
・1文を短く、接続詞を使う
・段落、節、章をしっかり組み立てる
②「注」が大切
論文の内容を誰かが再現しようと思ったときにたどり着けるよう、「注」は必須。自分の領域の先行研究を読んで、注の量の相場を確認しておく。
③論文は「問いと答え」なんだ!
序論と結論が対応していないとダメ。序論に問いがないのもダメ。結論で答えていないのもダメ。ただし、書いているうちに最初に立てた問いと違うものに答えてしまっている場合もあるので、その時は序論を書き直せばよい。序論は最後に書く、という心構えで。
ちなみに、起承転結は物語を効果的に伝えるための方法であって、論文には適さない。
④学問はムラ社会 第一歩はボスを見つけること
学問はムラ社会なので、そのムラに入ることがまず大切。どんなにオリジナリティのある問いであっても、そのムラで正当性のあるものだと認められなければ、成立しない。
問いが適切なものであることを示すために、論文の序盤で先行研究について記述する。
研究のスタートダッシュを決めるにあたり大切なのは、先行研究でいちばん近い問いを立てているのは誰なのかということに、早くたどり着くこと。まったく手がかりがなければ、教科書の執筆者(=その分野のオーソリティ)から徐々に辿っていけば、安全な方法で広がりを持たせることができる。
ちなみに、いきなり検索エンジンに頼ってしまうと、クオリティの担保がなされていない様々なものがヒットするので危険。目利きができるようになってから使う方が良い。
なお、先行研究の組み合わせ次第でいくらでもオリジナリティが出る。やり尽くされていると思っても、いくらでも隙間はある。
⑤1章分が光っていたら勝ち
論文のすべての章にエネルギーを均等に割くのではなく、1章ないし2章にエネルギーを投下し、オリジナリティを出す。
⑥早い段階で目次と参考文献リストを作る
見取り図と勉強記録としてとても大事。教官がそれを見れば、なにをやりたいのかよくわかるという副産物も。
他にも印象的だったのが、先生方が繰り返し、「進捗管理が大切」「お勉強で興味を広げるのもいいけど、論文は深堀りの世界だからほどほどに」とかなりシビアなことをお話されていたこと。特に後者はぐさっときました。
さて、勉強するぞー!