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ガンジャ先生。7-11
それぞれの誓い
昼から夕方へと変わるとき。
不意に風が止まる事がある。
温度が一気に上がり太陽が焼き尽くす。
ちょうど話終えた時そんな感じだった。
Coldplay - Hymn For The Weekend
僕が話終えると音が止まった。
泣くわけでもなく淡々と。ただ、伝えた。
街の雑踏やカフェの曲は鳴っているのだが。
沈黙が続いていた。
「そんなの。。ひどいよ。。匠くん。よく頑張ったね。グスッ‥」
「そうか。ありがとうな匠」
プイさんは所々わからない言葉があったのか、何も言わなかった。でも悲しい顔してる。
「んでどうするか?昨日みんなで学校行こうと言ってたが」
「はい?僕が?」
「・・でかい声で言ってたよ。お前も飲むとトブタイプか」
「そうなんですか。。他に何か言ってましたか?」
「「おっパイパラダイス」」
・・・殺してくれ。
「匠の件は了解した。まあ何とかなるだろう。後でまた呼ぶ。しかし暑いな。アイスでも食うか」
「ハイハイ〜マンゴーだね♪オマカセ♪」
僕らは露店へ移動し、マンゴーアイス買ってホテルに戻った。
プール際で仲良く雪菜と食べた。
先程の重い空気は引きずっているが、とりわけマンゴーアイスは美味しかった。
「うふふ。おっパイパラダイス(笑)」
「おい」
☆☆☆
その頃。。マッサージ屋では。
「ふぁぁああー♪」
「んぎっ!ングッ。。やるわね。。力が強ギッ」
「歩ちゃんやばいね〜タイマッサージ。。うふ♪」
「これ延長決定。。茜残りいくらある?」
「1300くらい?まだ余裕♪サバーイサバーイ♪」
「オバちゃん2時間延長で!ジップ!ジップ!痛いってwカーー!」
『チンロー?』
「バオバオ〜カ〜♪」
いつの間にタイ語を覚えてる二人。まあいいけど。
※オバちゃんも疲れるので延長は基本1時間で。
その頃タツヤと未亜は。。んー。く〜。それぞれ部屋で寝まくってた。
まあタツヤ昨晩床だったしな。
□□□
カフェでメールを取ったラップトップ開く。
まずは何よりフルムーンパーティー乗り越えたのは良かった。
まあ歩、匠と迷子もあったが。。
これで一通り相談は受けれたと思う。
メールが来ている。
〜
岩屋パンガンか?
無事終わる事を祈っておく。。
こちらだが、未亜の母親と連絡はついた。
しばらく預かる形で家から通わせる。
まあうちのチビも4才なので仲良くしてもらえると思う。嫁は大喜びだ。
あと、プイさんが心配してたので、もう10万バーツ振り込んである。
予算は気にするな。興味深いようで大学側のうつ病の教授より支援を頂いている。
ダイビングとうつ病改善方法とか。。。もしよければ話を聞いてあげてくれ。多分タイにいくぞ?その人。
予定が伸びるが無理して帰らせなくてもいい。
チケット関連はプイさんに送った。
あとクラス替えは。。今日の会議次第だ。
うまくいくといいがな。
ではまた何かあれば連絡を。
山本
〜
ふむ。未亜は大丈夫だな。なっちゃんもう4才になるのか。本当に良かった。
しかしまあ。。報告する事が多すぎる。
ゆっくりと歩のこと。
茜ががんばったこと。
タツヤが少し考えだしたこと。
雪菜の事件のこと。
匠のこと。。。Del押して消す。
匠の件は今日には決着をつけてみる。と最後書き直して。
メールを送信した。
しかしまあ。こんだけ酷い事があるわりには。
あいつら楽しそうじゃねえか。。?
外からははしゃぐ声が聞こえて。
外の様子を見に行く。
2階から外を見るとプールで未亜と匠と雪菜が遊んでる。
「行くぞ〜ユッキー抑えてて♪」
バナナの乗り物に無理やり3人で乗ろうとして。。
「うひゃーw」とコケる。
その瞬間を写真に何枚か取り。
再びメールを送ってやった。
やれやれ。。いい顔しやがって。
先生の心配は返りみず。
プールで大騒ぎしている子供達は年相応だ。
「うわーんー!タツヤが浮輪壊したぁ〜」
「ごめんって、未亜っち。。小さくて破れた。。」
「タツヤ飛び込むから〜」
年相応だ。。ろうな?はぁ〜。。小学生か。
日が傾き始めていた。
□□□
「よし。行くぞ」
ホテルの前にまたソンテウが待っていてくれる。
昨日とは違い反対方向へと進んでいく。
「どこ行くのかな?」
「ご飯じゃない?」
みんなリラックスできたみたいだ。
ゆっくりと景色を見ながら細い山道を抜けていく。
こうして見ると、タオと比べものならない広さだ。
時折ホテルもあるし、露店や店も多い。
いくつか海岸をすぎたあと急な坂を上がっていく。
「よし到着。ここから少し歩いて上がるぞ」
「「はい」」
まだ夕方には少し速い時間。
日が照りだす中神社にあるような石畳を歩いていく。
「ふぅ。結構急な坂だね」
「あそこかな?建物あるし」
大きくベランダの様な木造りの建物が見える。
回り込む様に階段を上がり到着。
すでに10数名ほど欧米人がいたが、それでもスペースは十分にある。
せっかくなので前の場所を。
サンダルを脱いでまるで縁側に座ってる感じだ。
みんなコーラとかオレンジ。先生はビール。
席についてカンパイ。
「お疲れ様。バンコクから、何だかんだ毎日といろいろ振り回してすまなかったな」
「いえ、楽しかったです♪」
「フルムーンパーティー最高ー!」
「ここは夕日を見ながらまったりと。タイ飯くらいなら食べれるんで。ゆっくりしてくれ」
そこから見れる海は。
絶景だった。
高い丘の角度だから。
下が消え海岸から水平線だけ伸びていた。
ちょうどいい位置に三角枕もあり。
周りを見ると欧米の人もゆったりとビールとか流れるレゲエの曲を静かに聞いている。
タバコを吸ったり。カメラを撮ったり。
ただ、この空間はどこかみんな優しい顔していた。
近くの外人さんも、目が合うと酒を上げて『カンパイ。ゆっくりしなよ♪』と微笑んでくれる。
プイさんも先生も葉巻?みたいなの吸って気持ち良さそう。
日差しは下がってくるが、みんなゆったりと。
田舎の縁側でいた時みたいにしてる。
そういえば。ずーっと忙しくしてた気がする。
食事は食事。買い物は買い物。移動は移動。講習は講習。レイブはレイブ。
ここは特に何も決まってない。
何か目的がないときちゃいけない理由はない。
喉が乾けばコーラを飲むし、お腹が空けば何か頼めばいい。
初めはワイワイ話していたけど。
だんだん静かに日が落ちるのを待つ。
僕もまったり海をみて。
雪菜も体育座りをしてゆっくり。
茜も未亜と座椅子みたいに三角枕でごろごろしながら。
タツヤもテーブルに腕を伸ばしつまみながら。
歩も吸ってまったり。目がトロンしてるし。。
ゆっくりとみんな。何を考えてるのかな?
昨日のライブ? スキューバダイビングの事?
暑い日々のこと? 買い物? 日本の事? 学校のこと。。?
好きな子のこと?旅のこと。。?嫌なこと?
いろいろと考える。全部考えても時間はたっぷりある。
この時間と 空間は 必要なんだ
みんな何も言わず。
ボーッと寝る訳でもない。
ただ、ただ考えてるんだ。
いや、無理に考えなくてもいい。
ガンジャ先生。ありがとう。
夕日が落ちて来ると。
バカみたいに青い空一面がオレンジへと変わりだす。
これがサンセットなんだ。
太陽が落ちるスピードは思ったより速く。
周りが一面の赤になるのはすぐだった。
ああ。この世界ってすばらしい。
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