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【日記】豆苗
豆苗を買った。
安かったので。
『安い』以外の理由で豆苗買う人、いるんだろうか。
ちゃんと豆苗が豆苗であるがゆえの意味を見出している人がこの世界にどれだけいるのか…
そんなことはどうでもいい。
豆苗といえば、一回使った後も再生させてまた食べるとこまで含めてワンセットだ。
部屋に緑がないもので、こんなもんでも置いてあるだけでなんとなく心が和む。
数日経って、ニョキニョキしてきた先端を眺めていた。
走光性というんだろうか。
窓の方に向かって瑞々しい茎を伸ばし、
わざとらしいまでに艶めいた翠の葉先がどうにもたまらなくて、
切り離すでもなく、そのままむしゃぶりついてしまった。
さながら牧草を喰む偶蹄類のように。
ヒトとして食事の前に経るべき『収穫』という段階をすっ飛ばして咀嚼する気分は背徳的だった。
青臭い。
豆苗って味付けないとこんなに青臭いんだ。
それがまたいい。
自分の行為の異常性を再確認できる。
さすがの豆苗も、いきなり頭から齧り付かれた経験はそうそう無いだろう。
なんか僕、好きなモノを食べることに特別な感情を抱きがちなのかもしれない。
気付き。