改造詩人弐拾捌号「滲んで輝く」

泣きそうな空を見上げながら
ぬるいコーヒーを持て余している

南に飛んでいった渡り鳥は
いつになっても帰ってこない

水たまりには夢が映る
波紋の向こうで 
笑いながら踊っている

どんなに遠くへ歩いても
あの虹には届かない

どんなに高く跳んでみても
あの星は手に入らない


朝のきらめきに眠りを起こされて
輝く世界で胸は淀んでいる

空っぽの部屋で花びらを広げる
マリーゴールドが目に沁みる

馴れ馴れしい笑い声が
輝いて
何も見えなくなってしまった

なくしたものを追いかけても
温もりは戻らない

遠くへ行ったお前の背に
「ありがとう」は届かない

この夢はきっと叶わないけど
あの虹に手は届かないけど
星は自分のものにならないけど
なくしたものは戻らないけど

悲しみしかないかもしれないけど
何も手に入らないかもしれないけど
泣き続けるだけかもしれないけど
失い続けるだけかもしれないけど

この脚は歩きたがっているから
この胸は生み出すことができるから
この手は誰かと繋がっているから
悲しみしかないかもしれないけど

何も手に入らないかもしれないけど


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