これが私の人生
夫が、北側の和室の掃き出し窓の外に洗濯物が干せるように竿を通した。
このニ、三年私の帰宅時間が遅くなることが増え、夫が洗濯物を取り込むようになった。
私は雨が降りそうだと外には出さないが、夫は生乾きの洗濯物が臭いと言って、少しでも日や風に当てようと外に出す。
おかげでカーポートに竿を下げられるようにしてくれるなど便利にはなった。
取り入れた洗濯物をハンガーがけのまま、台所のカウンターの上の壁下りのところにぶらぶらぶら下げているのが気に入らないらしく(というか、結婚以来四十年近くこうしているのに!)別の場所をあれこれ模索して、北側の寝室を思いついたらしい。
昨日二人でホームセンターに行って、屋内外のDIY用具から使えそうなアイテムを探索した。
既存の物干し用具では帯に短し襷に長し、第一高額なのである。
ハンガーを引っ掛ける穴のついたアルミ製の物干し竿は3mもあったので、パジェロミニのルーフキャリアにくくりつけて帰った。
加えてその北側の和室に、取り入れた洗濯物や、脱いですぐタンスに仕舞うのがためらわれる上着などの一時置き場も拵えた。
はじめ、柱に屋外のベランダなどに取り付ける竿通しをつけるつもりでいたが、そんな大袈裟なものは要らないともう少し探索した。
インテリアコーナーに、アルミ製の棚受けでちょっと小洒落たカーブのあるのを見つけた。
このカーブ、竿を通すのにちょうどいいね、と言うことで採用した。
設置してみると、私のベッドのちょうど頭の上数十センチあたりに衣服の裾がひらひらした。
まるで木賃宿である。
いや木賃宿で暮らしたことはないけれど。
なんだか物悲しい気持ちになって、ぷいっとしてしまった。
押入れをクロゼットに改修すれば万事解決なのに、夫はそんな気持ちはサラサラなく、予想通りの出来栄えに上機嫌だ。
夫は創意工夫が大好きである。
亡くなった義父譲りだ。
これまででもっとも偉大な(?)シゴトは、雨どい受けの付け直しである。
二階の屋根に鉄パイプの足場を組んでやった。
落ちて死ぬんじゃないかとハラハラしたので、もう二度とやらないでほしいと懇願した。
家は夫の大きなおもちゃのようなものである。
私はため息をつくばかり。