SNH48『时间的歌』~聖地巡礼の旅2021夏~
今更かもしれないけれど、MVの撮影場所(ロケ地)を全て特定して巡ってみた
夏の気配がまだ後ろ髪を引く東京を離れ、僕は9月初旬に北の大地札幌に降り立った。道東出身の母親が北海道は夏が短いよ、冬はまつ毛が凍るんだよとよく幼い僕に言っていたような気がする。
なのになんだこの暑さは。もしかしたら東京よりも暑いんじゃないか?そう思いながら、僕はわざわざ冬物が仕舞われている押し入れから引っ張り出してきたパーカーを新千歳空港の到着ロビーで脱ぎ左腕にかけた。
今回なぜ札幌にやってきたかというと、今年に入ってちょくちょく現場に足を運んでいるアイドルグループ、アンスリュームのツアー公演がこの札幌であるからだ。いわゆる遠征というやつだ。
いま僕はこのアンスリュームに大変執心していて、東京で開催されているライブに定期的に通うようになった。そして今回、グループとして初めての北海道上陸とあっては帯同せずにはいられないし、せっかくの夏休みメンバーのみんなと北海道で楽しい思い出をつくりたい!
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そして、もう1つ2年前から喉に刺さった魚の小骨の様にずっと引っかかっている事が1つあった。それを清算するという目的がここ札幌にはある。僕が5年前から在宅で応援しているアイドルグループSNH48の存在だ。
このSNH48とは察しのよい方ならぱっと思いつくと思います。グループ名に3文字のアルファベットを冠していることからもお判りの通り、もともとはAKB48グループの一角を担う、上海に拠点を置くアイドルグループでした。
でした、というのは現在AKB本体とはグループ契約を清算し独自に中国本土で活動を現在も続けているという状態です。SNH48の他にも北京を本拠地に置くBEJ48や広州を本拠地に置くGNZ48というグループもあります。昔は瀋陽を拠点に置くSHY48や、重慶を拠点におくCKG48などあったのですが、整理統合を経て現在正式なグループとしては上述の3グループとなっています(CKGはやってるっちゃやってるんだけどね・・・)。
その中でも僕は特にSNH48内のチームHⅡとチームXの2チームを特に好んで見ていました。
AKBグループ本体との契約清算については色々と契約上の協議の末こうなっていて、ネット上ではまことしやかにあること無い事囁かれていますが、細かい経緯について僕はあえてこの場で言及するのは差し控えたいと思います。なぜならば、僕がSNHに目が留まって在宅で応援をし始めた時点で既にAKB本体との契約が清算され独自路線で活動していたからです。
基本的にSNH48は中国本土内で活動しているのですが、AKBのそれを踏襲しており、総選挙後に新曲のPVを撮るのです。その際に選挙順位の上位勢は海外でのPV撮影旅行をするというのがお決まりのコースになっています。そして、2019年の上位16人のPV撮影の地に選ばれたのがこの札幌だったのです。
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僕はこのSNH48に心残りが結構ありまして、同じ2019年の10月12日に初めての東京公演が予定されていました。これってたぶんとてもとても凄い事で、日本国内で興行主を探したり、チケットの販売プラットフォームやライブ会場のブッキングなどなど、かなり難しい調整をしてようやく実現できたと思うのです。それに、国内のAKBとのこともあるので、結構方々に気を使うシビアな段取りを乗り越えて実現したと思うのです。
そしてそんな艱難辛苦を乗り越えて押さえた箱が赤坂BLITZです。あんな良い箱で初めての凱旋公演とも言える素晴らし公演が企画されていました。しかも来日するメンバーもSNHグループ各チームからの選抜メンバーという、めちゃくちゃ豪華なものでした。
僕はもちろんチケット発売当日に喜び勇んで予約しました。
なんかすっげー後方の席が割り当てられたんですけど、そんなの関係ないっていうぐらい嬉しかったのを今でも鮮明に憶えています。
ちなみに券面に書かれているライブのタイトルの『PLAN SALVATION』というのは、当時グループSⅡが劇場公演でやっていた演目です。中国語での公演名が『重生计划』です。
ですが、公演日を目の前に控えて文字通り雲行きが怪しくなり始めるのです。2019年ライブ当日10月12日当時の天気図を見て見ましょう。
この時の台風は大型でしかも東京に直撃するぞーってんで結構大騒ぎになり、近所のスーパーの棚がすっからかんになるぐらいみんな大騒ぎしていたのを覚えています。
僕はライブ1日前の夜中に、あまりにも気になって眠れなくて自転車で赤坂BLITZまで見に行ったぐらいです。まるで台風の日に田んぼを見に行く人みたいだし、そういう人の気持ちがなんとなく分ったのがあの夜です。
雨足はまだまだ大したことが無くて僕が赤坂BLITZに到着した時には降ってはいませんでしたが、風がTBSのあの谷の周囲を渦巻いていて、照明もついていない真っ暗なBLITZだけが暗闇にひっそりと禍々しいオーラを放っておりました。
ライブ前に物販会が別会場、たしか赤坂周辺の貸し会議場みたいなところで予定されていたのですが、それも含め全ての予定がこの台風19号によって吹き飛ばされたのです。直前で東京直撃は免れて台風の進路は東に逸れたのですが、もちろんメンバーは東京までフライトすることもなく、この公演は幻と消えたのです。
後援会有志の人たちが横断幕や日本語のコール表とかサイリウムとか色々と準備していてくれたりもしていて、そういうのもすべて吹き飛んでしまったのです。
この時の僕の落胆ぶりは相当なものでした。普段ろくに外に出ない出不精で普段着というものをほとんど持ってなくて、よれよれのパンツとTシャツぐらいしか持ち駒がありません。こんな格好じゃとてもじゃないけど推しに会いにいけないってことで、わざわざライブの1週間ぐらい前に、上から下までユニクロで買い揃えてきたのです。
もういい年したオッサンがなんか若者に混じり、推しの顔を思い浮かべながらユニクロで一生懸命服を選ぶわけですよ。こんなんはじめてのおつかいより泣けるわ。
この『PLAN SALVATION』日本特別公演の選抜メンバーに選ばれているメンバーたちの中で僕の推しはメンヤン(许杨玉琢)といいまして、3期生で生え抜きのチームHⅡの不動のエース的な存在の子です。
彼女が3期生として入団した頃はまだギリAKB本体とグループ契約が生きていた時代なので、彼女はAKBのDNAを直接受け継いでいるメンバーと言えます。僕がSNH48にハマる5年前当時からずっと好きなメンバーです。もちろん2021年現在もチームHⅡに在籍していて現役バリバリです。
僕のメンヤンフォルダが本格的に火を噴く前に既にちょっとどうにかなりそうなぐらい可愛いです。ずっと見てられる。
特典会で生メンヤン(许杨玉琢)と対峙した場面を想像しながら試着室の鏡に向かってニヤニヤして色違いの服を何着か着まわしてあーでもないこーでもないとやるわけです。おっさんが。
特典会でメンヤンと何話そう、、、ずっと好きでしたってとりあえず言おう、とか。あと僕は緊張すると脇汗と手汗が尋常じゃないぐらい、滴り落ちるぐらい出てしまうので、このおっさんなんかめっちゃ汗かいてるとか思われたくないし、強力な制汗剤探そうとか。色々思うわけですよ。ポケモンのゼニガメが好きでグッズをよく持ってるから何かプレゼントしようかなとか思うんすよ。おっさん。
それに、日本に出発する前とかになんかカタコトの日本語の挨拶とかを覚えようとしててくれたりして、そういうの可愛いじゃないですか。
SNHグループ独自のライブ配信プラットフォームで口袋48(ポケット48)っていうのがあって、そこで夜な夜な各メンバーそれぞれ生配信をしたりするんですけど、そこでメンヤン(许杨玉琢)がたどたどしく「わたしのなまえは、、メンヤンです!」とか言って練習しとるわけですよ。クソ可愛いっすよ。
試着室エリアの入り口で女性の店員さんが試着しにきたお客さんを各ブースに割り振る為にスタンバイしてるのですが、あのおっさん1人で何着も試着しやがってとか思われているに違いない。平日の真昼間にあんなに試着して万引きでもしてるんじゃないかとか思われてるに違いない。なんか脇の部分めっちゃ汗かいてるし。
もうこの時買った服がどこにいったのかもわかりません。ライブが中止になって、その翌日にいつもの上海の星梦剧院という専用劇場で代替公演が行われたのですが(そもそも国を変えて代替公演って銘打つのもどうかと思うのですが)、公演『Plan Salvation』の 1曲目の『晨光』って曲があるんですけど、日本語で歌うというサプライズがありました。
この『晨光』日本語バージョンを聴いた時、ああこんな最高のサプライズを準備して日本公演に臨んでいたんだなっていう嬉しさと、これを生で観ることが叶わなかった悔しさとで自分でもどうしていいのかわからないやるせなさを感じたのをよく覚えています。
この日本公演の一連のことがず~っと心のどこかに引っかかっていて、忘れる事ができないのです。
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だらだらと2019年当時の僕とSNH48の関係性を語ってきたわけですが、そんなSNH48が2019年に発表した総選挙後のTOP1~16位のメンバーによる新曲MVがこちらになります。
もちろん全編中国語の曲になっていますが、5分だけお時間下さい。是非1回見てみて下さい。中国語が分らなくてもとりあえずMVを見ているだけでも、なんとなくコンセプトやそこに流れているテーマだったり、言わんとしている事が伝わってくると思います。
いや、1回とは言わず5回ぐらい見て欲しい。1本5分半なので、5回見てもたったの30分弱ですから。
いかがだったでしょうか?ていうか、マジでみんな顔面つよつよが過ぎるぐらい顔面いや、ルックス全てがレベル高いと思いませんか。そしてこの今回の衣装、このデザインをみるとやはり48の系譜を継いでいるなあとも思うし、日本のアイドル文化を色濃く反映しているなあとも思うのです。
この撮影当時、各メンバーがVlog や口袋48(メンバーがLive配信等を行うSNHグループ独自のプラットフォーム)でロケの様子を自撮りしてたりして、馴染のある札幌の街中や小樽でメンバーがはしゃいでいる姿や、泊っているホテル内での様子、コンビニで買い物をしている姿などオフショットも沢山見れました。
普段はなかなか上海まで会いに行くことが出来ないメンバーがこうやって札幌の地で伸び伸びとロケ旅行を楽しんでいる姿を見ることが出来て、その様子を見ている僕自身もそれだけでとても楽しかったのをよく覚えています。
当時、日本在住のファンの人たちで空港までお迎えとお見送りをしに行っていた熱烈なファンもいましたが、僕は在宅ヲタクだったのでその空港の出待ちの様子をネット上で羨ましく眺めているだけでした。
ここで、疑問に思われるかもしれませんがSNH48は通常の劇場公演での楽屋口での出入り待ちであったり、MV撮影の時の遠征時や単独の外仕事などに空港等でのお迎えなどが認められています(現場でのルール厳守)。しかも、写真撮影等もOKなんです。
話しを戻します。僕はこのMVが札幌で撮られているということも勿論好きな理由の1つなんですが、伝えようとしているテーマの分かりやすさだったり、この年の総選挙を最後に卒業するイートン(李艺彤)をメインとした物語に強く心を惹かれたのです。
そして繰り返し何度も何度もこの『时间的歌』のMVを見ているうちに、この撮影が行わた場所に行ってみたい!イートンや他のクラスメイトが歩いた軌跡を僕も辿ってみたい。その場所に自分の身を置いてみたらまた違った視点でこのMVを見ることが出来るかもしれない。
ちなみにこの画像で着ているブルーのドレス、卒業公演のこの日のためだけに日本のドレス制作メーカーに発注して作っているんですよね。
2年の月日が経ちました。もうすっかり日本公演の開催が目前で消滅したこともいつしか皆から忘れ去られ、イートンの卒業、1期生の卒業などもあり、この『时间的歌』のMVに出ているメンバーの半数ぐらいは既に卒業してしまいました。僕自身も、MVには出ていないもののチームXの推しメンがこの2年の間に退団してしまったこともあって、最近はめっきり劇場公演の配信を見る機会が少なくなって、見るのはせいぜい劇場公演の新しい演目が出た時ぐらいでしょうか。
あんなに毎晩かじりつくように見ていた口袋48(メンバーがLive配信等を行うSNHグループ独自のプラットフォーム)も全然見なくなったし、メンバーのweibo(中国のSNS)もいつしかチェックしなくなっていました。
ですが、今回アンスリュームの札幌ツアーが決定した時に、同時に僕の脳裏にはあの2年前の幻の日本公演、『时间的歌』のロケ、イートンの卒業のこの一連のことが頭の中に走馬灯のように蘇りました。
さっそく、youtubeでSNH48の公式からMVを探して再生してみました。そこにはあの2年前と変わらないメンバーが生き生きと踊り、歌い、物語りが生きていました。僕の心の中にはまだやり残したことが残っているんだという心の叫び声が聞こえてきたようにこの時思いました。
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アンスリュームの公演は土曜日と日曜日の二日間。僕は北海道の移動の大変さを考慮し、3泊4日の日程でアンスの公演以外の時間を全て『时间的歌』のMV撮影ポイント聖地巡礼の旅に使うことに決めました。
今回の巡礼の旅ルールとして
①期間は札幌滞在中の4日間
②移動手段はなんでもOK(北海道の運転は怖いのでレンタカーだけ無し)
③日没前には終わらせる(ロケが日中しか行われていないので)
④個人の所有地や立ち入り禁止区域には絶対に入らない
というルールを設定しています。
いよいよです!無事聖地巡礼の旅が終わって、東京に戻ってきてから膨大な量のテキストを書く羽目になることも織り込み済みで、その覚悟を持っていざ
北へ。White Illumination
Day1.早朝
土曜日の朝4時起床。僕は一路成田空港の第1ターミナルへ向う。
結局荷造りに手間取って3時間弱しか眠れてない。出張や旅行の前日は案外いつもこんな感じで、寝不足のまま電車や空港シャトルバスに揺られながら半分寝ぼけてターミナルに到着するといった具合です。
僕は1年の半分ぐらいしか仕事をしない生活をもう5年以上続けていて、結構かつかつの生活費でやりくりをしてきています。なので今回の3泊4日の旅行も削れるところはしっかり削りたい派なので、もちろん成田からLCCを使います。
当然の如く荷物は機内持ち込みのリュック1つだけだ。LCCは軒並み機内持ち込みの手荷物類の総重量を7㎏~6㎏に上限を設定している関係で、重量がかさばる電子機器類(特にノートPC)などを遂行する場合、それなりにシビアなパッキングが要求される。
上限重量のカベを越えない様に、ミニ四駆の肉抜きよろしく持ち物の細部に渡って不要な物を省いたり、どうしても持込みたいのだけれど重量が嵩張るといった物に関しては、ズボンのポケットに入りそうならポケットにパンパンに詰め込んで重量測定をパスするなど、涙ぐましい策を弄してなんとかかんとか遣り繰りしています。
それに、いつの間にかPeachが第3ターミナルから第1ターミナルになっていたのを前日の夜に知る。危ない危ない。
僕はあの3タミのバラックに毛が生えたみたいな建物が好きなので少しだけ残念だった。
第3ターミナルの、金が無いからここに来てるんだろう?だったら飛行機に乗せて貰えるだけ有り難く思えよとでも言わんばかりの、無駄を極力省いた館内設備に、なにかこうサバイバル感を感じるからなのだろう。
ふと、なんでこんな事をわざわざやりに札幌までいくのだろう…。ギャラが出るわけでもないし。ここまできてちょっと憂鬱でさえある。マリッジブルーもこんな感じなのだろうか。
1タミ側から滑走路に向かうので、久々に団結小屋を間近に見ながら飛行機は34Lの滑走路へ。そして離陸。前の席のカップルはiPadで富良野の観光案内を楽しそうに見ている。僕はそんな観光地に行けるわけもなく、市内の巡礼スポットをどうやったら効率よく回れるか。とか、市電や地下鉄の乗り放題キップの買い方を探したりしていた。仕事でもなんでもないのに...。
Day1.札幌到着
機内アナウンスでは上空の大気の状態が不安定らしいとのことだったが、予定より10分早く新千歳空港に着陸した。北側からの進入で機体は19L滑走路に綺麗なランディングを決める。今回の旅のフィナーレも華麗なランディングを決めたいものだ。
エアポート急行で市内へ向う。
札幌駅を出てとりあえず今夜泊るホテルへ向かうために、地下鉄の改札方面へ。札幌の地下鉄に乗るのは2回目、たぶん10年振りとかだろう。前回10年前に乗ったときは、確か出張で来た時だ。仕事以外していないので、当時は客先とホテルの往復しかしていない。どうりで札幌の思い出が客先のオフィスと、明らかにラブホテルを改築したとしか思えないピンクピンクしたビジネスホテルの記憶しかない訳だ。セコマとはこの時からねんごろだ。
南北線というやつに乗るとどうやら今日泊るホテルの近くまで行くようだ。
今回はちゃんと一日乗り放題の乗車券520円を改札脇の券売機で購入した。なんか大通りという駅で降りたのだが、全く方向がわからない。
しかも延々と地下街が伸びていて、地上に出ることなくどこまでも行けるような感じのつくりになっている。そういえばその昔、最終兵器彼女でこの地下街がなんかすごいことになっていたような気がする。しまった、せっかく札幌に来るんだから最終兵器彼女のDVDBoxを押し入れから引っ張り出して見ておけば良かった。
とにかくずっと地下街が伸びていて、どこまでも歩いていけてしまうのは地理に疎いと逆に不安に感じる。適当に目に入った出口の扉を開けて地上の空気を吸いに階段を上がる。
すると偶然にもイートンが市電を待っていた停留所、狸小路停留所が目の前にあってびっくりした。
MVだと冒頭45秒辺りからの1カットがこちら。
MV本編では冒頭の卒業式の教室でのクラスメイトとの思い出から、みんなとの別れのシーンが続いていき、この狸小路停留所で心ここにあらずといった様子のイートンの姿へと場面が転換していきます。
この停留所のカットになって、ハッとした表情を浮かべる彼女の表情をみてようやく冒頭の卒業式のシーンがイートンの回想だということが分かります。
これはそもそも停留所の名前がデカデカと書いてあるので特定するも何もGoogleで検索すればよいだけでした。こんなところでつまずいていては、この先が思いやられます。早速、停留所の周りを歩きながら似た様なアングルを探します。
これ、通りを挟んで撮影したこの写真だと案内表示が見切れてしまってよくわからないのですが(下手くそで申し訳ない)、近くで撮影した別アングルの写真を見て頂くと分かるとおり、案内表示の『狸小路』の部分が2年前と変っていました。2年前は大きなフォントで『狸小路』と下側にアルファベットで『TANUKI KOJI』と書かれています。個人的には2年前のでかいフォントの方が遠くからの視認性が良いようにかんじるのですが、現在は案内板としての情報量がマシマシに刷新された様ですね。
僕も実際にこの停留所の中に入って、イートンが電車を待ちながら心ここにあらず状態で佇んでいる位置に立ってみました。今回の聖地巡礼の旅で最初に見つけられたポイントだったのでとても嬉しかったです。それに、こんなにすぐに見つけられて、何かとても順調にこの先も事が運ぶのではという期待感がもりもりと大きくなっていったのを記憶しています。夢がモリモリ。
しかもですよ!僕が撮った写真の背景に【インターネトカフェDice】という看板がでかでかと写っているのが見えると思います。これ、何を隠そう今回アンスリュームが行っているツアーのタイアップ先の企業さんなんですよ。こんな偶然も今の僕には凄く嬉しかったです。だって新旧の推しているアイドルグループが時を経てこうして1枚の写真の中でコラボレーションしているみたいじゃないですか。
この時のインターネットカフェDice札幌狸小路店さんの店舗エントランスはこんな感じにメンバーの等身大POPなどが設置されていて、とても素敵でした。僕は推しの黒木いろちゃん(向かって右端)のPOPとツーショットを撮りました。いろぴしゅきしゅき。しゅきしゅきいろぴ。らぶらぶいろぴ。
Day1.午前10時50分
狸小路停留所を一通り撮影した後、僕が泊るホテルがあるすすきのの中心部へと徒歩で向かいます。この道中でさっそく2つ目のポイントを発見します。そうです、タコちゃん(张语格)が書類をバサッと落としてしまって一生懸命拾っている交差点ですね。この場所は有名過ぎて改めて説明する必要もないでしょう。NIKKAの看板でおなじみの、すすきのと言えばこの看板から向こうというイメージが強いと思います。
ちょうどこの落としている場所なんですが、横断歩道の中ほどにある中央分離帯の部分にある中洲みたいな場所です。こんなところで盛大に書類を落としたら危ないよタコちゃん。というわけで実際に僕が撮影したのがこちらです。
こうやって並べて見てみると、後ろのNIKKA看板以外の看板も2年前とほとんど一緒なんですね。アングルもここはこだわって何枚か取って似た様なアングルを中央分離帯の所で一人格闘して撮りました。それとNIKKAのビルの道路挟んで隣のビルが解体されて新しい施設が建設中になっていました。
2年という月日は劇的に何かを変えてしまうには充分な時間でもあり、2年程度では何も変わらない程度の時間でもあるというのをこの画像だけで物語っているように感じました。
ここで少しだけタコ(张语格)ちゃんの紹介をさせてください。
僕が初めてSNH48の曲を知ることになったMVがこちらの『盛夏好声音』本家では、『真夏のSounds good !』です。
この時最年少でセンターポジにいたのがタコ(张语格)ちゃんでして、この時に一目見てなんだこの可愛い子は!と驚愕したんです。この世のにこんなに可愛い子いていいの?って。
タコちゃんのこの青と白の水着に高身長で抜群のスタイル、反則級のルックスしてますよね。僕がSNH沼にハマるキッカケを作ったのは間違いなくこのタコ(张语格)ちゃんです。
しかもタコちゃんは日本語が結構わかる子なので、中国語わからなくても接触絶対楽しいと思います。
あとですね今回の『时间的歌』にも出演しているダイモン(戴萌)の水着姿がめちゃくちゃ可愛くて一押しです。探してみてください。なんかこの時のダイモンマジで可愛いです。
今日の札幌はこの『盛夏好声音』のMVみたいに今日の札幌も天気が良いですね、確かこの日は市内の最高気温が27度ぐらいで、日中はずっとTシャツ1枚だけで過ごせました。
僕はこの日の宿をTrip.comで検索して予約したのですが、値段の安さと札幌周辺へのアクセスの良さを基準に決めました。値段の安さはこの旅で3泊する予定だったのでなるべく総費用を抑えたいという狙いです。札幌周辺へのアクセスの良さは、もちろん今回の聖地巡礼ポイントを巡るに際してなるべく効率よく市街と周辺地域への行き来が出来た方が効率が良いという観点からです。
その為か、ろくにホテルの周囲に何があるのかを全く気にせず予約したのですが、めっちゃソープ街のど真ん中。これでもかっていうぐらいソープソープソープ。イアンソープもビックリ。
Day1.午前11時00分
まだ午前中だったこともあり、すすきのの中心部はひっそりとしていてキャッチに歩みを止められることもなく無事今日の宿に到着。チェックインは14時からだったので背負ってきたリュックをフロントに預けつつ、ボディバッグに最低限の荷物だけを入れてホテルを後にします。
この日のアンスリュームのライブは午後4時開場だったのでまだまだSNH48の為に時間が使えます。早速市街地に点在するポイントを探して地下鉄の駅へと向かいます。
地下鉄の南北線ですすきの駅から1駅先の大通駅へと向かいます。後から分かったことですが、すすきの駅から大通駅ぐらいだったら地下道を歩いても10分もかからない距離なんですよね。後々、本当に札幌の地下道は便利だと痛感しました。
読んで字のごとく大通駅からは大通公園にすぐアクセスできるので、MVのこのシーンの場所を探しに行きました。
MVの1分48秒辺りのシーンです。テレビ塔と大通公園の噴水を背にしてDDD(段艺璇)がしゃがみ込んでいるシーンです。大きなテレビ塔と、少し小さな噴水と、小さいDDDが一列に並んでいて悲しいシーンのハズなのにとても綺麗な構図です。このMVの中でもとても印象に残る場面です。
なのですがこれMVだけだとどういうシーンなのかいまいちわからないのです。ところが、実はもう1本公式が出している動画で时间的歌ドラマ版(剧情版)というのがあるのですが、それを見るとどうやらDDDはこの場所で彼氏に振られた直後なんですね。
こちらがそのドラマ版(剧情版)です。
そしてそのドラマ版の1カットがこちらになります。1分46秒辺りから一連のシーンが始まります。
ちょうど噴水の前で彼氏に別れを告げられているシーンですね。背景に写っているお店がちょうど噴水のサイドに並んでいる出店の様な仮設店舗だというのが分かります。DDDに手握られるとかうらやまけしからんし、DDDを振るなんて大罪にも程がある。
そしてこの別れを切り出されて、彼氏の離れた指先からDDDの手に指輪がこぼれ落ちるのがなんとも切ないですね。彼氏が一方的にDDDのもとを去った後に、指輪を両手で握りしめながら前出の噴水の前でしゃがみ込んでしまうDDDのシーンに繋がるというわけです。そして実際に僕が撮影したのがこちらです。
アングルは間違いないのですが、撮影された位置的には手前の円形花壇の先から撮影しているはずなのです。本当は噴水の目の前まで行ってちゃんと撮りたかったのですが、このとき大通公園のこの一帯はオリンピック・パラリンピックの為の準備工事をしている関係で立ち入り禁止になってしまっておりました。なので、この写真に写っている手すりから先には一般人は入る事が出来ませんでした。
タイミングが悪いというかなんというか残念でしたね。出来ればちゃんと噴水の目の前まで行って、噴水が出ているタイミングでしっかりと写真に収めたかったんですけど、こればっかりは仕方がないです。もちろん噴水の両サイドに並んでいた出店も全て撤去されていました。なんだか寂しいですね。
さて、気を取り直してPVの続きのシーンに気持ちを切り替えていくことにしましょう。
おそらく噴水の前でひとしきり泣いたのでしょうか。少し憔悴した様子のDDDが公園の手すりに腰掛けて、どこを見るでもなく途方にくれている。といったシーンです。
この場所も特に難しい事も無く、公園の手前の歩道を横から撮ったアングルになります。奥に大通公園駅の改札へと続くエレベーターの入り口へ続く青い案内板がしっかりと写り込んでいますね。
工事中のパイロンなどが少し邪魔ではありますが、確かにDDDが腰掛けていた手すりと、その奥に大通公園駅へ降りるエレベーターの入り口が見えると思います。まだまだイージーなポイントが続きますね。楽勝です。
Day1.午前11時30分
1日目ではありますが順調に進んでいます。ここまでで、イートン、タコちゃん、DDDと3人のシーンを巡礼してきました。次は初日に廻ったロケ地の中では一番難易度が高く、場所を割り出すのに結構時間を要したところになります。
大通公園駅に戻って、次の目的地へ向けて電車に乗ります。今度は東西線に乗り換えて、3駅先の円山公園駅まで行きました。市の円山動物園なんかがある場所です。この駅を出て目的のポイントまで国道を延々と30分程歩くのですが、初っ端地下鉄の出口から地上に上がりグーグルマップを見ながら国道を10分ほど歩いた所で、全くの逆方向に歩いていることに気が付きました。
これ、スマホのコンパスの精度が狂っている時によくやりがちなのですが、自分が向いている方角の矢印が全くのデタラメを指している事がよくあって、アプリでコンパスの較正を時々するのですがそれでも気が付くと狂っている。今日は半袖で歩いているだけで汗ばむのに、逆方向に10分も歩かせるなんて狂ってる。これで目的地まで正味40分歩かされることになった。コンパスも狂ってるがこの道のりを歩かされるのも狂ってる。
次の巡礼ポイントは以下のシーンになります。MVの1分30秒あたりからです。KiKiちゃん(许佳琪)が、恐らく飼い猫なんでしょうか?【猫探しています(寻猫启事)】の張り紙を住宅街の電柱に貼っているところのシーンです。
そして、かなりの枚数の張り紙を歩きながら貼ってきたのでしょうか、疲れて階段に座り込んでしまっていますね。そのシーンがこちらです。とても悲しそうな表情をしているのですが、KiKiちゃんの美人オーラが凄くて色気すら感じられます。そのスタイルの良さも相まって、パンツスーツ姿が本当に良く似合いますね。普段からこういうシュッとした衣装が多いので似合うのも当然ですね。
こんなにべっぴんさんなのに、普段メンバーとはよくふざけ合ったりしていて、後輩に対してもとても気さくでユーモアのある良い先輩なんです。そういうギャップがメンバーから慕われる理由でもあり、安定して高い人気をキープしてきた所以でもあるのでしょう。
さあ、この2つのシーンから場所を割り出すのは流石に至難の業。というか、これだけのヒントしか無いとなると地元の人でも無理なんじゃないでしょうか。そこで、助け舟となるのが先程も紹介したドラマ版の存在ですね。
ではドラマ版の該当シーンを細かく見て行く事にしましょう。ドラマ版では5分ぐらいから一連のシーンが始まります。
最初のカットは見慣れない住宅の玄関から下の方を覗き込み何かを探している様なシーンから始まります。僕は最初このシーンが何のために差し込まれているのか全然気が付かなかったのですが、恐らく飼っていた猫が逃げ出したか何かで慌てて玄関を飛び出して家の周囲を見渡して探しているんですね。そういう風に取るのが自然だと思いました。足元が写っていないので何とも言えませんが、慌てて飛び出してきているので、もしかしたら裸足なんじゃないかなっていう想像を巡らせることができます。大事な大事な飼い猫ですから。
次のカットでようやく本編MVとの繋がりが感じられるシーンへと入っていきます。そして巡礼の場所を探る手掛かりの1つとしても重要なシーンです。こうやって住宅街を遠目から映していると背景や周囲の住宅の並びなどから、場所を特定する際の大きな手掛かりとなります。それぐらいこのカットは重要です。
さあそしてこのKiKiちゃんの猫探し物語りの一連のシーンにおいて、場所を絞り込む成功のカギを握る最重要カットが、この階段を降りてくるところです。
画面左下の案内板に注目してください。【旭ヶ丘町内会案内図】とあります。まずグーグルマップ上で札幌市周辺地域に範囲を絞って、旭ヶ丘という町名が付いている場所を絞り込みました。それがこの範囲です。
ここまで絞り込むことが出来れば、後は時間の問題です。このハイライトされた範囲の中から、上掲の案内図にある球場と思われる扇形の広場のある公園と、そこから伸びる道の形とをグーグルマップ上の地図と照らし合わせて、ようやく場所を特定することが出来ました。ではどうぞ。
Day1.午前12時10分
最初に訪れたのが、ドラマ版でKiKi(许佳琪)ちゃんが住んでいる設定のこの自宅です。この柵から身を乗り出して飼い猫ちゃんを探していましたね。ここは見たところ撮影当時と何も変わっている様子はありませんでした。後ろの白いマンションとの構図もバッチリです。さすがに個人のお宅なのでアプローチを上がってKiKiちゃんと同じ様に柵から身を乗り出すことは叶いませんでしたが、この場所を特定するまでにはそれなりに時間がかかったので嬉しかったです。なんか思っていた以上に謎に感動しました。
はい、このKiKi(许佳琪)ちゃんのシーンを完全特定することに寄与したこの案内板と階段です。ここも撮影当時と恐らく何も変わっていないと思います。結構急な坂がこの一帯多いのですが、恐らく山もしくは丘陵を削って造成した住宅街なのではと思いました。
いや~それにしてもこの階段にKiKiちゃんがいたのかと思うと、やっぱり謎に感動してしまう自分がいます。
この急な階段を登っていくと、そうですあの張り紙をしていた路地が見えてきます。MVで何度も何度も見たシーンです。
向かって奥が登ってきた階段に続いています。駐車してある車が違えども正にKiKiちゃんが張り紙を持って歩いていた路地に間違いありません。路地後方の白いマンションと赤い屋根の家の位置関係、両サイドの住宅の並びからもここがそのポイントで間違いないということを証明しています。
ちなみにKiKiちゃんが張り紙を貼っていた電信柱も少し見切れていますが左端に写っています。
少し引きで見て見ましょう。この画像左奥の電信柱が張り紙を貼っていた電信柱で、画像右奥シャッターがしまっている車庫のその手前の車庫スペース。ここにも猫ちゃんの張り紙をして更にKiKiちゃんが寄り掛かっているカットもありますね。それにしても、ロケハンしてなんでこの住宅街で撮影することになったのか経緯が気になります。
今日巡ってきた他のポイントとこの住宅街との位置関係が明らかに離れていて、わざわざここを選んだ理由というのが何かあるとは思うのですが。何なんでしょうね。
そんなことをぼーっと考えながらも、この住宅街とても閑静で僕みたいなよそ者がウロウロしているととても目立つので早々に戻る事にしました。このコロナのご時世、もし自分が住民で得体のしれないよそ者が住宅街を徘徊していたら気持ち悪いですもんやっぱ。しかもこの時ちょうどお昼時で、あちこちの住宅から人の気配が凄くしていたので尚更早めに退散しとこうと思いました。ど平日の日中ならもう少しゆっくりできたんでしょうけどね。
この住宅街からまた30分かけて最寄りの円山公園駅まで引き返します。まだ昼なのにどんだけ歩かせるんだまったく。この時点で朝からまだガムぐらいしか口に入れていない。狂ってる。
Day1.午後1時頃
円山公園駅に戻ってきたのがだいたい13時頃で、アンスのライブが16時に開場。それまでにすすきののホテルに一度戻って着替えたりライブに持って行く荷物を準備したりしなければいけなかったので、15時にはホテルに戻らないと間に合わない計算です。
なので、今日使える時間はあと2時間程度という事になります。今日ここまでで、イートン、タコちゃん、DDD、KiKiちゃんと巡ってきて次が最後のポイントになります。
実はこれから行くポイント、恐らくこの『时间的歌』のMVの中で一番特定が難しいんじゃないかと思っています。ここを見つけることが出来たときマジで嬉しかったし、自分の検索能力の高さを褒めてあげたいと思ったぐらいでした。
問題のシーンはこちらです。五折(吴哲晗)が恐らく就職活動の不採用通知を受け取って感情を露わにするシーンです。MV本編だと1分21秒からとなります。なんで屋上なのかは正直謎設定ですが、スタイルも良く顔も美しい五折だと何でも映えますね。この7年で本当に綺麗なお姉さんになりましたよね。
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”高校時代を過ごしたあの頃、いつもの教室に行けばそこにはクラスのみんなが毎日いて、少しぐらいの辛い事でも他愛の無い話をしたり励まし合ったりして私もなんとかあの日みんなと一緒に卒業を迎えることができた。
けれども、今のわたしにはあの時のように常に側にみんながいるわけじゃない。決められた時間割り、代り映えのしない退屈な登下校、何のためにあるのかわからない校則。スカートの丈を決める事で一体わたしたちの何を測っていたの?髪の毛の色を縛る事でわたしたちの何を縛ろうとしていたの?表立って先生達に反発する勇気なんてないけれども、そんな答えの出ない疑問を抱えながら漠然と卒業後の自由な進路を夢見ていたあの頃。
やっと卒業してわたしは自由になれた。クラスメイトのみんなと離れ離れになるのは心細いし寂しい。けれど、わたしはこれからわたし自身の為に夢にチャレンジするんだ。クラスのみんなも両親も私の夢を応援してくれて背中を押してくれた。都会に出ればきっとなんとかなる、あの時の私はそういった漠然とした自信の様な物だけしか持ち合わせていなかったけれど、独り暮らしの為に借りたワンルームの小さな小さな空っぽのこの部屋にはあの時確かに夢が溢れんばかりに詰まっていたわ。
最初はそんな抱えきれない程の大きな希望を携えて都会に一人出てきたけれど、どうしてだろう全然上手くいかない・・・。もうこれで不採用通知を受け取るのは何社目だろう。わたし、この業界向いてないのかな。イートンやBeeちゃんも地元を離れてこっちに来てるみたいだけど、みんな今頃なにしてるのかな。順調にそれぞれの夢に向かって頑張ってるんだろうな...。わたしだけどうしてこんなに惨めな気持ちにならなきゃいけないの?いつになったらわたし本当に自由になれるの?”
「なんで?どうしてっ!?・・・、わたし、もう嫌っーーーー!!!」
この屋上のシーン、僕には五折がそう叫んでいるように聞こえました。就職氷河期世代に引っかかっている僕には何かとてもシンパシーを感じるシーンでもあるのです。
さすがに屋上で不採用通知を開封して思いのたけを叫ぶようなそんなエモーショナルな事はしてませんでしたが、就職活動の合間を縫ってはアキバのメイド喫茶をはしごするといった、爛れた生活を送っていたのを昨日の事のように思い出します。
さて、気を取り直して場面検証を進めましょう。まずこのシーンの場所を特定するにあたって大きな障害となるのが、恐らくこの屋上に実際に上がってみる事は不可能だろうということ。そして今回も情報が非常に少ないという点が挙げられます。
最初に何となくわかったのがカメラが向いている方角です。太陽の位置と周囲の建物の明り取りの窓の向きなどから、カメラが東側を映しているのではという仮説が立てられます。
加えて、仮にカメラの向きが東だとして片側3車線の幹線道路が東西に伸びているということぐらいです。それともう1点、道路の中央分離帯に緑地があって、街灯の形が特徴的といったところでしょうか。とはいえこの街灯の形が札幌市内ではポピュラーな形状だった場合、詰みます。
これ、地元の人だったら周囲のビルやマンションの形から推測してすぐに解るのかもしれませんが、如何せん僕はまったく土地勘がありません。この段階ではほぼほぼお手上げ状態でした。だって、幹線道路沿いにマンションやビルがこういう配置で並んでる場所なんて腐る程ありますからね。この段階ではあまりにも情報が少なすぎました。
しかも特定を邪魔するかのように、目の前のマンション2棟のうち後方のマンションが修繕工事中かなんかで、幕で覆われてるじゃないですか。これはタイミングが悪すぎます。せめて幕が取り払われていて、マンションの概観が拝めるかもしくは、潔くマンション自体が無くて、遠景が見通せたらもっと特定が簡単だったのかもしれません。
ここで一度情報を整理しましょう。
・太陽の位置と周囲の建物の向きから、カメラは東を向いている。
・幹線道路は片側3車線で中央分離帯に緑地が点在している。
・幹線道路は東西に伸びている。
・街路灯が二股に分れてアーチを描いた形状。
以上ここまでで判明している手がかりは4点のみでした。正直、この撮影ポイントは諦めて別のポイント探しをした方がいいんじゃないかって思うぐらい気持ち的にどん詰まり感を抱いていました。
ですが困ったときの頼みの綱といえば、もう幾度か登場しておりますドラマ版(剧情版)の出番ですね。
このドラマ版のシーンを細かく見ていくと注目するカットが有ります。
涼しげな青と白のストライプ柄のシャツを着た五折が封筒から不採用通知を取り出して深刻な表情で文面を眺めています。このシーンを拡大表示にしてよくご覧ください。幹線道路の左側に豚のキャラクターが描かれている黄色い看板があるのがお分かりいただけますでしょうか。
更に道路の右側にもオレンジ色の看板で文字が書かれているのが見えるかと思います。画像を拡大してみたところ右側のオレンジ色の看板にはひらがなで『かつてん』と書かれている事が判別できました。これはかなり有力な情報を得たことを意味します。
この解読できた『かつてん』というキーワードをそのままグーグル検索にぶち込みます。
はい、ビンゴです。そしてここから札幌市内のかつてんの店舗のみをピックアップします。そうすると、以下の5店舗がヒットします。
・かつてん 桑園イオン店(FC)
・かつてん デュオ新札幌店
・かつてん 新さっぽろ店
・かつてん 苗穂イオン店
・かつてん 北14条光星店(FC店)
ここまで漕ぎつければもうゴールは見えたものです。100店舗程度だったら総当たりで全然やってやるぐらいの気持ちでしたが、たかだか5店舗です。
さっそくそれぞれ各店舗の住所をグーグルマップの検索にかけて、ストリートビューから店舗周囲の道路や構造物、道路を挟んで反対側にあった豚のキャラクターが描かれている黄色い看板といった手がかりを見つけるだけです。
結果、あっという間に条件に該当する店舗がヒットしました。その店舗がこの『かつてん 北14条光星店(FC店)』です。
そしてグーグルマップ上で検証した結果、豚のキャラクターが描かれている黄色い看板のお店は『とんかつ はららき環状店』ということが分かりました。店舗数はかつてんに比べると少ないのですが、こちらもチェーン店だったんですね。
この2店舗の位置関係と当初の予想通りに国道が東西に伸びていることから、撮影カメラが向いていた方角も東方面で間違いないことが裏付けられました。
よって、この『かつてん』の位置と『とんかつ はららき』の位置から推測したあの五折が立っていた屋上のビルは、『吉田学園情報ビジネス専門学校』で間違いないという結論に至りました。Q.E.D.
では実際に僕が現地に赴いて撮った写真をご紹介したいと思います。最寄りの駅は、東豊線の東区役所前駅が最寄りになると思います。僕は東区役所前駅から徒歩で現場に向かいました。
駅を降りて改札を抜けて地階へ出て、国道の方へと歩みを進めます。すると程なくして、グーグルマップのストリートビューで何度も何度も見返した風景が目の前に広がります。
この写真はMVのカメラアングルとは逆向き方向、つまり東から西方面を向いて撮っていますが、豚の看板も専門学校の看板もストリートビューに写っていたままの姿で僕の到着を待ち構えていてくれたかの様です。豚のキャラクターなんて「待ってたブー」とでも言っているかってぐらいに僕の事を真っすぐと見つめています。
そして視線を左に移すと、
この巡礼ポイントを特定する重要なキーとなった、『かつてん 』の看板が燦然とそびえ立っていました。本当にありがとう『かつてん 北14条光星店(FC店)』。
今回は屋上の場所が私有地であるため、実際に上がって同じ場所から撮影することは不可能だということは判り切っているので、地上から似た様なアングルで写真に収められるポイントを歩きながら探っていきます。
学校の入り口付近から東側を向いて撮るとこのアングルになります。『かつてん』と『はららき』の位置関係もバッチリですね。
中央分離帯の緑地に生えている樹木の感じであったり、街路灯の形状も一致します。
それと少し見えにくいのですが、『はららき』の看板の後方に写っているのがMVの撮影当時は修繕工事で幕が被さっていたマンションになります。あと、道路を挟んで反対側、『かつてん』の看板の後方に建っているチョコレート色の12階建てぐらいのマンションもMVのシーンで見覚えがありますね。
改めて比較してみると間違いないですね。『かつてん』後方のチョコレート色のマンションの外観の形状も一致しますし、屋上に立っている通信会社の基地局のアンテナの形状や場所、本数なども一致しています。
五折の正面に立っていた2つのマンションですが、手前のマンション外壁の色が塗り直されているようでした。MV当時はこげ茶っぽい色でしたが、今は写真のとおりクリーム色っぽくお色直しされています。ですが、外観の形状や非常階段の位置などからも一目瞭然ですね。MVのあのマンションに間違いありません。
そして後方のウエハース色をしたマンションがMV撮影当時は修繕工事によって幕が被さっていたマンションです。前方のマンションとの位置関係から十中八九間違いがないと言って良いと思います。
そうそう、余談なのですが札幌の街を歩いていて感じたことなのですが、札幌のみならず北海道全体を通して言える事かと思うのですが、人家の屋根の色に赤茶っぽいレンガ色を施したお宅が他県に比べて凄く多いと思ったのです。よくよく街を観察すると赤茶だけではなく、思いの外屋根や外壁がカラフルな気がします。これって何か地域的な由来があるのでしょうか。
とりあえずこれにて五折の物語も回収することができました。今日巡る予定だったロケ地は周り切ったのでひとまず安心しました。と、急にお腹が空いている事に気が付きました。そういえば、今日は朝からガムぐらいしか口にしていないのです。
この後16時からライブで身体を動かすことを考えると、今のうちにお腹に何か食べ物を入れておかなければなりません。ライブと特典会に参加してから、夕食を外で食べようと思っても緊急事態宣言下の札幌市内は外食出来る店舗がほぼほぼ壊滅状態です。
是が非でもこの隙間時間に栄養を補給しておきたいし、そもそも新千歳に降り立ってからまともに座って休憩もしていません。初日からバカみたいに歩いているし、ギャラが出るわけでも無いしいい加減休憩がしたい。
そうしたら目の前におあつらえ向きな場所があるではないですか。この真夏の様な燦燦と照り付ける直射日光からも非難できます。入らない理由はありません。
このかつてん、その名前からも想像に難くないと思いますが、カツ丼と天丼が1つの丼の中で共演しているというなんともドリーミンな丼物を看板商品としてラインナップしているファストチェーンです。
ロードサイドという立地もあるのでしょうが、僕が店内にいる間にタクシーの運転手さんと思しきおじさんが何人か訪れて丼をかっ込んでいました。店内のレイアウトは、コの字カウンターを2つ悪魔合体させたような形状のカウンターがセンターにあり。その左サイドにファミリー向けの4人掛け席が4つほどあり、その逆サイドに窓際にお一人様用のカウンターが5席ほどありました。
僕は窓際のお一人様用カウンターの端に着席して、お店に入る前からその店名を冠したかつてん丼を食べると決めていたのでさっさと注文します。ものの5分程度で着丼。想像した通りの丼がやってきた。本当にカツ丼と天丼のハーモニーといった装いだ。こういうのでいいんですよ。
卓上には天ぷら用のたれが置かれていて、自分でお好みの量を天ぷらにかけるスタイルです。カツも天ぷらも揚げたてだし、衣はサクサクだし、想像していた味をそのまま忠実に再現したようなちょうど良い美味しさ。奇をてらった味付けや調理じゃなくって、飽きの来ない味付けだし本当にこういうのでいいんですよチェーン店って。ただ、お米の炊き加減だけはチェーン店のそれをカンストした美味しさで、粒が立っていて、天ぷらのタレがよくしみ込んでとても美味しかったです。
お会計の時に100円割引券を貰ったので、またいつか食べに来ようと思いました。ごちそうさまでした。
この時点で15時ちょっと前、僕はこの後16時からライブがあったので、地下鉄で一旦すすきののホテルに引き返してチェックイン手続きをして部屋に入って、ライブの準備をしなければなりません。SNH48巡礼の旅初日はこれにて終了となります。
Day1.午後9時半頃
アンスのライブと特典会に出てからすすきののホテルに戻ってきたのが21時半頃でした。荷物を置いたりして一息ついてから、ホテルの目の前にあったセコマで簡単な夕飯とビールを買い込んできて、今日1日で撮った写真の整理と、このテキストの下書きを少しだけやります。忘れないうちに明日に備えて次に巡るロケ地の再確認や、周る順序などをざっくりメモしたりと息つく暇も無く作業に追われます。まるで出張先のホテルでクライアントに悪態をつきながら残業していたあの頃みたい、はーと。ひどく酩酊しそうな事が頭を過りますが、そんなあれやこれやを一蹴しながら明日の段取りを着々と進めます。
明日はライブが14時開場と早い時間帯から予定が詰まってしまっていたので、SNH48の聖地巡礼に割ける時間がかなり限定的です。ほろ酔いながらも、明日の朝からスムーズに動けるようにしっかりとスケジュールをぐちゃぐちゃまぜまぜタイム2人アバンチュールしました。
それにしてもですよ、たった一人で遠征に来ていると移動中のふとした隙間時間や、ホテルでぼーっとしてたりするとひっきりなしに推しのことばかり考えてしまって、ちょっとセンチメンタルな気持ちになりますね。これはガチ恋を拗らせる前兆なのでしょうか。オシエテ Mr.Wonder。
Day2.午前8時
昨晩程よくお酒がまわり気持ちよく寝つけたのもつかの間、夜中にホテルの外からスポーツカーが空ぶかししながら爆音でホテルの周囲を何回も何回も走り抜けていく音でめっちゃ安眠妨害された。
目が覚めてしまってから1時間ぐらい寝つけなくなってしまった。過密スケジュールのなかでの貴重な睡眠時間を奪われた。一度過ぎてしまった時間はもう二度と取り戻せないのだ。
今日は14時から予定が詰まってしまっていて、昼食を食べる時間を考慮すると実質動けるのが12時までです。それを過ぎてしまうとお昼を抜かしてライブに参戦する羽目になるので、それだけはできれば避けたい。
昨夜の騒音で寝不足だからといって泣き言を言っている暇は僕にはありません。8時に起きて出かける準備を整えます。
今日は日曜日なので、昨日に引き続き地下鉄の土日祝日と年末年始期間限定の1日乗り放題切符ドニチカが使えます。520円で市内の地下鉄全線が乗り放題はめちゃくちゃ安いです。札幌の地下鉄は1区間210円~なので、最低3回乗れば元がとれてしまいます。使用期間が限定されているからこその料金設定とはいえとても良心的な乗り放題切符ですね。ちなみに、それ以外の平日でも一日乗車券自体はあり、こちらは820円になります。
改札脇の券売機でさっさとドニチカをゲットして、まずはさっぽろ駅へ向かいます。昨晩宿泊したホテルには今日は泊らず、今夜からはドミトリーに2泊することになっているのです。なので、ドミトリーにチェックインするまでの間は駅のコインロッカーに余計な荷物は突っ込んでおくことにしました。※今回宿泊するドミトリーはチェックイン前の荷物預かりをしていないので。
ちゃっちゃとさっぽろ駅で降りてから、目当てのコインロッカーを探します。目当てのコインロッカーというのは、少し特殊なロッカーがこの札幌駅周辺に点在していて、そのロッカーが実に便利なんです。それがこちらのロッカーです。
アップの画像を撮るのを忘れてしまったので見づらいと思うのですが、一番左端の列のロッカーだけ扉の真ん中に小窓が付いているんですよ。
で、この小窓にも扉と共通の鍵穴がついていてですね、この小窓から出し入れ可能なサイズのものなら無料で何回でも出し入れが出来るんです。
製造メーカ(日本自動保管機株式会社)のHPに小窓部分を拡大した画像があったので転載します。
このロッカーが本当に使い勝手が良くってですね、ライブに持って行く着替え、チェキ帳、ペンライトといった大体の物が出し入れ出来て本当に助かりました。CDアルバムサイズより一回り大きいぐらいの幅までなら全然通せちゃうんです。
無事荷物をロッカーにぶち込んでから今日の最初の目的地に早速向かうことにします。なんせ今日は聖地巡礼に使える時間が午前中しかありませんから、効率よく攻めて行かないと取りこぼしが発生する事態になりかねません。
今日まず向かうのは、昨日一番最初に写真に収める事ができたイートン(李艺彤)の物語に出てくるロケ地の続きを撮りに行きます。昨日は狸小路の停留所のみでしたが、あの物語りを深く洞察する為には欠かせない場所へと歩みを進めて行こうと思います。ではまずMV本編のカットを見て見ましょう。狸小路の停留所のシーンから少し飛んで、1分55秒からこのシーンが始まります。
前のカットでは狸小路の停留所に佇んでいたイートン。場面が変わり今度は、見た事のない路地でスマホの画面の中のかつてのクラスメイトの姿を微笑ましくそして懐かしむようにをただじっと懐かしむように覗いています。
イートンの右腕にはエプロンの様な物が掛かっていて、どうやら仕事の休憩時間のように見受けられます。
”みんなも今頃きっと頑張っているはず、わたしもこれぐらいでへこたれてなんていられないじゃない。これぐらいのことで弱気になっていたら、みんなに会わせる顔が無いわ。ガンバレ!わたし!”
この時のイートンの横顔が僕はとても好きで、卒業公演『你好,李艺彤』のときの感極まって涙を流していたイートンの顔とともにこのMVの時のイートンの顔も良く思い出しては懐かしく思うことが未だにあります。
どうしても手前のイートンの立ち姿に目を奪われてしまいがちですが、後方の少しピントがぼやけ気味の構造物に注目してみましょう。
この緑の看板、何か見覚えがありませんか?僕は良く街中で目にするのですぐにピンときました。そうです。三井のリパークの看板ですね。これでもう確定目が出たも同然なのであとは確実にボーナス図柄を揃えていく作業に入りましょう。
まずは場所の当たりをつけます。先程イートンが佇んでいた停留所が狸小路だったので、そことの整合性を考えるとこの路地裏も狸小路の何処かに存在すると考えるのが自然です。
しかしながら、いくら狸小路の範囲内だからといって繁華街なのでパーキングスペースが結構な数存在していて、もう少し範囲を絞れないものかと思いました。すると、次のカットに重要な手掛かりが隠されている事に気が付きました。それがこちらのカットです。
一瞬でも目を逸らしていると見逃してしまいそうになるカットなのですが、めちゃくちゃ重要な事が書かれています。『二番街』。さっそく狸小路商店街のなかの二番街に範囲を絞って、三井のリパークを検索します。
すると、こちらの札幌南4西1駐車場がヒットします。
昨日の『かつてん』が特定の重要なカギになったように、今回もチェーン展開しているコインパーキングが特定のカギになりました。何かしら場所を特定する場合、こうしたサプライチェーンを手掛かりにすると案外スムーズに行くことが多い様な気がします。看板や商標もユーザーの目に留まりやすいようにキャッチ―なデザインや配色にしていることが多いのでとても助かります。
Day2.午前10時半頃
では僕が今日の午前中1発目に向かったこのポイントの実際の写真をご覧ください。ここへはさっぽろ駅からまた1駅大通駅まで戻って、そこから徒歩でだいたい10分弱といったところでしょうか。
この三井のリパークの看板と奥にある紺色をした外壁の雑居ビルを見た瞬間確信しました。少し小走りに、興奮しながらMVのアングルに向き直って写真を撮ります。
今にも少し疲れた表情でお店の扉を開けて片手にエプロンを掛けながらイートンが出てくるんじゃないかって思うぐらい、この路地はMVが撮影された当時のままの様でした。
周囲を大きな雑居ビルに囲まれた、ビルのエアポケットの様な空間に全長30メートル程度の本当に小さな小さな、時代に取り残された様なひっそりとした路地。周囲の静けさも相まって、本当にイートンここに居るんじゃないかって錯覚するぐらい、この路地だけ時が止まったかのような雰囲気を醸し出していました。
この赤い扉のお店、台湾料理店なのですがすごくいい味だしてますよね。たとえイートンじゃなくても、今この瞬間にこの扉の向こうから中華女子が出てきたら恋に落ちてしまう気がする。そんな不思議パラレル空間でした。
ちなみに重要な手掛かりを教えてくれたこの二番街風鈴の短冊の裏面に描かれているこの見慣れないキャラクター、
二番街商店街のHPで情報収集してみました。
この子は二番街商店街のオリジナルキャラクターで、ニーバン・G・アレクサンドリアというキャラクターらしいです。雪ミクよりは歴史は新しいですが、結構長いことこの二番街商店街の振興に一役買っているようですね。普通に可愛いです。左手がでっかい鉤爪みたいになっていて、レイレイみたいでカッコいいです。
Day2.午前11時過ぎ
さてこれで狸小路周辺の撮影スポットは全て潰したでしょ!どんどこ次にいきまっしょい!
、と思ったのもつかの間、ドラマ版の方で追加のシーンがあることに気が付きました。それがこちらのシーンになります。1分5秒辺りから始まります。
え!?イートン、ダブルワークしてんの?という衝撃の事実を知る事になるのです。
ですが、場所を特定するに当たってこれはとてもイージーですね。なんといってもイートンが出てきたお店が『月光』、隣のお店が『男の居酒屋』とでかでかと書いてあります。
これはもうこのまま検索範囲を狸小路周辺に絞ってグーグルさんにお伺いを立てます。
案の定狸小路商店街の中にあるお店だという事が判明します。ダブルワークするには近い方が良いですしね。では実際に現場に行った時の写真をご覧ください。
場所は先程のノスタルジック路地裏の二番街からは逆サイドの方向になります。一度大通りまで戻って道路を渡った反対側のアーケードをひたすら10分弱ぐらい歩いてようやく7丁目のアーケード商店街にたどり着きます。そして件のもう1つのイートンの仕事先がこちらになります。
仕事先の月光はそのまま残っていたのですが、残念ながらお隣の男の居酒屋はお店が変わっていて、『ギョーザと韓国屋台 SUEZOU エチオピア』というなんとも雑多な店名に変っておりました。
月光の扉もこれまた先程の台湾料理店同様に雰囲気のある風合いで、足元の立て看板も味があって渋いですね。良く見ると店舗となっている2階の窓枠も入口の扉と同じ塗装が施されていてオーナーさんのセンスがキラリと光るお店だなと思いました。ちなみに、1階部分は八百屋さんが今も営業されていて僕が訪れた時ちょうどご主人が忙しなく店先に商品を並べているところでした。
Day2.午前11時30分
これで取りこぼしなく狸小路商店街周囲の撮影スポットは回収し終わりました。この時点で午前11時半過ぎでした。昼食をとる時間を考えると少し急いで次の目的地に向かわなければなりません。
次は大通駅から1駅先のさっぽろ駅にまた戻ります。一応このさっぽろ駅近くにある撮影ポイントを押さえたら今日の聖地巡礼は終了となり、後は近場で昼食をとってからさっぽろ駅の地下通路のロッカーに朝預けた荷物の中からライブに持っていく荷物と着替えをロッカーの便利小窓から取り出して、ライブ会場に向かうという段取りになっています。
さっぽろ駅から地上に出て、TV塔やバスセンター、中央郵便局がある方面へ歩みを進めます。途中、札幌時計台やTV塔を横目に見つつ目的地へ急ぎます。
次の目的地はMV本編の中で、Beeちゃん(孔肖吟)が履いていたミュールのヒール部分が取れてしまい、恐らくその拍子に躓いて歩道橋上で座り込んでしまっているシーンです。本編1分31秒辺りの1カットです。
色気のあるお姉さんキャラでお酒も大好きなBeeちゃん、その綺麗な脚が余計に痛々しさが伝わってくるようです。足首めっちゃ痛そう・・・・。エロっ...。
Beeちゃんの綺麗な脚に見とれてばかりでは話が進みません。シーンの検証を続けます。しかしながら、このシーンも本編MVではこの1カットのみであまりにも情報が少なすぎてお手上げ状態です。
いくらなんでも、札幌市内の歩道橋をしらみつぶしに探せるほど僕には時間が残っていませんし、もし札幌在住で余りある時間があったとしても、そんな酔狂なことしたくありません。毎週末Beeちゃんがデートしながら一緒に札幌市内を散策してくれるなら喜んでやりますけど。
う~ん、たぶんですけど10分ぐらい歩いたら「ねえねえ、疲れたし暑いからどこかでビールでも飲みながら休憩しよ?」、とか可愛く上目遣いで言われたら「うん、そうしよう」としか言えなくなっちゃうんで、恐らく永久に歩道橋の場所見つからないっすね。
僕は顔面にホクロのある女性がとても好きでして、特に目元と口元のホクロにすごく煽情的なものをおぼえるのです。まあ普通に顔面ホクロフェチですね。
そんな顔面ホクロフェチの僕にぶっ刺さるのが目元にも口元にも両方ホクロを完備しているBeeちゃんなんですね。控えめに言ってもめっちゃエロくないっすか?
なんか、高校の時に1年先輩とかにこんなエロい感じの先輩とかいたらヤバかっただろうな~って思います。(何が
さてそんな妄想キャリブレーションな僕の戯言はさておき、上掲のシーンの検証に入りましょう。今のところ場所は歩道橋ということしか判明していません。1カットでこの情報の少なさは致命的と言えます。
こうなったら頼みの綱のドラマ版(剧情版)いっときましょう。本当に何度もこのドラマ版には助けられていますね。これが無かったらきっと今回のこの聖地巡礼の計画すら諦めていたと思います。
ではドラマ版の4分40秒あたりからのカットから手がかりがつかめそうなので順に見ていこうと思います。
まずはこの最初のカットですが、ここから分かる事は片側4車線はある大きな国道が歩道橋の下を走っているということ。
更には中央分離帯部分に遊歩道のある緑地帯のようなスペースが続いているということがなんとなく分ると思います。
次のこのカットはかなり重要ですね。右奥の赤茶色っぽいオフィスビルらしき建物の外観が良く見えていて、ストリートビューで場所を特定する際に重要な手掛かりとなり得ます。このカットは迷わずキープです。
はいはいはい、これは急に特定が容易になった気がしますね。Beeちゃんがミュールを手で持ち頷きながら横断歩道を歩いているシーンです。
これ奥に写っている建造物、有名なやつじゃないですか。札幌の旧庁舎です。これでこの歩道橋が大体どの国道に架かっているのか当りをつけることが出来そうです。急に難易度が簡単になりました。
早速GoogleMapで確認すると、上図のマーカーで引っ張った道路のどこかをBeeちゃんが横断していたことが分かります。
そしてその周囲にある交差点に架かる歩道橋と交差点にある赤茶色っぽい外観をしたオフィスビル。この2点を探すと、合致した歩道橋がちゃんとヒットしました。では実際に現地に行ってみましょう。
Day2.午前11時50分頃
決め手はやはり交差点の赤茶色のオフィスビルでした。しかもこのビル良く見ると交差点に面した部分を面取りしてあって、ちょっとおしゃれですね。
ちなみにBeeちゃんがミュールを手に持って横断歩道を渡っていたあの場所は、歩道橋よりさらに旧庁舎方面に2ブロック進んだ、北3条西2条交差点にある横断歩道です。GoogleMapの赤丸で囲んだポイントです。すいません、ここだけ写真撮り忘れました。
遠目のアングルからで勘弁してください。
そしてBeeちゃんが歩道橋を背にして寄り掛かっていた後ろに写っていた中央分離帯と思しきスペースの遊歩道と緑地帯ですが、こんなに涼やかで素敵な場所でした。時間があったらゆっくり散歩したかったのですが、今回は時間が限られているということで叶いませんでした。
札幌駅方面に戻りながら少しだけ遊歩道を歩いたのですが、国道を挟んで反対側に凄く素敵な教会がビルの谷間にひっそりと佇んでいました。
TYPE-MOON作品なんかに出てきてもおかしくないぐらい、小さいけれど重厚さを感じる石造りの威厳がありつつも、凛とした佇まいをした教会だなと思いました。かっくいいっすね。
というわけで、ここまでが2日目の聖地巡礼の旅でした。今日もなんとか予定通りに巡る事が出来て一安心です。このあと僕は札幌駅にあるエソラという商業施設で回転ずしをかっ込んでから14時開場のアンスのライブに向かいました。
ライブ後の特典会が18時30分に終了して会場を後にします。そのまま一度札幌駅地下街のコインロッカーに預けてあるリュック一式を回収して、今夜から最終日までの宿となるドミトリーに向かうため、さっぽろ駅からすすきの駅に向かいます。
1日目2日目と聖地巡礼とライブの2本立てで疲労が溜まっていてさっさと寝たかったのですが、この聖地巡礼のレポを忘れないうちにメモっておきたかったので、ドミトリーのフリースペースでサッポロクラシックとセコマオリジナルブランドのハイボールとレモンサワーを飲みながらちょっとだけノートPCで作業をして就寝。お疲れ様でした。
Day3.午前7時
とことんツイてない。昨夜もめっちゃ安眠妨害された。ドミトリーの僕の上の段の人が夜中になんか寝返りだか空中浮遊だかわからないんですけど、めっちゃどっしんどっしんするんですよ。
念のために耳栓を持参してきていたので、それでだいぶマシにはなったんですけど、振動って直接身体にも響いてくるじゃないですか。ホントもう最悪です。
更にですよ明け方5時ぐらいにまた別の対面の人が、起きてるんじゃないかっていうぐらいクリアに朗々と普通に話すぐらいのボリュームで寝言を言わはるんですよ。ツイてない。
さて今日からは二日間は全てSNH48『时间的歌』の聖地巡礼に心も体も捧げる事になります。アンスリュームのメンバーも昨日のライブを終えて今日東京に帰ってしまいます。睡眠時間は少々心もとない感じになってしまいましたが、気合と根性だけでこの二日間乗り切ってやろうじゃないのという気持ちでドミトリーを出発します。
今日から二日間は日没だけを気にしながらもそれ以外は特に時間にしばられる事もなく、ただ聖地巡礼スポットの事だけを考えて行動すれば良いので気が楽といえば楽です。
一つ懸念があるとすれば、今日からは札幌市を離れて近隣の市に足を延ばすので、移動にそれなりの時間を取られてしまうということです。
Day3.午前9時
札幌駅からJR学園都市線で30分ぐらいですかね、あいの里公園駅という無人駅に降り立ちました。駅は無人だし、駅舎を出ても人っ子一人いない。北海道ってやっぱり大きいんだなって改めて思いました。
今日最初の目的地はMV本編及びドラマ版においても何カットも出てくるシーンの場所を押さえに行きます。
MVのサムネイルにもなっていたり、幾度と無く各メンバーの物語の合間合間に差し込まれるこの土手を特定し目指していきます。
これもそうですし、
ここもどこかの土手の同じポイントで撮影されていると思われます。
この土手なんですが、一見途方もない見当のつかない場所の様に感じるのですが、1枚目のカット画像をもう一度よく見てみてください。
恐らくドローンで空撮したと思しきアングルで、カメラの前方から後方へとメンバーが土手道を駆け抜けていくという、とても爽やかなシーンですね。
この画像をよーく見て下さい、奥の方に大きな橋が架かっているのが薄っすらと写っています。実際にMVで見てみるとアングルが後方に引いていくので橋の長さが相当あるということが分かると思います。そして、土手の後方に広がる河川敷の広さも注目するポイントです。
このことから何が推測できるでしょうか。かなり大きな橋が架かっていて河川敷の広さもかなり大きい、つまりここに流れている河川の大きさが見えてくるのです。これらの条件から、恐らく一級河川並みの大きさがあるのではという仮説が立てられます。
そして、札幌市周辺で一級河川といえば、そうです石狩川です。
そして、この空撮シーンでもう1つ無視できない大切なヒントが隠されています。メンバーが走り抜けているこの舗装された土手道に白いペイントで数字が描かれているのが目視できるかと思います。
雨が降った後で路面が反射してしまってちょっと見辛いのですが、赤丸で囲った部分に白ペイントで”13”と描かれているのが分ると思います。
これ、場所を特定する際にめちゃくちゃ重要なのです。
日常的に生活圏の中に河川敷や土手があったりすると、結構なじみ深いと思うのですが、河川に沿ってこういう数字の表記があるのって河口からの距離を示していたり、何処か特定のランドマーク的なものからの距離を示していたりするのです。
なので、この河川敷を石狩川の河川敷と仮定しつつ、更に河口から13kmの地点にあると推定し、GoogleMapのストリートビューで10Km前後の地点に当りを付けて右岸左岸の両方をトレースしていきます。
この大きさのペイントだとストリートビューの解像度でもちゃんと見えるんですよねえ。ようやく対象を補足しました。
さあ、あとは足を動かすだけです。張り切って現地に向かいましょう!
Day3.午前9時15分
あいの里公園駅からてくてくてくてく凡そ15分ぐらい歩いて行くと石狩川に架かる件の橋が見えてきます。間近でみるとめちゃくちゃ巨大な橋なのが良く分かります。
このでっかい橋は札幌大橋という名前の様です。竣工は1988年、当初は片側1車線ずつ計2車線で開通され、後年片側2車線ずつの計4車線に増設拡幅されたようです。まあでかいし、ひっきりなしにコンテナ車や長距離トラックがバンバン走っていて、札幌と石狩方面を繋ぐ大動脈の様な橋だなという印象です。
橋の袂から土手に降りれる脇道があったのでそこから土手に出て、あの”13”のペイントの地点まで延々と歩きます。
この何の変哲もない土手の舗装路、きっとメンバーの皆も歩いたのかな・・・。いや、普通にロケ車移動だろ。と、一人ツッコミも快調にズンズンと歩きます。
日よけに帽子を被ってはいるんですが、なんかもう真夏みたいな日差しの強さで首筋が暑いのなんのって。
途中、土手から見下ろせる草原の中に乗馬体験をしている施設が見えました。
ああ!もっと時間があれば札幌競馬場にも行きたかったし!
ウマ娘達を横目に更に10分程歩いたでしょうか、ついに目的の地点に到達しました。
ででーん!どうですか。撮ったこの写真の方角もMVのドローン撮影の方角と同じです。奥の方にちゃんと札幌大橋が望めると思います。
僕もMVのシーンでメンバーが走り抜けていくように、ちょっと走ってみたい気持ちがない訳でもなかったのですが、今日はまだここが1つ目のチェックポイントでまだまだ先が長いということが頭を過ったので、MVシーンの各カットのアングルをささっと写真にだけ収めて撤収することにします。
”13”の位置から更に下がって、よりMV撮影時のドローンが上がっていただろうと思われる地点から撮ってみました。
そして次にまた印象的なMVのなかのシーンがあるのですが、こちらをご覧ください。
土手の下からしゃくっているシーンです。メンバーの後ろに看板が立っているのもちゃんと写っています。
それが、この看板なんです。何回も土手の下に降りてアングルを検討したので間違いないと思います。
雲と青空そして土手の緑がとても清々しいコントラストだったので、ここからのアングルはかなりお気に入りです。立て看板を外して撮るともうどこの土手なのかすら分からなくなってしまいますね。Windowsの壁紙っぽいといえば確かにWindowsみがありますね。
このyoutubeのサムネイルにもなっているこの場所も、もちろんここで撮影されているのは一目瞭然だと思います。撮影しているカメラの後ろに”13”の路面ペイントがある位置から撮っています。
次にまた見て頂きたいシーンがあります。
このなんの変哲もないただの野っぱらで撮影された、群舞っているシーンです。これ、めちゃくちゃ難易度高いやんけ!ノーヒントにも程があると思って途方にくれていました。
しかし思わぬところからこの野っぱらも”13”土手の近くで撮影されたことが判明します。
それは公式がbilibli動画にアップしたロケのオフショット映像からでした。こちらです。
あまりにもノーヒント過ぎる野原で途方に暮れていてblibli動画を覗いてみるという初歩的な事にすら当初気が付きませんでした。
このオフショット映像の14分辺りからみていただくと、土手でのお別れシーンを撮った後、そのまま土手を降りて行って群舞のシーンを撮影してる様子がバッチリ記録されているのです。
公式が出していたロケのオフショット映像にヒントが隠されていることに気付くまでは、GoogleMapで似た様な川をストリートビューで延々と確認作業をしていました。たしか半日ぐらいひたすら札幌市周辺の小さい河川をしらみつぶしに見ていたと思います。
Day3.午前9時45分
実際に僕が撮影してきた画像です。後方の川の蛇行している形状や、川の際に植生している草木の形がMVのシーンとバッチリ一致していることが確認できると思います。
川の形が早々変わるもんじゃないのは勿論ですが、植生の分布のクセや樹木の枝葉の付き方っていうのも1年や2年程度じゃ案外変わらないのです。たとえ毎年野焼きしたって、そういった土地のクセって残るんじゃないかって思います。
そう、たとえ時間が過ぎようともそれまでに培ってきた習慣や周囲との関係性、そういったものが自信を形作っていてそういった周囲の環境から受けつづけていた傾向性というのは早々直ぐに変われるものではないと思います。草花や川の形がそうであるように、人間の営みだって同じだと僕は思います。
★
今日は移動がとにかく長いので1つ目のチェックポイントを消化したところで、いったんこの日の経路の全工程をまとめて見ておこうと思います。
これは当日の僕の移動経路をGoogleタイムラインが記録してくれていて、それを地図上にマッピングさせている全工程の図になっています。
紺色でマーカーされている経路が公共交通機関を使用した移動で、水色でマーカーされている経路が徒歩による移動を表しています。
土手の撮影ポイントで写真を一通り撮り終えて、あいの里公園駅に引き返してきた時刻がちょうど11時になる少し前頃でした。
この時点で、あいの里公園駅から一つ先の駅石狩太美(いしかりふとみ)駅で下車して、駅構内にある観光案内施設で貸し出しをしている電動アシスト自転車をピックアップしてから次の撮影ポイントに向かうという予定を立てています。
しかし、ここでアクシデントが発生します。当時の僕のツイートはこうなっています。
そうなんです、あまりにも呆然としてしまっていてその駅構内にある観光案内所の外観や張り紙をスマホで撮ることにすら気が回らないぐらい気が動転してしまっていました。なぜか駅舎の写真は撮ってるのに。
めっちゃおしゃれな外観の駅ですけど、ここもあいの里公園駅と同様に無人改札です。そして、黄色い看板に『FIKA』(フィーカ)と書かれていますが、これがそのクローズしていた観光案内所です。
いや、本当にめちゃくちゃショックでしばらくのあいだ構内のベンチから動けなかった。
Day3.午前11時
本来ならこのFIKAさんで電動アシスト自転車を借りて、石狩当別駅方面へサイクリングしながら聖地巡礼スポットを1つ1つ押さえていき、夕方16時ごろにFIKAさんに電チャリを返却し、この石狩太美駅から札幌駅に戻るという予定でした。
なので、その予定がガラガラと目の前で音を立てて崩れ去ってしまい、見知らぬ土地の見知らぬ駅で途方に暮れました。緊急事態宣言下という時期なので仕方ないのですが…。
う~~んツイてない、もう!ネコちゃんになっちゃうよ〜!!
とりあえずホームに入り直して作戦を練ることにします。それにしても、この石狩太美駅はおしゃれな駅舎の外観とはまた違って、このホームの感じがとても情緒があって良かったです。真夏を思わせる雲と真っ青な青空のコントラストも凄く綺麗で、落ち込んでいた僕の心が少しずつ洗われていく様でした。
スマホを見る手を停めて、ただぼーっと目の前のホームと青い空と白い雲を見上げていたら、クラスでちょっと最近気になっているあの娘が息を切らせながらホームに入って来て、僕が座っているベンチのすぐ横に背負っていたリュックとバッシュケースを置きながら、「たこまりねくんも今帰り?」なんて話しかけてくるんじゃないかって。「太美は最近バスケ部どう?そろそろ県予選でしょ」
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うん、今年はね、もしかしたらレギュラー獲れるかもしれない・・・。
そっか最後の夏だもんな。県予選見に行くから頑張れよ。
ねえねえたこまりねくん、来週なんだけど部活の合宿から帰ってきた日、確かちょうど夏祭りの日なんだよね。
・・・・お祭り一緒に行く?
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たぶんこのまま来週一緒にお祭りに行って、勢いで告白しちゃいそうだけど太美って名前はないわ。うん無い無い。ポコ美っていう名前も意味わからんけど、太美も無いわ。解散解散。
僕のメンタルもこのポカリスエットのCMみたいなエモーショナルな駅舎と、太美ちゃんのお陰で少し回復してきたので、どうやったら今日予定していたポイントを電チャリ無しで廻れるのかを練り直すことにします。
困ったときの旅の力強い味方NAVITIMEの力を借りて、ここ石狩太美駅から次の目的地である弁華別小学校まで最短時間での経路を出して貰います。こういう時、本当にNAVITIMEのトータルナビ検索はとてもパワフルなシステムだなとつくづく思い知らせれます。
トータルナビの検索結果画面から余計な画面遷移が極力なく、とてもシームレスにストレスなく必要な各情報に飛べるのでエンジニアのセンスがきらりと光っている良いプラットフォームだなと個人的には思います。
NAVITIME様の強力な検索エンジンによると、僕はこの後ここ石狩太美駅からお隣の石狩当別駅へJRで行き、そこから45分後に出る地域コミュニティバスで弁華別郵便局停留所まで行けというお達しでした。夕方から太美ちゃんと縁日に行きたいのでNAVITIME様の言うとおりにします。
部活帰りの太美ちゃんとお別れして入線してきた学園都市線に僕は一人で乗り込み、1つ先の石狩当別駅で下車します。行先表示板にはまだ太美ちゃんの名前が掲示されていて名残惜しくなります。レギュラー獲れるといいな。
石狩当別駅の改札を抜けると正面にバスの運行案内が表示されているディスプレイが見えてきます。
僕はこのなかの12時28分発の青山線青山会館行きというバスに乗るみたいです。まだ出発まで30分以上時間があるので、もしかしたら昼食を食べる時間があるかもと思ってGoogleで近場の飲食店を検索するのですが、月曜日定休だったり、徒歩で行って食べて駅まで戻ってくるとちょっとギリギリな感じになりそうだったので、ここはぐっと食欲を我慢します。
もう一度この後の行先をおさらいすると、僕は弁華別(べんけべつ)小学校という今は既に廃校になっている小学校に取材(一度取材って言ってみたかっただけ)に行くことになっています。MVの中で幾度となく登場する木造建築のレトロな学校です。やはり北海道といえばこういった木造建築に赤茶色の屋根というイメージがあります。
学校のシーンは全てこの弁華別(べんけべつ)小学校でロケが行われていて、この校庭もそうだし、教室のシーンや、体育館のシーンも全てこの校舎の敷地内でロケをしています。
管轄する行政の許可なく校舎の中にはもちろん入る事は出来ませんが、僕が訪ねて行った時点では学校の敷地内、つまり校舎内を除く校庭や校舎の周囲は自由に出入りと撮影が可能でした。
Day3.午前12時28分
12時28分定刻になり僕を乗せたコミュニティバスという名の10人乗りハイエースは、弁華別小学校に向けて出発します。乗客は得体の知れないおっさん(僕)と、恐らく地元のご年配のお母さんの計2名だけでした。
どれぐらいでしょうか20分弱ぐらいのどかな国道を北上してゆくと、目的の弁華別郵便局前という停留所が遠くから近づいてきます。僕は運転手さんにここで降りる旨を伝え、集金箱に200円を投入してコミュニティバスを降ります。
どどーんと、ここだけがそれこそ時間が止まったかのような空間が目の前に広がります。僕はこういう木造建築とか半分朽ちかけている廃墟とかも、普段散歩の傍ら探したりするのが好きなので、この弁華別小学校の佇まいはたまらなく興奮しました。ここは聖地巡礼とかそういうのを抜きにしても来てみる価値のある観光資源だと思います。
この校舎の前にあるシンボリックな樹の前で撮られた集合写真。みんなめちゃくちゃいい笑顔でポーズを取っています。つーかみんなスタイル良すぎ。足ながっ。
この校舎の入り口をまるで守っている守り人のような樹も、撮影当時のままその威厳を保って存在していました。この樹だけじゃなく校庭に植わっている他の木もそうなんですけれど、枝葉が綺麗に整えられている感じがして、きっと地域の人たちみんなで保全してくださっているんだろうな~と感じました。
僕は途中からこのシーンがオーバーラップしっぱなしで、あなたのハートにときめき・・ラヴ・・が止まらなかったのですが、きっとこの弁華別小学校にまだ生徒が居た時代にはきっと似た様な伝説があったんじゃないかなっていう気がしてならないのです。ちなみに僕は鏡魅羅さんの下僕でした。
僕が未だに高飛車わがままボディだが実のところ根はすごく純真で優しくって最後はデレっデレキャラが好きなのは完全に鏡さんの調教のお陰です。その節はありがとうございました。
★
ここで一旦校舎の中で撮影されたあるシーンを見て頂きたいと思います。このドラマ版の7分30秒あたりからのシーンです。
懐かしの学校でクラスメイト達と感動の再会を果たすイートン(李艺彤)、あの頃放課後に秘密基地のようにしてみんなで使っていた体育館を再現しようと、みんなで机や小物を並べ直します。
イートンが部屋の片隅から見つけてきたカレンダーをみんなの見えるところに掛け直します。日付は2017年7月22日となっています。
僕はただ単純に、今日みんなが集まったのが2019年の7月22日だから、卒業した2年前のカレンダーの日付をわざわざこの日にしたのかと思ったのです。
ですが、これには大きな罠があります。通常日本の学校というのは、4月入学の3月卒業というのが今でもオーソドックスなものとなっています。しかしながら、お隣中国はというと少し事情が違うのです。
中国において、小中高などの入学式は9月始まりで、卒業式は夏休みに入る前の7月に行われるのが最もポピュラーなものとなっています。このローテーションはいわゆる欧米式に近いものですね。ちなみに2学期制をとっています。
そういった事情を加味してもう一度カレンダーのシーンを見てみると、また違った見方が出来ると思います。
つまり、2017年7月22日とは、ズバリ彼女たちが卒業式をしたあの日なのではないかということです。
だからこそわざわざイートンが部屋の片隅にあったあの日の暦をみんなの前に持ってきたのではないでしょうか?少なくとも僕はこのシーンを見てそういう風な解釈をしました。
これでカレンダーについては一件落着かと思いきや、
卒業式の日に黒板にみんなが思い思いのメッセージを各シーンのオフショットを見てみると、目に着いた書き込みがあります。
黒板の一番右上に“星期五”って書いてあるんですね。つまりこれは日本語に直すと金曜日になります。で、ですよ。2017年7月22日の曜日を調べると、土曜日なんです。この黒板のシーンで“星期五”を見てしまったばっかりにこのカレンダー問題は頓挫するのでした。ま、人生どうでもよくない。ぱっぱっぱっぱっぱぱーらぱーなんです。このような些末な問題に心を奪われている時間をもっと有効に使いましょう(恐らくこのロケ当日が金曜日だったから、星期五って書いただけだと思うよ深い意味はない)。
★
ここの次のポイントに行かなければいけない場所もタイムリミットも決まっているので素早く弁華別小学校の取材(取材と言いたい)を進める事にします。
このカットも凄くいいですよね。向かって右から沈梦瑶,张语格,孔肖吟,劉力菲,蘇杉杉が体育館裏の木陰で木漏れ日を浴びながら仲良く座っていてとても絵になるカットだと思います。教師役でいいから混ざりたい。先生来ないで!あっち行って!とか言われたい。
奥に見えるもこもこした大木がまさにこの5人が腰掛けていたポイントです。隣にある建物が体育館になります。木の板を組んだ壁が風雪にさらされて、熟成の進んだウイスキーの樽の様な色になっています。
もう少し彼女たちが座っていた木の近くに寄ってみると、脇にコンクリートの円形の構造物が転がっているのが分かります。
そして、彼女たちは木の根元に座っていたのではなく、このコンクリートの構造物の上に腰掛けていたのだなということがMVの本編のこのカットからも分かります。
北国ならではの建築だと思いますが、この体育館も例にもれず50㎝程度は地面から底上げされて床を張っているのが分かります。この窓枠の脇から地面の礎石に対して斜めに木材を当てているのは、冬場に雪の重みで屋根が崩れない為の補強の意味があるのでしょうか。
体育館の内部のシーンを見てみるとこれが屋根の補強のための突っ張りで間違いなさそうです。内側からも窓の梁に対して補強の木材が斜めに掛けられていて、それがそのまま屋根の骨組みに伸びているのが確認できます。
16人全員が揃って踊っていたこの体育館。もちろん中に入る事はできないのですが、こうやってガラス窓越しに辛うじて内部の様子を覗うことができました。床板が思いのほか傷んでいる様子で所々剥がれてしまいそうなぐらい老朽化が進んでいるみたいでした。MV撮影当時からまた更に傷みが進んでいる様に感じられました。
体育館を横切ってまた正面の校門の方へと進んで行きます。
この校舎横の外階段ですが、これ自体はMVの中には出てきてませんが、『时间的歌』のスチール映像やロケのオフショットに登場していて印象的だったのを覚えていて写真に収めておきました。
この外階段もかなり老朽化が進んでいて、大人の男性が乱暴に上り下りしたらズボッと踏み外すんじゃないかって言うぐらいサビっサビでした。上の画像みたいによくまあ10人も同時にこの階段に乗ってるなと感心します。
ともあれ、この制服可愛いっすね。特にイートン(李艺彤)とmomoちゃん(莫寒)とDDD(段艺璇)の紺色と白色が上下で綺麗にツートンに分れているデザインがとても良く似合っていて可愛いです。
ではこのまま一度正門の前に戻って次の撮影スポットを押さえに行きましょう。MVの1分54秒あたりからのこちらのカットです。
あの卒業式の日から幾年、大人になったmomo(莫寒)ちゃんが自転車を押しながら自販機が置かれた民家を通り過ぎ、横断歩道の手前までやって来るシーンです。
このシーンから分かるのは、momo(莫寒)ちゃんは地元に残って就職したのだと思います。自転車で学校に来れる距離ですからね。このMVの中でmomoちゃんの物語だけは順調な現在を送っているのだということが感じ取れます。終始穏やかな表情をしているし、離れ離れになってしまっていたイートン(李艺彤)を思い出の詰まった校舎に誘うという役柄からもそれが窺えると思います。
さてこの横断歩道なのですが、学校の正門に戻って来ると本当に目の前にこの横断歩道、そして自販機が置かれた民家が当時の姿のまま今も健在でした。
この時ちょうど自販機のお宅の住人の方が道路に面した窓を開けて換気を室内の換気をしているところだったので、なんだか撮影するのも気が引けたのですが、住人の方が室内に戻っていたところを素早く撮影させていただきました。
次にまた視線を後ろの方、校庭に向けていきましょう。下草の生い茂った校庭をずんずんと奥の方へと進んで行きます。
そうすると見覚えのある鉄棒たちが僕の到着をじっと静かに待っていてくれました。カラーリングも当時のままでした。
この鉄棒のシーンはDDD(段艺璇)がめっちゃ可愛いので、ドラマ版の該当シーンを一度みてやって下さい。
この鉄棒の周りでふざけているシーン、DDD(段艺璇)がダイモン(戴萌)に頭を押さえられながら両腕をグルグル回してるシーンとか、かわいい!
この鉄棒なのですが、現地に行くまではもっと大きいサイズだと思っていました。ですが、メンバーの身長であったり、ここが小学校というのを全然考慮しておらず、実際に現地でこの鉄棒をみて「ちっさ!」という感想が一番に出てきたのは言うまでもありません。
この雲梯にメンバーが乗っかってたんだなって、しみじみとこの小さな雲梯を眺めつつも更に校庭の奥のほうへと向かいます。
本編2分26秒のこの CK(陈珂)のソロショットの場所はこちらです。この撮影の時のCKはモリモリに可愛いです。肌白っ!普段はもっとカッコいい系の印象なんですけどね。
CK(陈珂)の背景に写っている民家の形とその色、そして手間に生えている木々の間隔の空き方や生えている角度などから、このスポットで間違いありません。やはり、どれだけ風雪があろうと日照ろうと、2年やそこらの時間経過では木々の様相なんて早々変わるものじゃないのです。
さてこれで弁華別小学校の取材はおしまいです。いつか、いつの日か機会があったら校舎の中にも入ってみたいです。
写真として上げていませんが、実際は校舎の所々窓ガラスが割れてしまっていたり外壁の損傷や傷みなど、これこのままにしておいて大丈夫なの?と思ってしまうぐらい残念ながら老朽化が進んでしまっています。
これ以上風化、老朽化が進まないように、是非自治体で保全活動をこれからも頑張っていって欲しいと切に願うばかりです。
バイバイ!
Day3.午後1時
というわけで非常に名残惜しかったのですが、石狩当別駅まで戻るバスの時刻が迫ってきているので、次なるポイントへと小学校から徒歩で向かいます。
このスリー(孙芮)、DDD(段艺璇)、小飞(刘力菲)が仲良く手を繋いで学校へ向かうシーンが次のターゲットです。このシーンで特に注目するべき部分は、やはり橋の欄干部分に設えられている正方形のレリーフのような飾りだと思います。
おしゃれだし、こういうデザインを採用している橋って結構色々なところで目にすると思います。オーソドックスではあるものの、そこに設えるデザインでその地域の特色や名産であったり、観光名所などを絵にして設置してたりしますよね。その地域性をアピールするスペースとしてはとても良いと思います。
ここを特定するのに決め手となったのは、橋に等間隔で設置されているこのレリーフなのはもちろんですが、ロケ当日のスケジュールを把握することで捜索範囲をかなり絞る事ができました。
公式がbilibili動画に上げていたロケのオフショット動画を時系列で追っていくと、踏切撮影→私服衣装のままでそれぞれのシーンを撮影→学校で私服衣装の撮影→学校で制服衣装の撮影→土手に移動して撮影→学校に戻ってきて撮影という流れになっていました。
ロケ車で一番最初に向かったのが、昨日僕がアホみたいに歩いて辿り着いたあの踏切脇のあぜ道です。
ここでの撮影を朝一で終えたメンバーは4,5人程度に分かれてロケ車に分乗し、それぞれの撮影ポイントへ向けて移動します。恐らく3台程度に分乗しているハズです。
私服衣装から制服衣装に着替えてしまう前に冒頭の橋の上を駆けてくるシーンを撮らなければ面倒ですね。限られた日程のなかで効率よく周りたい筈です。なので踏切の場所から学校へ向かう道中、もしくは学校の周辺で撮るのが一番効率が良さそうです。
GoolgeMapで確認してみましょう。赤丸の地点が踏切で、右上に弁華別小学校があります。そして青い線を引っ張ってある箇所が、川の流れている場所になります。おそらくこの2つの河川の何処かに、上掲の橋の欄干にレリーフが設えられている橋があるはずです。
この2つの河川をしらみつぶしに探しても大した長さじゃないので、すぐに橋は見つかりました。学校のすぐ裏手にある橋でした。学校の裏手に出るともうすぐに橋が見えていました。
この橋、学校橋という名前が付いていてですねこの橋を渡り切ると弁華別中学校という、こちらは現役の中学校があるのです。つまり、弁華別小学校と弁華別中学校を繋いでいるから学校橋なのでしょうきっと。
この学校橋は比較的新しい橋で、平成12年10月完成となっていました。
学校橋の下にはこんなに綺麗な清流がさらさらと、太陽の光を浴びて静かに流れていました。そういえば太美と最後に川遊びしたのいつだっけ・・・。ああ、あの日も確か夏祭りの日だったっけ。まだ小学校5年生の夏、あの頃は毎日の様にお互いの家を行き来していたし、こうやって川遊びしたり雑木林に入って探検ごっことかやってたんだよな。いつからこんなに太美のこと意識し始めてしまったんだろう。太美は僕の事どう思ってるんだろう...。もし来週の夏祭りに一緒に行けたなら・・・。
Day3.午後1時15分
学校橋を撮影し終えた僕は次の目的地を目指します。とても天気が良くて時間さえあれば学校橋の下の小川に裸足で入って涼みたいぐらいなんですけど、僕にはそんな暇を与えてくれるはずもなく後ろ髪を引かれるようにずんずんと歩きます。
次がこのKiKi(许佳琪)ちゃんがどこぞかも判別不可能な田んぼのあぜ道みたいなところを、場に似つかわしくない真っ白なパンツスーツで爆走しているシーンです。満面の笑みで。KiKiちゃんってこういうの文句の一つも言わずに何テイクもやってくれそう。良い子。KiKiちゃんは良い子。
今回のこの『时间的歌』のMVをここまで何度となく見て頂いてらっしゃるならお分かりかと思いますが、あの卒業式から幾年忘れかけていたあの頃の思い出を胸にクラスメイトのみんながあの校舎に続々と集まってくるという、曲後半の胸アツな場面の1つです。
しかしながら、なぜこんな田んぼのあぜ道を通らなきゃならんのだという疑問がずっと頭に残る謎演出です。先程の橋を3人で駆けていくシーンならまだしもです。なんとなくですが、疾走感を出したかったのかなと無理矢理自分を納得させます。
中国語のスラングで‘日剧跑’という表現があります。直訳すると”日本作品走り”とでも訳せましょうか。
要するに、日本のドラマなり映画なりアニメなり、日本の作品はとかく劇中の主人公やヒロインをクライマックス前に街中や土手を走らせたがるというあるあるな揶揄を込めたスラングです。
bilibiliなんかで検索ワード‘日剧跑’で探すと死ぬほど参考例がヒットします。
似た様なシーンでBee(孔肖吟)ちゃんも同じようにだだっ広い畑のど真ん中を謎に走らされております。もうこれは日剧跑を意識したディレクションだと言う他ないでしょう。
さて、このあたかもノーヒントともいえる何の変哲もない田畑、実は結構ヒントが隠されているのです。
まずBeeちゃんの後ろに広がるこんもりとした雑木林とも丘陵地ともとれる緑地帯が畑の後方に広がっているのが見えます。
そして、さらにBeeちゃんが走ってきたあぜ道を撮影方向後方に視線を映していくと、ソーラーパネルが並んでいるのが見えると思います。あとは雑木林の手前にある人家もヒントになります。それと、あぜ道の下に用水路を通す為に付けられたコンクリート造りの3m程度の橋が掛けられているのもポイントです。
これだけヒントがあると、こんな何の変哲もない田畑でも特定が可能です。
恐らくこの日のロケスケジュール上、弁華別小学校の近辺でロケーションをしている筈なので、GoogleMapで弁華別小学校から半径500m程度の範囲内で田畑及び周辺の地形を全てストリートビューで潰していきます。
ここでポイントとなるのが、背景の地形や植生の特徴です。加えて太陽が出ていれば方角まで予測ができるのですが、このMV撮影当日は薄曇りで方角を導き出すことが出来ないじゃないかと一瞬落胆するのですが、おっと待ってください。ソーラーパネルの向きで方角が出せてしまいますねえ。
設置場所に特殊な事情などが無い限り基本的にソーラーパネルの設置方位は真南を向いていることが多いです。なぜならば、日中の日照時間中で一番効率よく日射を集められるからです。
とすると、ざっくり上図の様な方角になっているという仮定をとることができます。Beeちゃんはおおよそ北から南に向けて走って来てるということになります。
それと、画面奥に見えている雑木林だかの緑地帯は北から南にかけて縦長に伸びている地形ということになります。このことから、田畑の際が北から東にかけて雑木林もしくは丘陵地帯にかかている地形を、弁華別小学校の周囲から探し出すだけで良いのです。
上述の条件に則って、弁華別小学校付近の地形をGoogleMapで探っていくと、この地図上のA地点、B地点がピックアップされます。
どちらも、北から東そして南方向にかけて緑地帯が広がっており、ソーラーパネルの設置も確認できます。
しかしながら、どうやらA地点においてはソーラーパネルの設置場所が少し違うような気がします。なんとなくB地点が怪しいです。しかもB地点には北から南に真っすぐ道が伸びているし、緑地帯の際の部分に人家があるのも見てとれます。ソーラーパネルも平地の最北端に綺麗に南を向いて設置されているようです。
というわけで弁華別小学校から学校橋を越え、MVが撮影されたポイントと思しき地点に向けて歩みを進めます。
まだ背丈は低いですが穂が実り始めていて、畑は太陽に照らされてとても綺麗な黄金色でした。
そして、後方の緑地帯の谷筋の形、左後方のソーラーパネル、写真中央に用水路を通す為のコンクリート造りの橋、田畑と緑地帯の際に立つ人家。この場所で間違いないですね。
更に、このアングルからもう少し東方向に1ブロック進んでから南方向を向くと、
この様な景色になっています。ここが実は先程KiKi(许佳琪)ちゃんが満面の笑みで走り抜けていたあぜ道なのです。
このカットはMV版ではなくドラマ版の6分30秒付近に挿入されている1シーンなのですが、あぜ道の脇の用水路や、後方の木々の形、人家すべてが一致しているのが分ると思います。
GoogleMap上でおさらいしておきましょう。
矢印がそれぞれが走りぬける方向、赤の斜線がドローンカメラの撮影範囲ということになります。
この二人が走っていたあぜ道なのですが、小石がゴロゴロと転がっていてヒールで走るの大変だっただろうな。なのに二人ともあんなに笑顔で一生懸命走ってくれてありがとうという気持ちになりました。
これでBee(孔肖吟)ちゃんとKiki(许佳琪)ちゃんの‘日剧跑’シーンは回収することができました。朝からまだソフトクリームしか口にしていないからそろそろお腹が空いてきました。
そう、実はあいの里公園駅から札幌大橋に向かう途中、あの有名なROYE'Sの本社工場が偶然ありまして、そこの旗艦店で帰りがけにソフトクリームをちゃっかり頂きました。
朝食は食べていないし、真夏みたいな日光に照らされて札幌大橋から土手沿いを歩いた帰りだったのでめっちゃ喉渇いてたし、バニラとチョコのミックス美味しかった~。
Day3.午後1時20分
Bee(孔肖吟)ちゃんとKiKi(许佳琪)ちゃんの疾走シーンをスマホに収めた僕は次なる撮影シーンをフレームに収めるために更に丘の方へと歩みを進めます。
次に狙うのはこちらのシーンです。MVでは3分45秒になります。
ランラン(宋昕冉)、源源(费沁源)、Liga(唐莉佳)の3人が登場します。坂の途中で足を止めてしまうLigaにランランと源源が駆け寄るというシーンですね。
結構坂が急になっているので元々丘陵地帯だったところを造成して農家の人たちの為に作った住宅地なのではという印象を受けました。
この石狩当別の地域は周囲を山に囲まれた南北に細長い地形をしています。それでもなるたけ畑で農作物をたくさん作りたいじゃないですか。なので、最大限作付面積を広く取ろうと思うと、どうしても人の住む場所は平地を避けて山の方山の方へと追いやられてしまうのはごく自然な事だと思います。
そういった地域的な特性も考えながら、この坂道がどこにあるのかをGoogleMapと睨めっこしながら1つまた1つと可能性を探っていきます。
手がかりとしては後方の山並みの形や、周囲の住居の並び外観が重要なヒントとなってきます。
それとくどい様ですが、この日のロケスケジュールの関係上、私服衣装での撮影は弁華別小学校の近辺で行われている可能性が非常に高いのです。
なので、小学校周辺で小高い丘の様な場所に造成されている住宅地を探します。すると小学校の近くにうってつけの住宅地が見つかりました。
赤い矢印は僕が小学校から歩いてきた道のりで、赤丸が先程訪れたBeeちゃんとKiKiちゃんの撮影シーンをしたポイントです。
そしてそこから少し東に進むと、いかにも丘を切り崩して造成したような、区画の整った住宅地が広がっています。まずはこの住宅地の路地を全て目視でトレースして、MVのシーンに写っている住宅を探してみることにしました。
住宅の戸数もあって100戸程度なので、虱潰しにしても大した時間はかかりません。そのなかでも特定し易そうな住宅はオレンジで囲ったこれらの住宅と、背景の山並みの形です。探してみましょう。
ここで必要なのは特別な技術や知識ではありません。挫けない心と長時間椅子に座り続けられる強靭な尻、腱鞘炎に強い手首です。黙々とストリートビューを駆使して捜索を続けます。
さっきから僕の右隣にはランラン(宋昕冉)ちゃんが、左隣には源源(费沁源)ちゃんが見守ってくれています。恐らくちゃんと探し出さないと怒られてしまいます。
程なくして、といっても2時間ぐらい延々とストリートビューと睨めっこしました。これぐらい真剣に推しの顔をちゃんと見つめられたらいいな。
では実際の現地の様子をどうぞ。
ゲレンデのコースで例えるなら、初級コースに産毛が生えたぐらいの斜度でしょうか。
この十字路から畑の方に少し下った辺りが撮影ポイントだったはずです。路地の右側に並ぶ住宅を見れば間違いありませんね。まさしくMVのシーンに写っていた住宅たちです。山並みもそのまま全く同じ稜線を描いていると思います。
この住宅地、とても見晴らしがよくて閑静な住宅地なのできっと撮影当時ロケ隊がわらわらと押し寄せて、普段とは全く違った雰囲気になっていたことでしょう。
Day3.午後1時30分
次がこちらのシーンになります。もう少しでこの坂道シリーズも終わるので、お付き合いください。ここまで読み進めてきて頂いているあなたならもう充分辛抱強いと思うので、あとちょっとだけお付き合いください。
このシーンでは杉杉(苏杉杉),ダイモン(戴萌)、瑶瑶(沈梦瑶)の3人が緩やかな坂が続くこれまた住宅街のような道を真っすぐ走ってくるシーンです。
僕、今回のMVで唯一HⅡから出演している瑶瑶が結構好きなんですよね~。
入団当時、5期生としてHⅡに配属されてきた当初は、手足が長くてスタイルはスラっとしてて良いんだけど、あんまりパッとしない子だな~って印象でした。5期生として一緒にHⅡに配属になった饺子(王露皎)の方が目立っていて僕は瑶瑶より好きでした。
なのにですよ、あれよあれよと頭角を現してきて去年(2020年)は総選挙第4位、遂には今年(2021年)の総選挙で第3位、TOP3ですからね!とんでもない躍進振りを見せています。そして、この123の顔ぶれを見ると向こうでは明らかに女ヲタ票が強いんだなっていうのをまざまざと見せつけられているようです。
さあ、時間がないのでどんどん特定作業に移りましょう。先程のシーン、住宅地の道に対して真っすぐにカメラが向いていて、周囲の風景が全くといっていいほど写っていないのが致命的です。
少しでもアングルが道に対して斜めを向いていればもう少し特定が楽だったのかもしれませんが・・・。
それと、電柱の本数と街灯の本数が違和感を感じる程多いと思いました。こんなこと言っちゃ失礼ですけど、大して人家が多くも無いこの場所にこんなに街頭や電柱必要か?と思いました。
先程のランラン(宋昕冉)ちゃんたち3人が駆け上がってきた坂道と比べても、今回の道は明らかに電柱や街灯の本数が多いのです。そして、先程地図上で囲った範囲の住宅地にはこれだけ電柱や街灯が密集した路地はどう探しても見当たりませんでした。
もしや、また別の住宅地で撮影したのでは?
そうなると途端に手がかりが無くなってしまいます。ですがこういう時に非常に役に立つのがblibli動画にアップされているロケのオフショット動画です。
このオフショット動画の中であるカットが目に留まりました。上記の動画5分45秒辺りからの撮影シーンです。
確かにあのMVの撮影シーンです。しかも少し遠目から角度を付けたアングルで撮られていてMVよりはだいぶ周囲の様子が明確になります。
そして注目すべきは、後方に見える青い海!そうか!やっぱりここは小学校の近くの住宅地じゃなくて、また別の場所に移動してロケをやったんだ!
さっそく、真っすぐ降りる坂の先に海が見える住宅地を札幌周辺ので探すことにしました。この時点で周囲を山に囲まれている石狩当別地域は捨てです。
一瞬、坂道が綺麗に海側に伸びている小樽が頭を過ったのですが、タイトなロケスケジュールのなか、このワンシーンを撮るためだけに小樽に行くというのは少々無理があります。
行けてギリ銭函海岸あたりまでかなという当りを付けました。
なので海岸の一番左端を銭函海岸、右端を望来浜という石狩市の厚田区にある海岸に設定して、それと思しき坂道のある住宅街を徹底的に調べ尽くしました。
捜索する条件は
①坂の途中に作られた住宅街
②海岸に向かって真っすぐ道が降りている
③坂から海が見下ろせる
④電柱の本数や街灯の形が一致する
⑤周囲の住宅が一致する
です。
捜索範囲自体はそれなりに広いのですが、条件に一致する住宅地となるとそこまで多くはありません。これに小樽全域や余市の方までが加わっていたらかなり骨の折れる作業になっていたとは思いますが。
兎に角徹底的に怪しいと思った住宅街にストリートビューで降りていって、上述の条件に合致するかを確認します。ひたすらこれを繰り返すだけです。
意外にも捜索作業を手早く進めるのに一役買ったのが街灯の形でした。
このシーンで使われている街灯が案外珍しくて、札幌市内の住宅地を探してもまず見ない形だったんです。さすが大都市札幌というか、市内に入ってしまうと大体がLED化済みの綺麗な街灯になっていたり、電柱と一体化している形だったりがほとんどだったんです。あくまで僕が検索した住宅地の範囲では。
恐らく休みの日丸々一日かけてひたすらGoogleMap上を探索していたと思います。ですが一向に見つからないんですね。正直疲れてしまいまして、なんでこんな生産性の無い事に一生懸命になってるんやろうと。
いつの間にか日もとっぷりと暮れてまして、さっきまで一緒にいたハズのランラン(宋昕冉)ちゃんも源源(费沁源)ちゃんもいなくなってるし。
で、もう一度だけ最後に弁華別小学校の近くのあの住宅街でも見に行ってみるかと思って、何気なくストリートビューで降り立ったんです。そしたらですよ。
!?!@@?!!!
うそでしょ!?って。だって、MVでは後ろの方に海見えてますやん?
でもね、こんな山に囲まれた当別地区に海なんてないんですよ。ストリートビューで見たって海なんぞどこにも見当たりません。
こういうのって、気象条件とかが重なると見える蜃気楼みたいなものなんでしょうか。それとも、撮影当時時折雨がちらつく悪天候だったために、映像の彩度や明度を調節した影響で、遠くの方の景色の色がああいう風に海の様な青になったのでしょうか。
とはいえ、間違いなくこの場所なんですよね、何度見ても。地図上で確かめるとこうなります。ただやっぱり電柱の本数と街灯の本数が合わない気がするんです・・・。
キツネに化かされたみたいで少し釈然としない気持ちは残るのですが、嬉しいには嬉しいです。見つからないよりはマシですから。
というわけで、無事場所が特定されて現地にも行っております。
現地に行ってみて、自分の目で確かめてみて確かにここで間違いないのですが、やはり何か家の並び方とか、電柱の立っている間隔とか違和感を感じるんです。もちろん海なんて見えませんし。
なんとなく住居の密集具合もスッカスカな感じがしませんか?この道を歩いて自分のスマホで色々なアングルで撮ってみて気付いた事があります。
こういうのが撮影カメラによる遠近の圧縮効果なんだなって、今回こうやって自分の足で現地に赴いて沢山写真を撮り、youtubeの映像と幾度と無く睨めっこして実感したことです。
実際に人間の目で見る風景と、ズームで遠近が圧縮されて平面上に情報量を凝縮した映像や画像。それぞれ同じ場所を映していたとしても、映し方によって見た人が受ける印象って本当に変わると思いました。だって実際電柱あんなにギッシリしてないんですもん。
この撮影スポットに関しては僕はまんまとこの遠近の圧縮効果と幻の海に惑わされたということです。それでも1つも取りこぼしなく今のところ撮影スポットを巡礼出来ているので大変嬉しゅうございます。
Day3.午後1時45分
坂道シリーズも撮り終えて、僕は石狩当別駅に戻るべく弁華別小学校の隣にある弁華別郵便局停留所まで戻ってきました。
バスの発車時刻までまだ30分程時間があったので、弁華別小学校と国道を隔ててはす向かいにあったおしゃれなソフトクリーム屋さんで本日2本目のソフトクリームとアイスコーヒーを頂きました。
店先のベンチに座ってぼーっと弁華別小学校を眺めながらソフトクリームを食べれるなんて、凄く贅沢な休憩時間でした。もしかしたらメンバーもロケの合間にここのソフトクリーム食べたのかもしれませんね。やっぱり、またここ来たいな。
コミュニティバスは定刻通り停留所に到着していて、バスに乗り込んで石狩当別駅へ戻ります。
石狩当別駅でバスを降りた僕はいよいよ今日最後の巡礼ポイントへ向けて出発します。次の巡礼ポイントはこの石狩当別駅とお隣の石狩太美駅の丁度中間にある場所で、当初の計画ではこの道のりを電動アシスト付き自転車で走破するつもりでした。
ですが、ご存知の通り電チャリを借りることが叶わなくなってしまったので、僕は石狩当別駅→巡礼ポイント→石狩太美駅というルートを徒歩で踏破することにしました。
たかが1駅って言ってもですよ都内や都市部とは訳が違うんですよ。北海道の郊外の1駅ですからね!というわけで、僕は歩くことになる石狩当別駅→巡礼ポイント→石狩太美駅ルートを改めてGoogleのタイムラインで確認してみます。
これは実際に僕が歩いたルートがマッピングされていて、画像右上の石狩当別駅から、中央の赤丸で示した巡礼ポイントを経由し、石狩太美駅を目指します。
地図上の区割りを見ても一目瞭然ですが、全工程のうち半分以上畑のあぜ道をひたすら歩いていきます。国道などの一般的な舗装された道路と違って、石ころがゴロゴロしていて歩きにくく、思ったように距離を稼ぐのに難儀します。なので、少し遠回りに感じてもなるべくアスファルトで舗装されている農道を進むようにしています。
そして、今回ここまでしていかなければならない巡礼ポイントとは、こちらのシーンの場所です。
メンバー全員が何処か畑のあぜ道の様な場所を傘をさしながらどこかへ歩いていきます。数年振りに全員が学校に集まった後の帰り道でしょうか。
畑の真ん中をJRの線路が貫いており、その時ちょうどメンバー達の横を電車が通過してみんなが電車に向かって手を振ります。
何気なく電車に乗って何気なく車窓から外を眺めていたら、推しが手振ってこっち見てたなんて、二度見するレベルじゃない。それが夜だったら狂気すら感じると思う。
少し引いた位置からカメラがドローンに切り替わり、通過する電車とメンバー全員を捉えています。
この時のロケ期間はスカッと晴れた日が無く、この日のロケも相変わらず曇天で少し残念です。それでも、ロケ期間中メンバーみんな本当に楽しそうに北海道を満喫する姿を沢山見ることが出来て、見ている僕らも幸せな気持ちになりました。特にオフショットなどを見ていると、10代~20代の本当に普通の女の子で、見ていて微笑ましく思うのです。
さあ、このJRの踏切があるポイントを特定しましょう。みんなが待っています。このポイントも一見難しそうな雰囲気を出していて、特定しようという者の心を挫いてくるのですが、そんな事で挫けるほど僕のSNH愛は脆くありません。
とはいえ今少しだけやる気が減退してしまっているわけですが、僕が座っているデスクチェアの後ろからゆっくりと顔を近づけて、ランラン(宋昕冉)ちゃんが優しくそっと耳元で囁きます。
「たこまりね、わたしを早く見つけて」・・・と。想像しただけでゾクゾクする。絶対いい匂いしかしないし。そいで、マウスに置いている僕の手の上にランラン(宋昕冉)ちゃんがその真っ白な手を重ねてくれるわけですね。この瞬間手から全身の血を抜き取られて死んでもいい。このスクショのランランちゃんのアンニュイな口元とかめっちゃ好き。スプーンでプリンとか食べさせたい。
Day3.午後3時10分
先程からランラン(宋昕冉)ちゃんがずっと叱咤激励してくれているので、頑張ってGoogleMapと1時間ほど睨めっこしました。この線路と踏切、そして線路と並行に走るあぜ道。あとは、背景の家々や木々、後方に微かに見える地形など、これまでに様々な巡礼スポットを特定してきた方法と大きな違いはありません。
これらのヒントを基に、石狩当別駅の1駅先にある北海道医療大学駅から石狩川を渡る手間の範囲に捜索範囲を絞って沿線をしらみつぶしに当たっていくだけです。
なぜ捜索範囲を石狩川の手前までに限定したのかというと、このシーンで見られるような、線路の脇に広がる広大な田畑は石狩川を渡って札幌駅に近付くと沿線にそういったポイントが見当たらないということがGoogleMapを見ると一目瞭然だからです。
更には、北限を北海道医療大学駅周辺に留めた理由は、このJR学園都市線の終着駅が北海道医療大学駅だからです。この駅の東側には石狩当別エリアと同じくらい広大な田畑が広がっているのですが、線路がこちらまで伸びていないのでまずありえないということです。ということで、捜索範囲は紫で囲った部分だけでよいのです。
そして捜索範囲を絞り込むの一役買うのがこちらの高さ制限のバーになります。
これは恐らく線路と一緒に伸びている架線に背の高い車両等が引っかからないように制限高を設けるための構造物ですね。こういった踏切以外にも高架下や橋の下などに設置されているのを見かけることがあると思います。
特に有名なのがここ秋葉原の駅前に鎮座する、何台ものトラックの上部をズル剥けにしてきたこのバーだと思います。制限高以上の奴は絶対通さないマンです。捕食した痕がとても生々しくもあり頼もしくも映ります。
このバーが設置されている踏切だけをピックアップして検証していけばだいぶ手間が省けそうです。
更に特徴的なのは線路に沿ってキレイにあぜ道が通っているということです。しかしながら該当シーンでメンバーが歩いている様なあぜ道は、GoogleMap上で道として認識されていない可能性もあります。なので、航空写真モードに切り替えて、線路沿いを目視でトレースしていきます。
条件は、①4.5mの制限高バーがる。②線路と並行してあぜ道が真っすぐ通っている。です。
そうすると程なくして石狩当別駅と石狩太美駅の間の区間に条件が揃っている踏切が浮かび上がりました。そこまでの道のり約8㎞を延々と歩きます。
途中農薬を撒いているおじさんに怪訝な表情で見られたり、コンバインで畑を耕しているお兄さんに訝しい目で見られながら、農道をえっちらおっちらとひたすら歩きます。
別に野菜ドロボーしているわけでも、不法侵入しているわけでもないのですが、他人様の畑の脇を歩くというのはなんとなくバツが悪いというか、人様の玄関先にお邪魔しているような変な感じです。
そもそもですよ、石狩当別駅からこの撮影ポイントに行くまでにこんなところをてくてく歩いてるのマジで僕しかいなかったので、そりゃ地元の人からしたら訝しむでしょう。
こうして地元の人の視線をびしびしと感じながらようやくたどり着いたのがこちらです。制限高のバーも、線路脇のあぜ道も、後方の人家や木々、遠くの山々、全て合致しています。
残念ながらこのあぜ道は関係者以外進入禁止になっていたので中に入る事は叶いませんでした。ですが、遠路はるばるここまで歩いてきて良かった。
凄く景色が良くて、タイミングさえ合えば絶好の鉄道撮影スポットなんじゃないでしょうか。ここから先には入っちゃだめですけど。
感動と達成感もつかの間、先を急ぎます。日が落ちるまでにこのエリアを抜けて石狩太美駅まで戻らないと、周囲が暗闇に包まれてしまいます。
ここから石狩太美駅までは徒歩で約2㎞弱といったぐらいなので楽勝かと思いきや、夏場の雑草を舐めてはいけないゾ。なのです。
石狩太美駅まではあぜ道を歩かずに、歩きやすい国道を選んで進んできたのですが、肝心の歩道がこの有様です。延々と下草がぼうぼうに生えた、歩道といえるのかすら分からないスペースを歩かされます。
この有様を見ただけでも、地元の人が普段どれだけ歩いていないかが窺い知れますね。こんなに酷い状態の歩道を歩くぐらいなら、まだ畑のあぜ道を歩いた方が楽だったのではと思いましたが、また畑エリアに引き返すのもそれはそれで面倒くさいので、がしがし下草を踏みしめて半ばやけくそ気味に進みます。
Day3.午後4時50分
撮影ポイントから30分と少しぐらいで石狩太美駅まで辿り着きました。もうだいぶ日が傾いています。ようやくこれで無事に徒歩エリアを踏破することができました。あとはこのままJRで札幌駅に戻るだけです。にしても今日は本当に良く歩きました。
この日歩いた歩数を翌日Twitterで呟いていました。徒歩で歩く距離ではないですね。でもですよ、明日もここまでじゃないけど歩きます。あと、今日まだソフトクリーム2つしか食ってない。いい加減お腹空いた。
太美との思い出がたくさん詰まったこの駅舎は、真夏の残り香を曳きながら北海道の雄大な夕焼けを一身に受け止めていました。僕はこの夏を、この夏の太美を決して忘れないだろう。来週の夏祭り、僕は太美に気持ちを伝えに行くんだ。
※秒速5センチメートルの回想シーンのパロを入れるならここ※
Day3.午後6時
石狩太美駅から札幌駅まで戻り、ついでに夕食を済ませてからドミトリーに帰る事にしました。すすきのにラーメン横丁という観光スポットがあるらしく、そこに行けば10店舗以上のラーメン屋さんが軒を連ねているらしいのです。じゃあそこに行くかと、札幌駅からすすきの駅まで地下道をてくてく歩きます。
今日さんざん歩いたんだから地下鉄乗れよと思うかもしれませんが、今日は地下鉄の一日乗り放題きっぷを買っていないので、節約の為にラーメン横丁までの片道2Kmぐらいの道のりを歩くことにしました。札幌の地下道は道幅も広くて本当に歩きやすいので、そんなに苦じゃないんですよね。
で、行く前にお目当てのお店を決めておいたんです。僕は結構辛い食べ物が好きなので、麺屋國光というラーメン屋さんの辛味噌ラーメンを食べたいなと思って、このお店を目指して地下道をてくてく歩いて行く事にしました。
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なんせ今日はまだソフトクリーム2巻きしか食べて無いので、もうペコペコなんですね。時間ももう18時になろうとしてるし。ちょっと早歩きで札幌駅から続く地下街のポールタウンを人のあいだをすり抜けるように歩いて行きます。
そうこうしているうちにラーメン横丁のエリア付近で地上に出て、ラーメンのパラダイスに向かうわけなんですが、ちょっと様子がおかしいのです。
なんか全然人が居ないし、活気もない。ちょっと場末の廃れた風俗街にある雑居ビルみたいな、おどろおどろしい雰囲気なんですよね横丁の入り口が。
それでも怖気づいてる場合じゃないんです。僕今日まだソフトクリーム2巻きしか食べてなくってお腹ペコペコなんですから。だから麵屋國光目指して横丁に入っていくわけです。もう口の中は辛味噌ラーメンになってますから。
ですが、驚愕の事実を目の当たりにします。またもや緊急事態宣言下ということで、ラーメン横丁の7割程度のお店が自主休業に入っていたのです。辛うじて開けているラーメン屋さんもあったのですが、僕がお目当てにしていた麵屋國光さんは残念ながらシャッターが閉まっていました。すすきのの片隅で途方に暮れます。
もう一度、横丁に入りなおして麵屋國光以外で食指が伸びるラーメン屋さんは無いものかと、暖簾と睨めっこするのですがどうも気乗りしないので結局ラーメン横丁で食べるのを諦めました。
気を取り直してラーメン横丁の隅っこでスマホを開いて、他にラーメン屋さんが集まっているキングダム的な場所は無いか検索します。
色々と周辺のお店を探した結果、僕は地下街を引き返して札幌駅に戻り、札幌エスタという駅直結の大きな商業ビルの10Fにある札幌ラーメン共和国という国に入国しました。ここもすすきののラーメン横丁に負けず劣らず、10店舗近くのラーメン屋さんが軒を連ねていて、全体的にお客さんの入りもまあまあです。
僕は共和国内を一回りした後、白樺山荘という卓上のゆで卵が食べ放題のラーメン屋さんに腰を落ち着けて、念願のラーメンを食すことが出来ました。
朝からソフトクリーム2巻きしか食べて無かったから、美味いこと美味いこと。
全身でラーメンの塩分を体内に取り込んでいくのが分るぐらい美味かった。旅行の時以外では普段ほとんど外食をしないのですが、こうやってたまに外でラーメンを食べると美味すぎてホントびっくりします。
やっとまともに食事にありつけて心も身体もだいぶ回復してきました。僕はまた地下街まで降りてやってきた道をまたすすきの方面へと戻り今夜泊まるドミトリーを目指します。
札幌駅→ラーメン横丁→札幌駅→ドミトリー、と札幌駅を歩きでどんだけ往復するねん。夕飯食べるだけで正味6㎞も歩きました。
ドミトリーに帰還する道すがら、最寄りのセイコーマートで簡単なおつまみとサッポロクラシック、セコマオリジナルブランドのレモンサワーを買ってから帰ります。
Day3.午後9時半
先にシャワーブースで汗を流してから、ドミトリーのフリースペースにノートPCを広げて、先程セコマで買い込んできたビール達をお供に今日巡ってきた巡礼スポットのメモを箇条書きに記録しておきます。その後、明日最終日に巡る場所の確認や段取りの最終調整をします。
特に明日は、飛行機のフライトの1時間前ぐらいには新千歳に入っていたいので、しっかりとタイムスケジュールをぐちゃぐちゃまぜまぜタイム2人アバンチュールします。
いよいよ明日が最終日。一体どんな結末が待っているのでしょうか。期待を胸にドミトリーブースのベッドに身体を預け眠りに就きます。それにしても今日は長い一日だった。
Day4.午前8時
おはようございます。いよいよ最終日になりました。ここまで大きなアクシデントや怪我も無くこれています。今日も無事にミッションを達成して、東京の我が家にちゃんと帰って来れることを祈るばかりです。
僕みたいな陰キャおじさんにはとても似つかわしくないドミトリーのフリースペースで、もう一度今日の段取りに目を通し、朝8時にドミトリーをチェックアウトしました。今回、寝る時間とPC作業以外は外に出ずっぱりだったので、実質的な滞在時間はあまり無かったのですが、二日間大変お世話になりました。
今日はお昼をどこかお店で食べている時間が無いので、まず先にお昼を確保しに予め目を付けていた近所のパン屋さんに向かう事にしました。
すすきのにあるドミトリーから徒歩で15分ぐらいでしょうか、ペンギンベーカリー 山鼻店というお店に向かいます。最寄り駅は市電の中島公園通駅になります。お店のすぐ目の前を市電が通っていました。
ペンギンベーカリーは札幌市を中心にチェーン展開しているパン屋さんで、ペンギンフリークの僕からしたら超有名店です。外観からすでにペンギン好きの僕の心をざわざわと掻き立ててきます。可愛い!
店内はペンギンをモチーフにした各種パンや、装飾でペンギン好きの僕は心の中でずっと「やばい、やばい、ペンギンやばい」と叫んでいました。
店内にはイートインスペースもあって、こんなにタイトなスケジュール組みじゃなかったら店内でゆっくりと朝食を食べたかったな~とつくづく思いました。
店内で3つ程パンを買い込んで先を急ぎます。僕は地下鉄の最寄り駅中島公園駅から電車に乗り、さっぽろ駅に向かいます。今日はちゃんと一日乗車券も購入しました。
Day4.午前9時
平時なのでドニチカではなく通常の一日乗車券830円です。地下鉄のさっぽろ駅に戻り、そこから中央バスが発着する中央バス札幌ターミナルという場所に向かいます。札幌駅から大体徒歩で10分程度でしょうか。
程なくして札幌ターミナルが見えてきます。この場所、Bee(孔肖吟)ちゃんがこけていた歩道橋の近くにありました。どおりで見覚えがあるわけです。
バスターミナルから、10時18分発の石狩行きというバスに乗り1時間弱の場所にある矢臼場(やうすば)という停留所を目指します。後ほどどうして矢臼場停留所を目指すのかは詳しく説明するので今はとりあえずバスに乗りましょう。
この中央バス札幌ターミナルは、ここ札幌を起点にかなり遠くまで行くバスが発着しているみたいです。JRの札幌駅にもJRバスのターミナルがあるので僕は最初JRの方のバスターミナルに行って道に迷ってしまいました。自分がどのバスターミナル発着のバスに乗るのか、事前にちゃんと見ておいた方がいいかもしれません。
さて、バスに乗って最初に目指すポイントは次のシーンが撮影されたポイントになります。どこかの野球グラウンドに4人がベンチに座り楽しそうに談笑しているワンシーンです。画面向かって左からCK(陈珂)、momo(莫寒)、イートン(李艺彤)、ランラン(宋昕冉)の4人です。
このシーン実は本編MVには差し込まれておらず、ドラマ版にのみ挿入されている1カットなのですが、とても良いシーンですし直感的にこの場所は特定できるのではないかなと思ったので、探してみました。
どうして直感的に特定できるのではと思ったかというと、僕がかつて草野球チームに入って野球をやっていた頃に、よく公式戦で使われていた球場によく似ていたからなのです。
スコアボードの形、背もたれの無いベンチ、球場の後方が小高くなっていてその後ろにはどうやらそこそこの大きさの国道が走っている。
この条件から僕はここが河川敷にあるグラウンドなのではないかと直感的に感じました。
特にこの簡素なスコアボードと背もたれの無い簡便なベンチが凄く気になりました。これは河川敷だからこそわざと簡素にしているのではないでしょうか。河川敷というのは大雨や台風などで川の水位が上がってきた場合、水に沈む様な場所なので、この河川敷を広く取ることによって、その後ろにある土手や堤防を水が越えない様にしています。
その為なのか、河川敷にある野球場はこういう簡素なつくりになっている事が多いというのは、これまでの草野球の経験からも感じていたことなのです。
という、言わば経験則と勘のTWOMIXのようなものを信じて、石狩川の河川敷にある球場を片っ端から調べていきます。後方に大きめの国道が走っていそうな雰囲気というのも、場所を絞り込むのに一役買ってくれそうです。
どうして大きめの国道が後ろに走っているのではないかと思ったのか。それはこの案内板がデカそうだからです。ほんとそれだけ。
これぐらいしっかりした大型の案内板が立てられているのだから、それなり(片側2車線ぐらい)の大きさの国道だろうという推察です。
これらの条件で石狩川の両岸をGoogleMapで検索開始。すると程なくして1つの野球場がヒットしました。
石狩川の河口から約5㎞ほどの地点に、条件に合致する野球場がありました。おそらくここで間違いありません。どうやら、ヤウスバ運動公園という名前が付いているようです。そして運動場の後方には大きな橋が架かっていました。『石狩河口橋』という、これも札幌大橋に負けず劣らず大きな橋の様です。
というわけで、僕がバスでまず向かうのがこのヤウスバ運動場というわけです。なので、矢臼場(やうすば)停留所で下車するということですね。実はこの停留所で下車する理由がもう1つあるのですが、それは次のスポットに関係してくるので、とりあえず運動場に急ぎましょう。
Day4.午前11時15分
中央バスの石狩行きに揺られること約1時間、定刻通りに矢臼場バス停に到着しました。ここから、目的のヤウスバ運動場まで徒歩で大体15分ぐらいの道のりです。時間はお昼前に差し掛かって、太陽もだいぶ高い位置まで登ってきていて、今日も相変わらず日差しが強めです。
歩き始めて5分もすると、遠くの方に橋を支えているケーブルが目に入ってきました。いよいよもうすぐです。道は少しずつ上り坂になってきていて、その勾配が僕の期待値とシンクロしているかの様です。
そして土手を降りた先には見覚えのあるグラウンドが広がっていました。このベンチとスコアボードの後姿が余計に期待感を高まらせてくれます。石狩河口橋の斜張橋とそこから伸びるワイヤーが青い空と雲、遠くの山並みに調和しているみたいでとても綺麗です。
グラウンドの中に入って、撮影シーンと同じアングルを探します。このアングル、間違いないですよね。スコアボードもベンチも、土手の作りや後ろの国道の案内板も全て合致していると思います。
もう草野球もやらなくなってから何年も経つので、グラウンドに近寄ること自体ほぼほぼなくなってしまったのですが、当時の癖でグラウンドに出入りするときに自然とお辞儀してしまいます。
普段は男ばっかりのむさくるしい草野球チームだったんですけど、時々彼女や奥さんを連れてくるチームメイトがいて、そういうときはベンチが一気に華やかになるんですよね。で、めっちゃくちゃ気合入れて打席に立つんですけど、そういう時に限って三振ばっかりなんですよね僕。
こんな可愛い子ばっかりがベンチから声援を送ってくれてたら絶対集中できない。たぶん、カウント間違える。あ、あとランラン(宋昕冉)ちゃんが、おもむろに手慣れた感じでスコアブック付けてたら惚れる。書いてるときの俯き加減な横顔に完封負け。
あと、本当に一瞬のカットなのですが、本編2分50秒に差し込まれているこちらのカットもヤウスバ運動場で撮られています。天気が悪いうえに一瞬のカットなので見過ごしてしまいそうです。
撮影されたアングルは4人がレフト方向からセンター奥の方へ歩いてくるのを奥めのセカンドの位置辺りからなめて撮っていると思われます。撮影当日は曇天で後方の石狩河口橋もほとんど見えていないので、特定するのがなかなか際どかったのですが、後方の山々の形と微かに見える橋の側面の色と形と橋の両側に等間隔に並んでいる街路灯の形でこの場所だということが分かりました。
こちらの昨日3日目に訪れた札幌大橋の土手下の野原と混同しそうになるのですが、この野原に比べて下草が綺麗に刈り揃えられているのも注目すべきポイントです。なぜなら野球場の外野部分だからです。土手下は明らかにぼこぼこしてます。
こちらのオフショット映像のワンシーンだと、画面右端に石狩河口橋の青い躯体が辛うじて目視できると思います。天気が良ければ斜張橋も後ろに見えているハズなのですが、斜張橋が白色なので曇天と同化してしまってダメですね。
グラウンドから土手を上がってヤウスバ運動場を最後にもう一度眺めようと来た道を振り返ったら、老夫婦が仲睦まじい様子で運動場と橋を見渡せるところに座っておられました。すごくいい絵だったので一枚撮らせてもらいその場を後にしました。
Day4.午前11時45分
いよいよクライマックスが近づいてきました。この4日目で本当に終わってしまうのかという、なんとも言えない気持ちが余計に旅情を誘います。
ヤウスバ運動場を後にした僕は今来た道を戻り次のポイントへと向かいます。今ちょうどお昼になる少し前ぐらいの時間で、まだ新学期が始まったばかりだからでしょうか、今日は午前中授業だったのか僕の脇を地元の中学生が自転車で何人もすれ違って行きます。
バスの停留所のアップから始まるこのシーン。『中央バス 矢臼場(やうすば)』と書かれています。このシーンは、イートン(李艺彤)の心象風景をとても如実に表している印象的なシーンの1つです。MVの物語(ストーリー)もここからクライマックスへ向けて加速度的にエモーショナルな場面が展開されていきます。
卒業から時を隔てた現在、あの頃毎日の様に登下校で使っていたこのバス停。昔の楽しかった記憶に耽りながら、気が付いたらここまで歩いてきてしまった。みんなは今頃なにやっているのだろう。私だけ取り残されてしまったみたい。このバス停に来たからってあの日に戻れるわけでもないのに・・・。
停留所の窓越しに何を見るでもなくクラスメイトと歩いた通学路を眺めるイートン。するとそこにはあの日の姿のままのクラスメイトたち、CK(陳珂),momo(莫寒),ランラン(宋昕冉)が連れ立って歩いてくるではないですか。
わが目を疑うイートンですが、思わず立ち上がり停留所の外に出てみんなに手を振るイートン(李艺彤)。イートンもあの当時の自分に還っています。
とても映像が綺麗で見入ってしまうのですが、もう戻れないあの日を想って空想に耽るイートンを見ていると切なくなってしまいます。
そう、一度過ぎ去ってしまった時間は取り戻せないのです。そして、たとえ立ち止まったとしても時間だけは滔々と流れていきます。
この中央バスの矢臼場停留所、もちろんそのままGoogle検索をするだけで簡単に場所がヒットします。今回僕が札幌行きが決まってから出発するまでのあいだの1週間程ずっと撮影スポットを自宅のPCで探していて、一番最初に見つけたのが昨日訪れた弁華別小学校で次に見つけたのがこの矢臼場停留所でした。MVの中では弁華別小学校に次いでランドマーク的な場所だと勝手に思っています。ですが、そう冠してもよいぐらいに僕は実際この停留所を訪れて、停留所のみならず周辺の街並みや景色が大好きになりました。
ここはMVを見て訪れた人も少なくないのではないでしょうか。札幌からも車で1時間程で来れるので是非来て欲しい場所です。
この停留所の小屋、夏は日差しを遮ってくれるのに一役かっているのでしょうけれど、きっと本番は冬場なんだと思います。この後ろ側に傾いた屋根が冬場に雪が積もることを想像させます。そして、この小屋は決して中央バスが建てたものじゃなくて、この地元の地域の人たちが有志で建てて管理しているのだと思います。
今にも制服姿のイートンが待合室から出てきて満面の笑顔でこちらに手を振ってきそうです。さっき地元の中学生達とすれ違ったからなのか、やけにそれがリアルに感じられて少しセンチメンタルな気持ちになってしまいました。
実際に待合室の中にも入ってみました。片隅に掃除道具が置かれていて、地域の方達が管理されていることが窺い知れます。この狭くて低い入口から見る景色が、まるで額装された水彩画の様に見えてきます。そういえば、僕の母親の実家の前の道もこんな感じだったなあと懐かしい記憶が呼び起こされました。
反対車線からもMVのアングルで撮ってみました。本当に今にも彼女たちが手を繋いで僕の前を駆けていくんじゃないかって。
このままここでじっと待っていたら、待合室が記憶しているあの日の彼女たちの幻影を見せてくれるんじゃないかって。ふとそんなことを考えていました。
僕、いつの間にかゴーストハックされててかまわないんで、この弁華別小学校に赴任してくる新米教師の記憶を入れて欲しいです。
さあ!時間は待ってはくれません。いよいよ最後の巡礼地へいきましょう。最後の目的地はここ矢臼場停留所から徒歩40分ぐらいの道のりの先にあり、国道をひたすら真っすぐ進みます。
この辺り一帯は石狩湾と石狩川に挟まれた砂洲の様な細長い地形の場所にあって、突端にあるはまなすの丘公園という場所が最後の巡礼地となります。
矢臼場停留所からこのはまなすの丘公園に行く途中、ずっと街が続いているのですが、ブラタモリ的な目で見ると凄く面白い街で本稿でも深掘りしたくなってしまうのですがそれはまたの機会にしようと思います。実際、道すがらかなり写真を撮ってしまうぐらい個人的には好きな街でした。
Day4.午前12時35分
もう戻る事のない時間、イートンは彷徨います。あてもなく歩き、気が付くと辺りを一望できるハマナスの咲く丘まで来ていました。
ふと顔を上げるとそこには親友だったmomoが目を閉じながら座っていることに気が付きます。
momoもきっとあの当時の楽しかった思い出をずっと回想していたかの様な穏やかな表情。そして、まるで私が今日ここに来ることが分かっていたとでもいわんばかりの佇まいです。
「momo?」
「发卡?」
駆け寄る二人、ずっと孤独だった心が少しずつ彩りを取り戻していくのが手に取るように分るみたいでした。
今の自分が置かれている環境や、悩み、1人都会に出たけれど空虚な毎日の中で自分を見失いそうになっていることをmomoにポツリポツリと打ち明けるイートン。
そういえば昔からそうだった、momoはいつも真剣に私の話をじっと聞いてくれていたんだよね。見守っていてくれたんだ。momoの優しさに何度救われてきたんだろう私。
「ねえ、これから一緒に学校行ってみない?」
「うん、行きたい。」
・
・
・
このシーンで学校へと誘われる二人。シーンとしてはそこまで長尺ではありませんが、とても綺麗な風景のなか二人の関係性が垣間見えるとてもハートフルなシーンだと思います。
こちらがはまなすの丘公園だというのは、youtubeのMV動画のコメント欄に情報が書き込まれていたのでかなり早い段階から場所は特定していました。
ただ、先程の地図を見てもわかる通り石狩の砂洲の突端にある関係上、どこか他の巡礼スポットに行ったついでに立ち寄るといった事ができないので、どうしても優先順位が下がってしまい結局この4日目最終日に充てられたというわけです。
矢臼場停留所からこのはまなすの丘公園にたどり着くまで、ほとんど人とすれ違わなかったのですが、平日にもかかわらず園内の駐車場にはレンタカーが何台も止まっており、遊歩道には何組も観光客が訪れていました。
僕が行ったときには、灯台から垂れ下がっている旗は見当たりませんでした。もちろんmomoちゃんも見当たりませんでした。
僕もmomoちゃんが座っていた斜面になっている場所を見つけたのでそこに座って昼食をとる事にしました。朝ペンギンベーカリーで買ってきたパンを食べます。
momoちゃん、ここの斜度結構キツイよ・・・。と思いながらペンギンの形をしたパンを頬張ります。そういやmomoちゃんは配信するときいっつも何か食べてたな~とか、どうでもいい事を思い出しました。実はとても寂しがりやさんなのかもしれません。
パンを頬張りながら右を向くと、momoちゃんの後方からイートンが歩いてくるシーンのアングルになるのですが、被写体になるものが何もないとただの草と空しかなくてなんのこっちゃわかりません。
そして、遠くに見える山々を越えるとちょうど、石狩当別地域になります。昨日行ったばかりなのに弁華別小学校が恋しくなります。
園内のはまなすはもうほとんど終わってしまっていてさくらんぼのような真っ赤な実がたくさんなっていました。
遊歩道から逸れて、浜辺の方に降りて行った砂地に辛うじて何株かまだ花がついていました。
これでロケ地巡礼はお終いになってしまいます。札幌に飛ぶ前は、ギチギチのスケジュールを組んだ自分を呪ってさえいたのですが、終わってしまうと実にあっけなくそして寂しくなってしまいます。
始まりがあれば必ず終わりはやってきてしまいます。だからこそ、そこに流れる時間をマインドフルに感じ、その時その時いまここを生きて行くことが大事なのではないでしょうか。
あの日momoに誘われ学校に赴き、そこで級友たちとの再会を果たします。久しぶりに会ったクラスメイト達とどんな会話をしたのでしょう。きっとあの頃のように他愛の無い話しで時間が過ぎて行ったのだと思います。
そして、また皆との別れの時間がやってきます。それぞれまた帰るべき場所に帰りまた明日から今の自分と向き合っていくことでしょう。
きっとイートンもまた明日狸小路の飲食店で変わらず働いていることでしょう。ですが、どうして今自分を見失いかけているのかという事に対して少しは理解の及ぶだけの心の余裕を取り戻せたのではないでしょうか。
なにも毎日ガチガチにこうであるべきみたいな正しい生き方みたいなものに縛られ続ける必要もないのではと僕は思います。持ち時間をフルに使って長考に入れるだけの余裕ぐらい持った方が盤面が良く見えるというものです。仕事から帰ってきてだらしなくビール飲みながらアニメ見てたら朝方になってたり、4日前の洗い物がシンクに溜まってていいんすよ。僕なんて札幌から戻ってきてからあまりにも疲れて4日ぐらい風呂入ってないですから。休みの日に5分おきにおっぱいツイートしたって別にいいじゃないですか。
そんなんでいいんですよ、何をしててもその時その時でちゃんと今自分が何をしているのかというのを俯瞰して見る事ができていれば、それは時間を無駄にしているとは言えないと僕は思います。勿論、他人にとやかく言われる筋合いもありません。どいつもこいつも気にすんな腐ったレタスの害虫さん。
そういった観点で言えば、一番よろしくないのは無意識のうちについついやってしまう習慣や傾向性に無自覚であることだと思うんです。それってマインドフルではないですよね。今この時に自分が行っている行為に対して自覚的じゃないってことは、そこに流れている時間を無駄にしているのと同じだと僕は思います。
今回僕もだだっ広い畑の中を一人で歩いている時、自分北海道まで来て何やってるんだろうっていう気持ちが幾度と無く頭に浮かんできました。けれどもそういう迷いや疑問が浮かんできたと言う事をしっかり認知して、次の行動を選択してゆけば良いじゃないですか。時の勢いというのも場面では大事ですが、一度長考に入ったっていいんですよ。そこで、一旦立ち止まって考えずに惰性で動いてしまうことの方が刻一刻と流れているかけがえのない時間を指の間からサラサラとこぼしてしまっているのではないでしょうか。
そして、イートン(李艺彤)の様に、大切にしまい込んでいる心象風景のその場所に立ち返ってみる時間というのも時には大切だと思います。それは決して遠回りではなく、自分を見失ってしまいただただ毎日を無為に繰り返し、気が付いたら引き返せない場所まで来てしまってからことの重大さに気付くよりかは大分マシなのかなと思います。
Day4.午後2時20分
帰りのバスの窓越しにもう一回お気に入りのアングルで矢臼場停留所を撮る事ができました。
長かったようで短かった僕のなつやすみが終わりに近づいてきたようです。
なんか東京着いたら札幌より寒いでやんの。身体おかしくなりそうっす。
まとめ
この『时间的歌』のMVはどうしてこんなに心を惹く作品なのか。札幌へ向かう帰りのバスに揺られながら僕はぼやっと時間の大切さってなんだろうっていうことを考えておりました。この『时间的歌』の歌を貫いているテーマ、伝えたいこととは”時間の残酷さと優しさ”だと思いました。
僕はSNH48に出会ったお陰で、劇場公演を主軸に置くアイドルを追い続ける楽しさを覚えました。こんなにアイドルに長くハマったのは初めてで、しかも中国という別の国の文化と融合した形ででした。アイドルというものの見方や捉え方、僕のなかにあった旧来のアイドル像がこれをきっかけにかなり変わったと思います。
あと、SNHを通してAKBの楽曲の良さにも改めて気付かされました。AKBグループの昔の劇場公演の曲を相当数覚えました!中国語でですけど。
思い出せるだけでも、最終ベル、パジャマドライブ、RESET、シアターの女神、逆上がり、青春ガールズ、手つな、アイドルの夜明けとかこの辺りの楽曲は全部SNHの公演で中国語の歌詞で初めて知りました。
そして幸いにも約5年間独学ではあったけれどSNHのお陰で中国語を学ぶ機会を得ることが出来ました。上海の星梦剧院(上海にあるSNH48の劇場)に推しに会いに行きたくて、話したくてがむしゃらに中国語を勉強していたら、ある日から夢の中で推しと中国語で会話をするようになりました。時間の積み重ねというのは本当に凄いと思いました。
中国語が上達したお陰で、メンバーがweiboに書いている内容や口袋48で話していること、公演中のMCでメンバー同士が話している話題にすら、全てがクリアに理解できる訳では無いですけれど、なんとな~くは理解できるようになりました。スラングも沢山覚えました。コールやMIXも僕はSNHで覚えました。
ですが、ヘタレな僕は色々な言い訳を重ねて上海に会いに行くことなく、ずっと在宅を貫くのです。その間、推しが何人も退団していきました。
『时间的歌』のメンバーそれぞれの物語の様に、たとえ失敗したとしてでも、そこに飛び込んでみる勇気は大事だと思います。その勇気が当時の僕にあったら今の僕はまた違った物語(ストーリー)を生きていたのかもしれません。
飛び込んでみて失敗したり傷ついたら、ちょっと休んだりしながらまた原点に戻ってくればいいんです。失敗したとしても飛び込んでチャレンジしたからこそ得られるフィードバックというのはとても大きいと思います。
そう、イートンの隣にはクラスメイトがいつも居てくれていたように、僕がSNHヲタをやっている間も僕は決して一人で黙々とヲタをやり中国語を勉強し続けた訳じゃない。そのいつまでも続くかのような弛緩した時の流れの中に、そこにはいつも僕の大好きなメンバーが寄り添っていてくれたから続けてこられたのだと思います。やっぱり時間は残酷だけれどとても優しくて暖かい。
『时间的歌』聖地巡礼マップ
今回全てのロケ地をGoogleMapでピン打ちしてから札幌に旅立ったので、せっかくなのでマイマップを作りました。
※MVの撮影とは別にスチール撮影などでメンバー全員ロケ隊とともに小樽にも半日ほどロケに行っていますが、MVとは直接的に関係無いので省いています。
これで本稿は終わりとなります。最後まで読んでいただきありがとうございました。