佐藤 忠彦

有限会社トリガーデバイスやってます。岐阜県大垣市。 https://www.triggerdevice.com https://twitter.com/sato99

佐藤 忠彦

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マガジン

  • 精神分析の途中

    経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。独学なので、解釈の正誤はわかりません。佐々木正悟さんのこちらのポッドキャストがきっかけです。https://open.spotify.com/show/4l5kx9Yxs4VdGJVK7h9kga

  • アマチュア精神分析(3チャレ通信)

    • 42本

    「マンガで読む精神分析」を改めて「アマチュア精神分析」とします。

  • 地方でクリエイティブに生活する

    地方で、クリエイティブな仕事をしながら生活していく工夫を書いていきます。

最近の記事

コラム:あしながおじさんの話(エディプスの情景)

経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で思い出した実体験に関して書いています。 私には進路に悩んだときに相談してきた人がいる。ここではAさんとしよう。Aさんは私の親の会社の社長で、大学に入るときの大学選びと就職するときの会社選びの時にアドバイスをもらった。 Aさんは学生時代に家庭教師をしていたそうで、大学受験に知見があったし、私が大学4年の時は、退職されて東京でどこかの会社の相談役をされていた。 彼の言葉には親や親類、学校の先生にはない独自の視点と重み

    • コラム:入院中の思い出(社長という役割が出来ている理由)

      経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で思い出した実体験に関して書いています。 小学校1年から2年生の1.5年くらいの間(1980年頃)、私は急性腎炎で地元の病院に入院していた。そしてこのことは私の性格形成に大きく影響していると感じている。今でも思い出すエピソードを書いていく。 月に1回、たくさんの医師が患者を回って治療方法を確認・検討するようなイベントがあった。 私が入院していたのは6人の相部屋で、保護者は締め出され、患者(子供)だけになる。ベッド脇

      • とり入れ、体内化、内在化、同一化

        経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。 精神分析を学び始めての最初の興味は、やはり投影とか転移とか外部に対して能動的に行なっている振る舞いだった。これは私の悩みの大部分が肛門期以降だからかもしれない。しかし、精神分析を学び始めて少し経つと、外のものを心の中に入れる口唇的な現象に関心が出てきた。 この分野でも精神分析の言葉の解像度は高い。とり入れ、体内化、内在化、同一化、と微妙な違いで言葉を分けている。 体内化 い

        • コラム:本当の食欲を知った話

          20代の後半に起業して、しばらくして大きめのプロジェクトが続いた。マネージメント的な仕事も多く、気疲れも多かったのだろう、あるプロジェクトの終わりには本当にクタクタになってしまった。 そのプロジェクトの打ち上げは焼き肉屋(これも自分でセッティングした)で、クタクタMAXの中でなんとなくレバ刺し(まだそのころはレバ刺しがあった)を食べた時にそれは起こった。 口中に広がる生のレバーの血の味に、目が覚めて意識が戻った気がした。視界のモヤが晴れて、モノの輪郭がはっきり見えた。食べる

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        • 精神分析の途中
          18本
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          10本

        記事

          空想

          経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。 空想、これは大変日常的な言葉だ。精神分析の専門用語は、日常語が使われることが多いので独学していても面食らうことが多いが、この「空想」も相当である。 英語では一般的な空想には「fantasy」、無意識的な空想には「phantasy」が使われており、一応言葉は分けられている。 さらっと、「無意識的な空想」と出してしまったが、意味は分かるのではないだろうか。無意識にしてしまう空

          躁的防衛

          経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。 これは、精神分析では大変よく使われる言葉だ。投影同一化と同じく解釈の幅も広いが、大まかなところは荒っぽく簡単に言うこともできる。 なにか辛いことがあったときに、明るく振る舞ったり、強気になったりして、本来の辛さから心を防衛する仕組みだ。多くの人に馴染みのある行為だ。 辛さや不安から自分を守っている働き全般を「防衛機制」と言う。躁的防衛はその一部で他にもいろいろなパターンがあ

          転移と逆転移について

          経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。 転移・逆転移はまさに臨床の場の言葉で、患者と治療する人(医師やカウンセラー)の関係を前提にしている。扱っている事象としては投影・投影同一化と近い。患者が過去の経験や感情、人間関係を相手に投影するのが転移、その逆でカウンセラーなどが患者に対して転移するのが逆転移である。 投影・投影同一化は現象を記述しているだけだが、転移・逆転移は臨床から見ての「立場」とか「姿勢」を含んだ言葉

          転移と逆転移について

          口唇期、肛門期、男根期、停滞期、生殖器期

          経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。 フロイトを学び始めると、この言葉はすぐに出てくるので、「うわっ」となる。あまりに言葉が生々しい。漢字が生々しいからと思って、原文を見ても同じく生々しい。私は大学生の時に、フロイトを少し読んだ記憶があるが、ここで挫折している気がする。 フロイトは、人間の乳幼児期から青年期までのリビドーの発達のモデルを考えて、性格が形成されていく過程を分析した。 (リビドーも難解なので別で扱い

          口唇期、肛門期、男根期、停滞期、生殖器期

          コラム:入院中の思い出(水をたくさん飲む検査の話)

          小学校1年から2年生の1年半くらいの間、私は急性腎炎で地元の病院に入院していた。このことは私の性格形成に大きく影響していると感じている。今でも思い出すエピソードを書いていく。 水をたくさん飲むという検査があった。量は正確に思い出せないが0.5~1リットルくらいだったと思う。腎臓病で入院していたので腎臓の機能を検査するのだろう。そのあとのおしっこはすべて溜めておいてあとから調べていたようだ。 この検査が私は嫌いだった。私は小学一年生で体重が17キロぐらいで小さかった。缶ジュー

          コラム:入院中の思い出(水をたくさん飲む検査の話)

          書籍紹介:生い立ちと業績から学ぶ精神分析入門: 22人のフロイトの後継者たち

          私が精神分析を学ぶ上で役立った本を紹介する。 といっても、精神分析の中身の話ではなくて、そもそも精神分析とはどんな学問なのか?を意識させてくれた本だ。まえがきにはこうある。 私は理系で工学部出身であるが、例えばボーアモデルとかシュレディンガー方程式を学ぶのに、彼らの生い立ちを学んでいない。いや、読み物としてはあるし、講義でも小話程度には聞いたかもしれないが少なくとも彼らの理論の理解に、彼らの生育環境の知識は必要性を感じない。 しかし、この本は「読み物」ではなく、精神分析に

          書籍紹介:生い立ちと業績から学ぶ精神分析入門: 22人のフロイトの後継者たち

          コラム:溺れたことを思い出したら泳げるようになった話

          高校生まで水泳が苦手だった。25mくらいしか泳げなかった気がする。小学校の少年団(サッカー)、中学(テニス)、高校(バトミントン)と部活動ではレギュラーメンバーとして公式試合に出ていたので運動神経は悪くなかったと思う。しかし、水泳だけはできなかった。水の中に入るとドキドキして焦ってしまう。練習不足だと思って、家の近くの温水プールで1人で特訓していたことを覚えている。 高校1年の夏に暑くてお風呂で水を浴びていたら、小さい頃に駅前のパチンコ屋の噴水に落ちて溺れたことをふと思い出

          コラム:溺れたことを思い出したら泳げるようになった話

          「環境としての母親」の「母」は気にしない

          経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。 精神分析における「母」の扱いは、日常で使う抽象度とは違う。私は独学を始めた最初から、これは「母」ではなく別の言葉を当てたらいいのではないかと思っていたが、臨床現場の話などを読み進めると、まあ「母」としか言いようがないよな、と感じるようになった。精神分析は哲学とは違う。精神分析は人に手当をするのが目的なので、「母」を使った方が説明や治療が行いやすい(誤解があっても修正できる)と

          「環境としての母親」の「母」は気にしない

          投影、投影同一化(投影同一視)

          経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。 「投影」は普段でも使う言葉だが、精神分析ではちょっとニュアンスが違う。日常では「映画の中の俳優に父を投影した」など具体的な面影や仕草を映し出している感じがするが、精神分析では、もっと心情や心のモヤモヤしたものを堪らなくなって投げつける感じだ。 例えば、友人Aに不安や恐怖(自分では気がついていない)を感じている時に、モヤモヤするので堪らなくなってその気持ちを友人Aに投影する。

          投影、投影同一化(投影同一視)

          妄想分裂ポジション 抑うつポジションにおける「ポジション」の意味

          経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。 最初この言葉に出会った時、「妄想分裂」「抑うつ」という少しドキッとする言葉と「ポジション」という組み合わせに混乱したことを覚えている。 個人的には「妄想分裂」「抑うつ」という日本語訳がしっくりこないので妄想分裂(paranoid-schizoid)、抗うつ(dipressive)の略語で、PSポジション、Dポジションと呼ぶことにしている。 いろいろな本での説明を読んだが、私

          妄想分裂ポジション 抑うつポジションにおける「ポジション」の意味

          対象(内的対象)について

          経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。 精神分析において「対象」とは、心の中の話であり、あえて「内的対象」と書かれることもあるが、ほとんど「対象」という言葉で済まされる。 私が独学しているのは主には「対象関係論」であるが、これも初めて聞くと外部の対象と自分の関係を思い起こさせるし、似た言葉で「対人関係論」なんてものもあり、間違えやすい。 対象関係論というのは心のなかにある「対象」(誰かのイメージであるかもしれない

          対象(内的対象)について

          一次過程、二次過程について

          経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。 精神分析を読む時に大切な概念が、快楽原則と現実原則という人間の行動原則の捉え方である。生まれて間もなくは快楽原則に包まれている。不快なことがあれば泣き、身体をバタバタさせ表現する。それによって「母」はミルクをあげたり、オムツを替えたりして、その不安を解消してあげる。その際の「母」は赤ちゃんにとって、他者ではなく環境であり、自分と同一化している。ここが一次過程。 発達が進むと、

          一次過程、二次過程について