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第22回:騒音ストレスによる健康悪化と生産性低下
さて、前回までの投稿ではSonic=音=周波数がマネタイズの手段となるばかりでなく、リスクや課題にもなってしまうことがある。例えば、高いBGN(Background Noise)空間の飲食店はビジネスチャンスを失う可能性があることをお話しました。
でも、今日はさらに深刻なお話。
ビジネスチャンスを失うだけでなく、「音がヒトの健康と生産性を悪化させる」リスクについてのお話です。
BGNレベルが85デシベル以上の環境で働く人たちは、騒音ストレスによる頭痛、自律神経の乱れ、高心拍数、生理不順、不妊、腰痛・椎間板ヘルニア、不眠、血圧の乱れなどの体調不良、難聴などの聴覚障害のリスクが高くなり、生産性・集中力も低下します。
企業が「健康経営」、「ウェル・ビーイング」、「人的資本経営」を謳うのであれば、社員の生産性向上に加え、社員が健康を損なうことで生じる休職リスクやそこから生じるコストや社員のメンタルヘルスに「音環境を通じても」真摯に向き合う必要があると言えるでしょう。そのためのオフィスや施設づくりができるのは、既存のオフィスづくりプレイヤーではなく、ソニック・アーキテクトなのです。わたしたちが設計段階から場所やデザインをアセスメントし最適な「空間の音環境づくり」をご提案します。騒音・防音だけではなく、空間に存在するすべての音やサウンド、周波数を、空間の配置・配置される器具や物の材質、導線などを考慮した設計をご提案します。「具体的にどうしたら良い音環境の空間ができるのか。」については別途ご説明する機会をつくりたいと思います。
年間4兆円の損失!
ちなみに、WHOの発表では職場での騒音、BGNが原因と思われるうつ病などの体調不良による休職やそれに伴う医療費、生産性の低下は、イギリスでの試算とはなりますが年間約4兆円の損失に相当すると推定されています。日本だといったい上場企業一社あたりおいくらになるんでしょうか・・。いずれにせよ、音のネガティブパワーが莫大な社会的損失を生んでいるのは事実です。
ここまでは「聞こえる」リスクですね。でも、音には「聞こえていなくても、気づいていなくても」ヒトの心身にネガティブな影響を及ぼしたり、バイオレンスの後押しをしてしまうことすらあるのです。次回も事例は続きます。