第8回 : こんなところにも「サウンド・パワー」
前号ではソニック・アーキテクトの科学的アプローチで「音声マーケティング」のマネタイズに貢献できること、お客様に愛される「また戻ってきたい」快適なお店づくり、従業員の生産性や心身の健全性が向上するオフィスづくりなどのご支援ができることをご紹介しました。
今日は、「え?!音ってそんなところにも効果があるのか」というようなおもしろい事例をご紹介しましょう。
音と味覚の相互作用
更には音と味覚に「クロス・モーダル」という相互作用があることがわかっています。周波数が甘みや苦み、風味、温度、食感の感じ方に影響しますので、機内食、レストランや食品開発、医療での有効利用が期待されます。これをわたしたちは食品に調味料のように音楽や周波数をふりかける「ソニック・シーズニング」と呼んでいます。実際、飛行機の中のホワイトノイズと高デシベル環境下では甘味が鈍化し、うま味を感じやすくなりますので、飛行機ではトマトジュースやブラッディマリーがおいしいわけですね。
更に、「食感」も大切ですよね。食感とBGN(Background Noise)の関係を調べた研究によると(注¹)、ホワイトノイズのBGNレベルが高いほど、ポテトチップスのパリパリ音が増して感じられるとのこと。同様に高い周波数のサウンド環境でも同じことが起こります。ホワイトノイズや高い周波数のBGNレベルが高い環境とはどこでしょうか?そうです、同じく飛行機の中ですね。ナッツなどもカリっとした食感に感じやすくなりますから飛行機の中でナッツがサーブされるのも理にかなっているかも・・・!?ですね。そしてもしかして筆者がフライト前に必ず「じゃがりこ」を買って水平飛行に入ってからぽりぽりと食べだすのもこのせいかも・・!?
優良ノイズの活用
「ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズ」といった優良ノイズの有効活用も取り入れます。例えば、歯医者さんで歯を「キーン」と削るアレ。ホワイトノイズと共に削ると不快感が低減することがわかっています。
メンタルヘルスや聴覚過敏、耳鳴りなどの耳鳴りなどの改善
同様に、ホワイトノイズ等を患者さん一人ひとりにカスタマイズし聞いてもらうことで、ASDやADHDの方がお悩みの聴覚系の辛さを緩和できることがわかっています。また、低周波製品を遠ざける・製品自体にカバーをするなど商品改善をすることで、睡眠障害、頭痛、高血圧、高心拍、生理不順などの健康課題が緩和することもわかっています。また、耳鳴りについても様々なカラーノイズや周波数を調合して緩和するというTRT(Tinnitus Retaining Therapy)療法もアメリカでは普及しています。
次号、ぜひ経営者のみなさま、IRご担当者様、会社を代表してセミナーやシンポジウムなどにご登壇されるビジネスマンのみなさま、そしてすべての政治家の皆様にお読み頂きたい「なぜ米国オバマ前大統領のスピーチが素晴らしいのか」について、ソニック・アーキテクトの観点から具体的に解説します。
(注¹)Woods, A.T.,et al., (2010). Effect of background noise on food perception. Food Quality and Preference 22 (2011). pp.42-47.