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書籍紹介:生い立ちと業績から学ぶ精神分析入門: 22人のフロイトの後継者たち
私が精神分析を学ぶ上で役立った本を紹介する。
といっても、精神分析の中身の話ではなくて、そもそも精神分析とはどんな学問なのか?を意識させてくれた本だ。まえがきにはこうある。
私たちは、本セミナーで工夫したこの講義の方法(理論や技法をその人物の生い立ちと絡めて理解する方法)が精神分析講義の入門講座ではかなり有効な認知的学習になると知った。それとともに、講師間では私たちの実施している入門講座を広く精神分析を学ぶ方々とも共有してはどうかと本書刊行の決意をし、原稿のまとめと編集作業にはいった。
私は理系で工学部出身であるが、例えばボーアモデルとかシュレディンガー方程式を学ぶのに、彼らの生い立ちを学んでいない。いや、読み物としてはあるし、講義でも小話程度には聞いたかもしれないが少なくとも彼らの理論の理解に、彼らの生育環境の知識は必要性を感じない。
しかし、この本は「読み物」ではなく、精神分析における様々な理論の理解の糧として書かれている。こういう理解の仕方が必要だと割り切ると、「精神分析を学ぶ」感覚が分かってくる。
現状私は、フロイトを尊敬しつつ、心のモデル自体はフェアバーンを参照し、心の分析には、クラインやウィニコットを参照することが多い。そして、ビオンはまだ良くわからない(もちろん、前述の分析家のことも分かっているとは口が裂けても言えない)。
人ベースで理論を考えることで、精神分析全体の学びの見通しが立てられるのは確かだと思う。
それぞれの理論の論理的な正しさや矛盾、定義の重複が気になってしまうと、精神分析は読めない。心のモデルの仮説と臨床での話が、人ベースで語られて積み重ねられていると分かると、(少なくとも)戸惑いはなくなる。
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