テセウスの船
テセウスの船は同一性の問題の矛盾を指摘したギリシャ神話を基にした
逸話でテセウスのパラドックスとも言われています。
テセウスがアテネの若者と共にクレタ島から帰還した船には
30本の櫂があり、アテネの人々はこれをファレロンの
デメトリウスの時代にも保存していた。
このため、朽ちた木材は徐々に新たな木材に置き換えられていき
論理的な問題から哲学者らにとって恰好の議論の的となった。
すなわち、ある者はその船はもはや同じものとは言えないとし
別の者はまだ同じものだと主張したのである。
これってオールドヴァイオリンにも言えませんか?
現存するオールドの弦楽器で、製作当時の木材が
全て残っている弦楽器はまず無いと思います。
オールドの弦楽器は継ぎネック修理されているのがほとんどでしょう。
指板下がりが起きているからという理由もありますが
基本的にオールド弦楽器と最近のモダン弦楽器では
指板の長さも違うしネックの取り付け角も違うので
モダン弦楽器仕様に継ぎネックによって改造されているのです。
継ぎネックはボディからネックを外し、ネックから渦巻きを切り離し
新しいネックにボディと渦巻きを接着します。
渦巻きを新しくしても良いのですが、製作者の意匠が出る部分なので
そのまま切り取って残し繋ぎ直して使う事が多いようです。
他にも表板や裏板、側板の割れや反り等の修理も行われているでしょう。
フィッティングに関しては確実に新品に付け変わっています。
木材が新品に置き換わっているオールド弦楽器を
オールド弦楽器と呼んで良いのだろうか?
という素朴な疑問が浮かびますよね。
まるでテセウスの船だなー・・・?