【30冊目】まぐれ ナシーム・ニコラス・タレブ
リスクに気づいたりリスクを避けたりといった活動のほとんどをつかさどるのは、脳の「考える」部分ではなく「感じる」部分なのだ。合理的な考えが役割を果たすのは、ほとんど、自分の行動に何か理屈をつけて正当化するときのようだ。
後知恵バイアス
事象が起きた後に得られた情報を、事象が起きたときにわかっていたはずだと考え、 その結果、事象が起きた当時の情報を過大に見積もってしまうこと。「最初からわかっていたよ」
過去を予測するのがとてもうまい連中が、自分は将来を予測するのもうまいのだと勘違いして、自分の能力に自信を持ってしまうのだ。
人々が合理的なら、過去のデータを使って予測可能なパターンを見つけ、それに適応するから、過去の情報は将来を予測するのにまったく使えなくなる。
理論のあり方(ポパー)
1 検証が行われ、適切な形で否定(ポバーは反証と呼ぶ)されて、間違っていることがすでにわかっている理論。
2. まだ反証が成功していないので、間違っているかどうかはわからないけれど、間違っていること が証明される可能性のある理論。
理論が正しいことがないのはなぜだろう? 白鳥はすべて白いとわかることは決してないからだ。
私たちは論理的で合理的な考えをばら撒くのが好きだけれど、実践するほうも楽しめるとはかぎらない。
人間は帰納的推論で記憶する
因果関係があると記憶にも残りやすい。情報を保存しておくために私たちの脳がしなければいけない仕事が少なくてすむのだ。
ビュリダンのロバ
日々のちょっと した手詰まりを「コイントス」で打開した、つまり意思決定の過程で偶然に任せて物事を決めたことがあるはずだ。 ランダムなのも悪くない。
私たちは組み込まれたもの、個人的なもの、説明できるもの、そして手にとってさわれるものが好きだ。私たちのいいところ(美意識や倫理)も悪いところ(たまたまなのにその気になる)も、みんな、そこ から湧いて出ているように思う。
生来、私たちは、可能性が低くてまだ深く考えな ていいことを無視するようにできている。 身近な言葉でいえば、それが分別というものだ。 どうして人は目先のことしか考えられないのだろう? 理由は簡単だ。 旧石器時代の名残りが根強く残っているからだ。数十万年にわたって、 小さな血縁と知り合いの輪の中で、 短期的な利益を追いかけていた者たちが長生きしてたくさん子孫を残した。 彼らの集団 としての繁栄が、彼らの身分や帝国の崩壊を招いたときでさえそうだっ た。 長期的な視野に立てば遠く将来の子孫を救うことができたかもしれ ないが、それにはヴィジョンや広範な利他的行為が必要で、本能的にそれは難しかったのだ」
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