空の詩 上
ガンジャ先生。Spin Off GAN
「待て、パティ!!」
ハァハァハァ。。なんで思い出した。
R3HUB & Quintino - I Just Can't
この国では全てが眩しい。色も。自然も。
地に合ったんだと思う。少し強めの日差しも。そして褐色の肌も。全てが空に合うんだ。
ーーー
俺がパティと合った時は。酷く歪んでいた。
単純にダイビングが好きだった。
家族旅行で行った島国が、魚の世界を教えてくれたんだ。無機質であり。静寂がある。そこに惹かれ就職を選んだ時。
僕は海に潜ることにした。
厳しい検定を乗り越えて。その頃からか?無表情と言われるようになった。。
潜水士になって。
仕事で人を海から助けるという正義感にあふれていた。
だが。
現実は違った。
映画の様に大きな事故などはなく。
ただ、死体を回収する仕事だった。海の中から川の中。災害があれば捜索を。
俺の仕事の9割8分は死体回収だった。
救助し出合いなどと浅はかな気持ちは。とっくに消えた。そこには死神を相手にしているように。
ただ、誰かやらなければいけない仕事だ。
水死体はブクブクで。それでいて傷が付きやすい。
すでに日数が経っていると、骨からズルむける。
上げるまでの仕事だ。夏は臭くて何度も吐いた。
ただ、誰かがしないといけない仕事。
○○○
「岩屋。気分転換にタイに行ったらどうだ?」
「タイ、ですか?」
「サムイの辺りは温かいし魚もいる。少し違うものを見るほうがいい。お前。目が死んでるぞ?」
30を過ぎる頃確かに。
作業としての仕事になっていた。
泳ぐのは嫌いではないが、何の目的か分からない。
「タイはいいぞ?安いしかわいい娘も多い。少し多めに休める様に伝えておく。遊んで来い」
一等士官の佐和島さんは昔からずっとお世話になっている。断るとかでなく。戦友だ。
7日ほど休暇を貰い。俺は南の島に行くことに。
□□□
予定も何もなくサムイ島へ向かう。
宿の予約すらしていない。
サムイ空港について改めて外国と感じる。
会話が分からないのもそうだが。
11月だぞ?今。。夏かここは。焼ける日差しだ。
タクシーに乗り込み市内の方を回ってと頼む。
が、人混みの多い所は落ち着かない。グルっと周り北の海外通りへたどりつく。
『ほうぼう屋ツアー』
日本語表記の店を見つけ。夕方になっていたので今日の宿を聞いた。
「予約してないんですか?んーうちはツアーで宿はやってないんですよ」
「あ、でもこの通りにいくつかあると思います。奥は高級ホテルなビーチばかりですが」
ありがとうと礼をいい離れる。
確かにそこそこ通りに店も。なんとかなりそうだ。
*1Night 400Baht*
あ、ここでいいや。安いし。
ちなみに5万バーツは持ってきている。
たどたどしい英語でおばちゃんに話つけ。クーラ付きで600。6日なので3500バーツ。それもバイク使い放題だ。ちなみに出る時1000バーツ渡した。
『今の時期は暇だからね。好きに使っていいよ。バイク壊さないでな!』
ソファに猫が2匹ころがる水色の部屋に机とテレビがあるだけのフロント。
泊まる2階の部屋は。まさにベッドがデカイが、ほぼそれだけの部屋。入口は窓みたいな引き戸。一応申し訳程度のトイレとシャワーもついているだけだ。でも気に入った。ここは波の音が聞こえる。
先のほうぼう屋さんにお礼とダイブの予約を取りに戻る。移動の時ふと建物の間から。木で組まれた橋の様なものがみえた。
後で寄ってみよう。
無事にダイブの予約をとり。明日は探索。明後日朝からタオ島3日に。
帰り道でかんたんな夕食を取り。とりあえず地図とか、お土産屋をみて回る。
カフェの様な店だろうか。入ると少し違う。
なんかパーティーの準備しているような。
電気機材を繋げてる黒人が話かけてきた。
『Because it starts at 8 o'clock. It's still early..』
まだ早いのか。うーん。少し賑わう所に出るか。
外は少し暗くなって。快適にバイク飛ばす。
気持ちいい。風も。空も。海の匂いも。
南米では、ヘルメットをつけない。理由は風が気持ちいいという一時の快樂が勝つらしい。
ヘルメットをつけて転んだリスクより今がいい。
変かと思うかもしれないが。死ぬときは死ぬ。ましてやギャングがうろつき、いつ死ぬか分からない状況に。少しでも気持ち良さ今は求める感じか。
少し南米の気分を味わった。島は風が抜け気持ち良かった。
暗くなってきた山道をバイクで流す。
ふとピンクの明かりが気づく。なんだろあれ?
バイクを止めると。開けっ放しの母屋みたいなものだった。
なんだろう?
中に入るとマッサージ屋だった。ただしお客は一人もいない。やってる。。よね?
ちょうどお腹太れたし。マッサージお願いする。
そこに来たのは意外と若い女の子だった。
カーテンで仕切られ着替え。静かな雰囲気の中で忘れた様に音楽が流出した。
タイマッサージが体をほぐす。ああ。。気持ちいい。飛行機の移動や緊張してたんだ。
ふと今日を思い出して。予定もなく飛び込んだがうまくいったほうか。宿はクーラー付きだし。ダイブも久しぶりだな。。
若い女の子が股間を握る。
明らかに動きが変わった。。。
『えっと。。何?』
『私を買わない?ヒゲあるし‥日本人でしょ?』
「!?」
『暇だし。案内してあげるよ。サービス。ん。。』
おもむろにズボン脱がされ。口に含まれた。
ゆっくりと上下に頭をゆらし。俺は何があったか分からなかった。ただ。上のファンがガタガタ揺れるんだ。その音を。。。見ていた。
「うっ。。」
そのまま行き果てた俺は。結局その子を買った。
『着替えるから待ってね。今の時期暇だし。』
私服に着替えたその子はバイクを持っているらしい。後からついて行くと。
普通のTシャツとGパンを切ったパンツだ。
『先に行ってて。追いつくから。』
あー来なければ来なくていい。騙されたのか?まあ2000バーツだったしいいか。
でもすぐに追いついて来てくれてた。
ただ、すぐにやってバイバイも何だから。先程気になってたカフェに戻ることにした。
□□□
海外沿いは暗くなるとまた雰囲気が変わる。
確かに繁盛期でないのだろう。観光客らしき人は少なく人通りもまばらだ。
オレンジの街頭だけがそこに照らしだした。
賑やかな音が聞こえてきて。
人が集まっていた。そこはさっきのカフェだった。
「Hmm? Are you a customer? 800 baht per person. Thai people need only half♪」
少しイカツイ黒人さんに1200バーツとチップを渡し。パティと中に入る。
さっき歩きながら。名前は?って聞くと。「パティでいい♪パーティー好きだから♪」って。そんなもんか。後で解ったがその時から彼女はパティと名前を固定したらしい。
「What day is it today?」
「Half moon party. Cant go well people,Say drink freely.」
中には20人くらいだろうか。少し落ち着いてみんな談笑している。
音楽は重低音は響く。しかし落ち着いたもので‥椅子もなく。タイ用のクッションがそこらにある。スローライフか。悪くない。
「Oh? That's unusual. Japanese?」
「Yes,Im Jap」
「Have fun.Im Carry! nice to meet U♪& Siam Girl♪」
少し海側の所に座ると風が気持ちいい。緑の瓶ビールが運ばれ乾杯をする。DJ風なアジア人1人と。タイ人スタッフが3人。あとはみないい大人だ。
そしてアジア人は僕しかいない。
Carryと名乗った金髪の40代の貴婦人は。
たぶんオーナーだろう。
ゆっくりと曲を聞きながら、挨拶をして周り。それでいてスタッフに指示をだす。
お盆に小さなサラダ、デザート、サーモンカナッペ、ソーセージなど。いいタイミングで進めてくる。お酒も進んで聞きに来る。
正直日本にいた時よりかなりいいものを食べた気がする。激しくなく心地良い。
パティはどこかよそよそしく。心配な顔して僕のズボンの端をつまんでいた。英語分からないのかな?
飲み物がワインへと変わって、酔って軽くキスしたら怒られた。相変わらず無口だなぁ。
プーケットで船レンタルしてるフランス人や。
バンコクでサロンをしている人と名刺を交わし。
コンドの紹介やイベントの告知。
ああここはユーロの人が多いんだ。と。
まぁ酔っぱらってるから話す英語もテキトーだけど。言ってる事は分かるんだよね。不思議と。
夜も老けて。ライトアップされている先程の木の桟橋はいい感じだ。海と星空。遠くにきた気持ちになる。11時頃引き上げるとする。
「Were you still? It ’s a pretty interesting AsiaBoy :)」
「It was fun. but,drink too much? 」
「hmm,A bientot☆」
「thanks madam,see U」
ゆっくりと店を後にして行く。
何か夢みたいだ。いい時間を過ごせたた思うし、生まれて一番英語を使った気がする。
『もう。長いー酔っぱらい!』
げしげしとパティは店を出たら元気になった。
どこかで緊張していたんだろう。
『いい店だっただろ?』
『よく分かんない。。美味しかったけどね!』
フロントはすでに電気が消えていて。バルコニーの様な穴に掛る南京錠開けて。
「うぁー楽しかった。。」
とベッドに転がる。ああ。バカンスって気がする。
『シャワー借りるね?』
その後。俺はパティと初めて結ばれた。
初めはキスはタバコ臭いから嫌だって言ってたけど。途中からは男と女だ。求めるようにキスを繰り返す。
その子と言ってるけど年齢は23才で。セックスの相性は抜群だった。俺だって一応経験はある。
だけど今までで最高だった。
それは雰囲気か。旅行で興奮していたのか。酔っていたのかは解らない。
俺は深夜2時まで腰を降り続けていた。