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パイプオルガンは古くて新しい
すみだトリフォニーホールでサン=サーンス交響曲第3番オルガン付きを
弾いてきました。今年2回目のオルガン付きです。
先月にメンデルスゾーン交響曲第2番讃歌を弾いているので
今年3回目のオルガン合奏を経験いたしました。
すみだトリフォニーホールの巨大なパイプオルガンの
実物が鳴るのは初めての経験でした。
横浜みなとみらいホールやミューザ川崎にも
巨大なパイプオルガンがありますね。
巨大なパイプオルガンの構造的にはかなり古く紀元前の古代ギリシア
教会などで使われるようになったのは13世紀といいますから
ヴァイオリン族より歴史が古いのです。
とはいえ絶えず進化を続けて来た楽器ですので
実は現在ではとてもハイテクなのだそうです。
昨日の演奏会の打ち上げでオルガン奏者さんに質問をしてきました。
・パイプに空気を送るのは電気式
古いパイプオルガンは貯めた水の水圧で空気を送る水圧式。
ふいご職人が人力で風を送り続ける人力式でしたが
現在のパイプオルガンは電動でファンを動かし
パイプに空気を送っています。電動ファンの出す音を隔離するために
舞台から離れた別のフロアから送っているとの事でした。
・空気は無音の時も常に送られていて鍵盤を押した時だけパイプに繋がる
鍵盤を押してから空気を送ったのでは発音が遅れて間に合わないので
常に空気は送られていてパイプには繋がらない状態で
鍵盤を押すた時にだけパイプを繋げています。
パイプへの送風には2重のロックが掛かっていて
レバー操作による音色や音量のチョイスで送るパイプを決め
1つ目のロックが掛かり、鍵盤で2つ目のロックが掛かります。
・音量調整はパイプの数で行う
音量調整は電動ファンの風圧調整で行っているのではなく
コチラは常に一定で音量調整はパイプの増減で行っているそうです。
同じ性質のパイプが上段、中段、下段に
3組配置されていてコチラの増減で行うそうです。
微弱音を出す時には1組だけペダル操作でパイプに送る風量を
段階的なシャッターの開け閉めで出来るそうなので
この1組のパイプだけを接続しペダルで音量調整するそうです。
通常、このペダル連動の一組は最上段に配置されるそうです。
微弱音は上から降ってくるんですね。
・音色調整は倍音パイプで行う
レバー操作にて倍音の増減が出来ます。
1オクターブ上の音、1オクターブと5度上の音
2オクターブ上の音、2オクターブと3度上の音
これらの増減で音色を創ります。
作った音色の音量調整は複数パイプの増減で行うので
レバー操作による操作の組み合わせは膨大となります。
・音色保存はハイテク
前述の通りにレバー操作の組み合わせは膨大ですので
pやfの指定や音色変化の度にレバー操作が発生しますし
以前は奏者とは別に助手がレバー操作をして
二人がかりで演奏していたそうですが
現在ではコンピューター制御で事前に作った音色や音量の
レバーセッティングをUSBメモリに保存し
セレクトボタンで呼び出すのだそうです。
・指揮はモニタで見ている
鍵盤の上部に四角い2つの枠がありますが
1つは鏡、もう一つはディスプレイモニタだそうで
コレを使って指揮を見ています。
モニタの方が見やすいそうですが、遅延もあるので
大まかなテンポ感覚はモニタで掴み
シビアなタイミングは鏡で判別しているそうです。