アーティゾン美術館「空間と作品」
アーティゾン美術館の「空間と作品」展を見にいく。素晴らしかった。是非もう一度行きたい。かつてブリジストン美術館だった頃から通い詰めていたこの場所。アーティゾン美術館に変わり、魅力的な場末感がなくなったとはいえ、それでも都内屈指のセンスの良さ。系統としてはパリのロダン美術館やピカソ美術館といったところ。時間がたゆるりと流れる感じ。
珍しく、何枚か写真も撮ってみた。
ピカソの「腕を組んで座るサルタンバンク」を久々に見られたのは収穫。この作品、描かれたのが1923年。ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を書く前年ということで、当時のヨーロッパの濃度を感じる。本当はザオ・ウーキーの作品も見たかったのだが、今回は展示されていなかった。雪舟などはあったのに、残念。展覧会は10月14日まで。都内在住で時間がある方にはお勧めの展覧会です。
そして、相変わらずカントの『純粋理性批判』を読む日々。この後はちくま学芸文庫版のヘーゲル『精神現象学』、そして同じくちくま学芸文庫版のマルクス『資本論』を読む予定。これに本来ならばフッサールの現象学を足したいのだが、さすがに『イデーン』を読むのは辛いので、これはすでに読んだことのある木田元の『現象学』あたりを再読しようかと思っている。デカルトからカント、そしてヘーゲル、マルクス、フッサール、ついでにニーチェとハイデガー、この辺りを押さえておけば取り敢えずは、何に対してかわよくわからないが、事足りると思う。
『純粋理性批判』が書かれたのが1781年、まさに啓蒙の18世紀の後半、『百科全書』が完成したのが9年前の1772年、さらにその5年前に完成したのがスターンの『トリストラム・シャンディ』。いみじくもミラン・クンデラが言うように、哲学においては分節言語と純粋理性の追求がピークに達したその時期に、小説においては遊びと不条理が高らかにその笑いを響かせていた。
ちなみに、この文章を書きながら日曜の深夜に聴いているこのプログラム、素晴らしいです。[via music.youtube.com]