改造詩人参拾号「世界で一番大事なのはワタシなので」
ワタシの中にはワタシという人格があって、形而下世界には内的作用によって動いているワタシの肉体がある。
ワタシはワタシを見つめていて、世界はワタシの肉体(形而下世界の中で世界に干渉する一単位。ブラジルの一匹の蝶)を見ている。
ワタシの肉体にやどるワタシの人格は、ワタシの肉体の中で生きるワタシにとっては世界そのものであるが世界に於けるワタシの肉体(人格を内包するもの。人格の船)は世界と他人によって揺り動かされるので、ワタシは常に形而上的な災害に振り回されている。ワタシの人格(”ワタシの世界”の柱)はひっきりなしに揺れて、跳ねて、曲がって、しなって、へこんで、ワタシはこの世の終わりを何度も予感する。
あー……お願いだからそんなに揺らがないでいただけませんか……?
あんたがそんなに揺れてると、ワタシはどうにかなってしまう。
外の世界はそんなにか。
あんたの周りに、知らない人たち集まって、あんたにアレコレを口を出す。
それはおかしいでしょ。あ、私、それ好きじゃないわ。何が好きかは教えないけど。ほら、走りなさい。そっちじゃない。お前はダメだね。てんで、ダメ。何にもできないね。どうしてこうなっちゃったんだろうね。ほら、失敗。お前人様に迷惑かけてんじゃねぇよ!!!!図々しいやつだな。恵まれてるくせに被害者ぶってんじゃねぇ。お前、幸せにはなれないよ。言うこと聞かないと知らないよ。ま、私はどうなっても知らないんだけど。
いやいやいやいや、
いやいやいやいや、
お前ら誰だよ。
なんで勝手に入ってるのよ。
あんたが招き入れちゃったのね。
ワタシの不安定な柱。
出ていきなさい。出ていきなさい。
ここはワタシの世界なの。
あんたら勝手に入ってきて、アレコレに好きに言うけれど、
責任とってくれるのかい。
ワタシの柱が真っ直ぐ立つと、責任とってくれるのかい。
帰った帰った。無責任なクリティック。
帰った帰った帰れってんだよボケナスバカタレ。ふざけやがってお前らマジで、
ここはワタシの世界だよ、
ワタシが安らぐ場所なのよ、
勝手に入ってベラベラベラベラ、
ワタシの柱を捻じ曲げて。
ワタシの柱に、水を与えてくれるのかい。
抜けない棘を、抜いてくれるのかい。
なんにもしてはくれないね。
帰った帰った。
ワタシの張り手はすごいのよ。
押し出し、押し出し、↑+B復帰は許さねぇ。
さぁ、さぁ、出ていけ出ていけ。
自慢の張り手をくらいなよ。どんなやつでも追い出すよ。
ワタシにゃこれしかないからね。
ワタシの世界の大黒柱。どうか真っ直ぐ、立っておくれよ。
自分のことだけ見てくれよ。
誰も助けちゃくれないけれど。
自分の好きな色眼鏡。
楽しいんだったらそれでいいよ。