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トランペットの神が行き着いた究極の歌

1985年録音

アンドレ52歳の妙義

トランペット協奏曲としては最もポピュラーなハイドンのEs-Dur。

アンドレくらいになると自分が保有しているだけでも8つほどの異なる録音があるだろうか?

その中でもムーティーと共演したこの1枚は私が思うハイドンの最高傑作である。

よくあるクラシック系の書評やランキングでは1971年のグシュルバウアーとの共演が紹介されるが、批評家が選ぶのもわからないでは無い。

要するに世間一般の人が思うトランペットの明るい爽やかな音のイメージがピッタリくるのがグシュルバウアー盤なのだ。

ところがトランペットを吹いた事のある人間からすれば、このムーティー盤の弦や木管の様にしなやかで柔らかい歌い方は正に神業の一言。

アンドレも歳を重ねて磨きをかけてきた表現がここまで到達したかと感嘆ししてしまう。

ゆったりとしたテンポ、アタックの柔らかさ、音の丸み等、どれをとっても他の奏者とは比較にならない歌心。

頭をカラッポにしてその響きに浸ると幸せになれます。

カップリングのブランデンブルグやテレマンも究極の演奏。

欲を言えば録音の鮮明さが足りず不満がある事だろうか?

それを差し引いてもオススメの最高傑作盤のひとつでしょう。

嗚呼同じ時代に生まれ、演奏会でも生音に触れる事が出来た事を幸せに思います。

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