津風呂湖百景2「入野(shiono)落雁」
R5年12月24日に「津風呂湖百景」シリーズをスタートさせたもののいっこうに筆が進まない。
それで今日、もうすぐ日が傾くという、小雨?霙?降る野外に飛び出し、吉野へ車を走らせた。
物好きにもほどがある。なにもこんな日に……
しかし、頭のどこかに「こんな日こそ、本当の自然が見える」などという天邪鬼な考えがある。「本当の」というより、ハレの好条件の時には見えない、立体的、重層的、多様な自然…といった程度のことである。
前置きはこのぐらいにして、写真多めで津風呂湖畔の集落「入野(しおの)」のことをご紹介いたしましょう。
「塩野」という地名は、全国に結構数あるであろう。しかしここ「入野(しおの)」は珍しいのでないか。でも塩野も入野も同じであって、「奈良の地名由来辞典」(池田末則編=東京出版)によると、「谷間の入り込んだ地域」のことのようである。
入野は、津風呂湖の最上流の小さな集落である。その西端は津風呂湖に接し、東端の入野峠を越えれば伊勢街道や宇陀路である。
まだダム湖のない往事、旅人とともに、伊勢や宇陀方面から峠を越えた渡り鳥(雁)もいたであろう。その群れは、入野の静かな川畔や穂田に翼を休めようと舞いおりたであろう。そんな想像をたくましくさせてくれるふるさとの原風景が、ここに、かつてあったと。
「入野橋」の向こうに「塩野 子安地蔵尊」が見えてまいりました。
銀杏の巨樹。なので子安と関係するのでしょうね。
散乱する銀杏の実。あたり一体に臭気充満しておりました。
(あ、踏んでもた!)
集落のお寺「勝光寺」。立派な本堂ですが、人の気配はありません。
ダム建設でもとの地形から変っているのだと思います。
かつては「谷間の入り込んだ地域」であったのでしょうね。
田んぼの周りのネット柵は「猪・鹿対策」です。猿が出てくるかどうか知りませんが、もし猿なら、いくら柵をしてもムダな抵抗です。農家泣かせの獣害は中山間地域の深刻な問題です。
傾いた「入野橋」の親柱。
ダム湖の周りや集落を一周してきますと、東の空がすこし晴れてきました。
「入野」の位置ですが、津風呂湖MAPの右端の「現在地」になります。さらに右(東)へ行くと、伊勢感動、宇陀路です。
こうして津風呂湖やその畔の集落を一周し、大和盆地まで帰ってきますと、西の彼方に二上山が見えてきました。
なぜかほっとする自分にどう対処すればよいのでしょう?
2024.1.13
「津風呂湖百景3」へつづく。