『セント・オブ・ウーマン』
メルカリでの初めての買い物がアル・パチーノの『リチャードを探して』のDVD。昨日はアマゾンで頼んだ『セント・オブ・ウーマン』が届き、なんだかアル・パチーノに染まった昨日今日。夫婦で夕食を食べながらガブリエル・アンウォーのタンゴのシーンを見て、そして最後の名演説のシーンを見て、『セント・オブ・ウーマン』には改めて映画のすばらしさを感じさせてもらった。
『リチャードを探して』はシェイクスピアの『リチャードⅢ世』の映画を撮るという設定の下に、アル・パチーノが『リチャードⅢ世』に関する探究を深めていくという疑似ドキュメンタリー映画。ヴァネッサ・レッドグローブがインタビューを受けていたり、ウィノナ・ライダーがレディー・アン役で出演していたりと、かなり豪華なキャスティング。たしか、映画生誕100周年の記念として撮られた作品だったと記憶している。
ウィノナ・ライダーと言えば、当時まだできたばかりの恵比寿ガーデンプレイスの映画館に、男子高校生三人で『リアリティ・バイツ』を見に行ったことを思い出す。当時はジェネレーションXを切り取った映画ということで話題になったこの作品、すでにXはZへと移行した。
職場への行きかえり、河合隼雄のユングに関する講義をYOUTUBEでずっと聞いていた。深層心理学においてフロイトは身体を、アドラーは社会を、そしてユングは魂を志向した、という解釈がなんとも面白い。昨日は河合隼雄と森毅の対談をやはりYOUTUBEで聞いていた。その中に出てきた「現代人は死を遠ざけすぎている」という趣旨のやり取りに興味をひかれた。三島由紀夫は『葉隠れ入門』のなかで生に拘泥するものを「すくたるる」として軽蔑しているが、人生100年時代だの定年後の人生だの、そういった未来にこだわりを持ちすぎるというのもはやり気品にかける。ゲーテがたどり着いた諦観を基調として横たえる、ということも必要にはなるのだと思う。