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「毒親」「愛着障害」を知り、抑圧されていた自分に気づき、負の連鎖を断ち切ろう

赤羽雄二さん『自己満足でない徹底的に聞く技術』で書かれている
アクティブリスニングを実践中の畑中です。

気付き・学び

今回は、『「毒親」の正体』(著:水島広子)と『愛着障害』(著:岡田尊司)を読んでの気づきをシェアします。

子どもへの虐待のニュースを聞くたびに、「どうして虐待するような人になってしまったのか」とか、「なぜそんなひどいことをできるのか」と思って、いろいろと原因を想像したりしますよね。

「毒親」問題の難しさは、こういった「なぜ」に対して、一見分かりやすいようなストーリーが刷り込まれていることにあるというのです。例えば「親は不幸な自分の身代わりに子どもをコントロールしてきただけ」「そもそも家族なんて幻想」というストーリーです。

他には、特に決めつけの強い「因果論、例えば、母親は同じ女性として娘に嫉妬するものです。そんな「洗脳」を受けてしまった人たちを精神医学的に癒し、より現実的な家族関係を構築する必要性をこの書籍は説いていました。

「毒親」を持つ人は、「なぜうちの親はああなのだろう」といろいろ考える中で、様々な「解釈」をしていきます。「コントロールばかりする」という意識が強すぎると、「解決策」は「離れる」ことしかなくなります。近くにいる限り、コントロールされてしまうからです。また、「毒親」を持つ人のほとんどが、何らかの自己否定感や罪悪感を抱かされて育っています。その「解釈」は往々にして「かわいそうな親」を中心に形作られます。小さな子どもは、自分と親を切り離して考えることが基本的にできないので、「かわいそうな親」の原因は自分にもある、と思ってしまうのです。だからこそ、一般的には適切な対応だと思われることでも、「かわいそうな親にそんなことをしたらさらに傷つけてしまうのではないか」などという遠慮を生み、実現しなくなってしまいがちなのです。実現した場合でも、かなりの罪悪感を生むことになります。
 ですから、「毒親」問題を癒していくためには、「解釈」ではなく、「知る」ことがとても重要なのです。

『「毒親」の正体』(著:水島広子)

「毒親」問題を癒していくためには、「解釈」ではなく、「知る」ことがとても重要

毒親の抱える4つの精神医学的事情

(1)発達障害タイプ
  ・自閉症スペクトラム障害(ASD)
  ・注意欠陥・多動性障害(ADHD)
(2)不安定な愛着スタイル(不安型と回避型)
(3)うつ病などの臨床的疾患
  ・トラウマ関連障害
  ・アルコール依存症
(4)DVなどの環境問題
  ・深刻な「嫁姑問題」
  ・親になる心の準備不足
  ・障がいのある子の育児など、圧倒的な余裕のなさ
  ・親の親も「毒親」だった
  ・子育てより大事な「宗教」など

『「毒親」の正体』(著:水島広子)

「毒親」の場合は、上記のような精神医学的事情を抱えていることが多く、一面的な「解釈」では現実と合わないことも多いそうです。

にもかかわらず、子どもは、親の人生をあれこれ想像して、親にとって最も優しい解釈を選ぶ傾向があり、それが現実とずれていることが多いそうです。つまり、その「解釈」が、子どもの負担を増し、結果として子どもが病気になってしまうというのです。

持病持ちの母と父の存在

私が小学生の頃、父親から、「生まれてからしばらくの間、養護施設に預けていた」と教えてもらいました。

年子である兄と私を育てている母親が、持病を発症し、自営業の父は仕事と家庭の両立ができず、一時期、泣く泣く子どもを養護施設に預けることにしたそうです。

この話は、父がお酒を飲んで酔ったときに、涙あり笑いありで、幾度となく話をしていました。

  • 毎週末、父親が養護施設に面会に行っていたが、散髪して訪問すると人見知りをして私が泣いて、施設の先生にしがみついていたこと

  • 1つ上の兄から「いい子にしているから家に帰りたい」と頼まれ、涙が止まらず兄だけは家で育てることにして、施設から連れ帰ったこと

  • その時期に、自分の手で育てることができなかったことを申し訳なく思っており、私がしたいということは何でも応援してあげよう!と心に決めたこと

  • 母が病院から退院し、家族4人で後楽園遊園地へ行き、最前列で仮面ライダーショーを兄と私が並んでみていたとき、悪役が近づき怖がって逃げ出した私を、後ろで見ていた父が「おいで!」と抱きかかえようとしたら、するっと、すり抜け、どこまでも一人で走って去り、この子は強いな、こうやって生きていくんだと感じたこと

  • ご近所の方たちが、気にかけてくれ、助けてもらって、育てることができたこと

私には、養護施設に預けられていたころの記憶は全くないので、父からこの話を聞くたびに「そんなことがあったんだね」と聞いていました。父が、湿っぽく話すわけでもなかったので、むしろ笑って聞いていた記憶があります。

私が、小学生~大学生の期間も、数年に一度、生活環境が変わるごとに、母は数週間ほど持病を発症し、そのたびに、兄、父と協力しながら、何とか乗り切ってきたことは鮮明に覚えています。

この経験は、大変なことは、家族と協力することで乗り切れることや、苦楽を共にしたからこそ家族とのつながりが強くなり、私にとって、生きる力を培ったものだと認識していました。

この経験がマイナスではなく、プラスにつながっていると考える反面、

心のどこかで、

  • 母が病気になるといけないから、あまり困らせたり、負担をかけてはいけない

  • 兄や私の子育てが大変で、母にストレスがかかり病気になってしまった

  • 母に心配をさせたり、無理をさせてはいけない

  • 私まで元気をなくしたら、父も大変だろうから元気でいなくちゃいけない

  • 父まで病気になってしまったらと考えると不安で仕方ない

そんなことを感じていました。
でも、そんなことは言ったり、考えたりしてもいいことがない気がして、見ないふりをしてきたからかもしれませんが、次の文章を読んで涙が出てきました。

親にどんな事情があったにせよ、第一章(「毒親」は子どもを振り回す)でお話ししたように、そこで育つ子どもは大きな影響を受けるものです。「どんな環境でもすくすくと育つ子ども」など幻想です。また、「環境の影響を受けるなんて、人間として弱い」というのも、間違った認識です。

「自分は子どもとして不適切な環境で育った。そして、それは自分のせいではない」ということを認めるのは、「自分自身の癒し」にとって絶対的に必要な認識なのです。

この妨げになるのは、「何でも親のせいにするのか」「親のことを悪く言うものではない」「今さら昔のことを蒸し返しても」というような反論でしょう。

これらの反論が力を持ってしまうのは、子ども自身が、そんな感覚をもともと(少なくとも、どこかしらで)抱いているからなのです。これには先述したように「子どもはかくも優しく親を思う」と言うほかない子どもの本質も関わっているでしょう。だから、「悪かったのは自分ではない」と割り切ることができずにきているのです。

『「毒親」の正体』(著:水島広子)

子育て環境は、愛着形成に影響を与える

『愛着障害』(著:岡田尊司)には、このようなことが書かれています。

 愛着の形成の臨界期は生後半年から一歳半の期間だとされるが、最近の研究では、生まれた直後から半年までの間でも、すでに愛着形成が始まっており、早期に母親から離された場合、社会性の発達などに影響があることが認められている。
 つまり、一歳半までの期間に養育者との間で愛着の絆が確率されてないと、安定した愛着の形成は困難になりやすいのである。

『愛着障害』(著:岡田尊司)

父から聞いた私の経験は、人生を生き抜く力をつけた美談ではなく、私の愛着形成に影響を与えたできごとだったようです。

そして気付いたことがあります。それは、私の育児の怒りの原因は、

  • 私は、子どもの頃にそんなにわがままを言わなかったのに、なんでこんなに自由なのか?

  • なぜこんなに自由にしているんだ?

という私の幼少期のころに抑圧されていたものが刺激されるからではないかということです。

そんな風に怒りの原因を自分の生い立ちから振り返れたことで、私の育児のイライラが劇的に減りました。

「子どもは子どもらしく育っているだけで、子どもは何も悪くない」ということに気づいたのです。

「安定型」の愛着スタイルを子どもの内に形成することが、私たちの誰もが求める「子どもの自己肯定感が育つように」「他人とちゃんと交流でき、信頼関係を作れる大人になれるように」「幸せな家庭を築けるように」という目的に合った育て方です。

『毒親の「正体」』(著:水島広子) 

『毒親の「正体」』『愛着障害』の書籍を読んで、毒親の正体や自分の愛着障害を「知る」ことで、大きな一歩を踏み出せました。これを「知った」上で、育児ができることは、自分が「毒親」にならないために大きな意味があると感じます。

「安定型」の愛着スタイルと子どもの内に形成するために、子どもの話を徹底的にアクティブリスニングしたいと思います。

書籍を書いてくださった、水島広子さん、岡田尊司さん、そしてこれらの書籍を紹介してくださった赤羽雄二さんに感謝しています。

苦しくつらい子育てから抜け出し、家庭を安全基地にしたい方へ、情報を更新しています。

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