Tadao-Fukami

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現代最高の名手による壮快な二重奏

現代最高との評価が多い“ホーカン・ハーデンベルガー” モーリスアンドレやドクシツェル亡き今、コンサートソリストとしては最も魅力を放っているのは間違いないところでしょうか。 最近のアルバムは現代音楽ばかり。 イ・ムジチとのバロックコンチェルトのCDは1994年。 もう25年前とは驚きですが、今聞いても古さは全く感じられないどころか新鮮にも聞こえます。 その中の一曲、録音でも比較的取り上げられる事の多い“ヴィヴァルディの二重奏の協奏曲” ハーデンベルガーと双璧を成す北

    • あまりにも上手すぎてシンセサイザーの様

      80年代のジャズシーンに登場し、モダンジャズ正統派を再認識させてくれた“ウイントン・マルサリス” クラシックのコンチェルトも録音しています。 今日紹介するのはバロック時代の曲を多重録音で仕上げたアルバム。 最大7重奏までひとりで演ってます。 あまりに上手すぎて無味乾燥な感じは否めなく、聞いててもグッとくるものが無く、多重奏の丁々発止的なやりとりも全く感じられず、まるでシンセサイザーかオルガンの様。 これはジャズでもマイルス・デイビスと比較されてよく言われている評価で

      • “C”の音に身震いする

        トランペットをやった事のある人なら皆さんご存知のアーバン作曲の変奏曲。 トランペットの技巧が散りばめられた曲集で、モーリスアンドレの上手さがこれでもかというほど堪能できるアルバムです。 収録曲のひとつ“華麗なる幻想曲”をご紹介。 イントロの派手なテクニックから入って、主題が奏でられた後、曲のはじめから3分39秒あたりの“C”の音! 技巧に聞き入って気分も高まった所に突然現れる霞の奥から奏でられる様な端正で美しい響き。。。 このたった一つの“C”の音でだけで、どれほど

        • これぞオーストリア、ウィーンの響き

          ウィーンフィル元首席“ハンス・ガンシュ”の協奏曲集。 時にオーケストラのトランペット奏者がソロのコンチェルトを吹くと何か違和感を感じてしまう事も多いが、このアルバムは正にヨーロッパの佇まい。 まるでその景色が浮かぶ様な正統派な演奏。 そしてロータリートランペットの厚めの響き。 特に原調E-durで演奏されているフンメルがお勧めです。Es-durより端正で引き締まった印象になるのがこの曲にマッチしています。 でもガンシュと言えばやっぱりオケでの演奏の方がグッとくる物が

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        • クラシックのトランペット
          6本

        記事

          野太いサウンドと師にも引けを取らない完璧なテクニック

          果たしてモーリス・アンドレの弟子が何人いるのかは想像もつかないですが、その中でもNo1なのが“ベルナール・スーストロ” 当然、師匠との共演アルバムもいくつかあるのですが、今回はマリナー指揮の物をご紹介。 VIVALDIの協奏曲でアンドレの下を吹いていますが、これまた見事なテクニックでアンドレにも引けを取らない演奏をしています。 この録音を聴く限りでは、師に寄り添った見事な共演者との印象は超えない印象ですが、ソロのアルバムもでは本領を発揮しています。 比較的どれを聴いて

          野太いサウンドと師にも引けを取らない完璧なテクニック

          トランペットの神が行き着いた究極の歌

          1985年録音 アンドレ52歳の妙義 トランペット協奏曲としては最もポピュラーなハイドンのEs-Dur。 アンドレくらいになると自分が保有しているだけでも8つほどの異なる録音があるだろうか? その中でもムーティーと共演したこの1枚は私が思うハイドンの最高傑作である。 よくあるクラシック系の書評やランキングでは1971年のグシュルバウアーとの共演が紹介されるが、批評家が選ぶのもわからないでは無い。 要するに世間一般の人が思うトランペットの明るい爽やかな音のイメージが

          トランペットの神が行き着いた究極の歌