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パリに留学していた頃のこと part1

パリ第十大学、通称ナンテールに2009年から2010年にかけて留学していた。すでにパリ大学のネットワークからは外れているようではあるが、当時はパリ大学の一つとして数えられていた。ちなみに、日本で有名なソルボンヌは当時で言うとパリ第四大学。

15年前の話でもあり、いまの学部編成がどのようになっているのかは分からないが、当時所属していた学部はlittérature comparée(比較文学)。日本の修士課程を終えたのち、M2の学生としてフランスに渡った。比較文学の授業は当然のこととして、映画の授業を受講したりと、さまざまにつまみ食いをした。

パリ第十大学は1968年の五月革命の火をつけた場所。その反体制的な雰囲気は2009年の当時でも感じられた。当時の大統領はサルコジだったのだが、「くたばれサルコジ」と言った落書きが大学の壁に描かれていたりと、物々しい雰囲気が漂っていた。ちなみに、五月革命については、ベルナルド・ベルトリッチ監督の『ドリーマーズ』がおすすめ。五月革命そのものをストレートに描いた映画ではないが、その当時の雰囲気を感じることができる。映画としての完成度も高い。

The Dreamers

当時のパリ第十大学の教授たちは、若かりし頃に五月革命を体験した世代。そのせいだろうか、授業を受けながら、五月革命へのノルタルジーがあまりにも強い印象を受けた。「アーカイブには強いフランス。しかしここから何か新しいものが生まれるのだろうか?ベルリンやロンドンの方が芸術面におけるダイナミズムは宿っているのではないだろうか?」と感じたことを思い出す。

DALF C1を取得した上でフランスに渡った。フランス語への自信はそれなりにあったものの、当然のことながら現地ではほとんど歯が立たず、そんな負い目もあったのかもしれない。パリは過去に生きる街なのかもしれない、という印象を抱いた。

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