神々の降臨を高原の朝に見て、諏訪大社本宮へ その2【登山記】
神長官守矢史料館を経由して前宮へ
諏訪大社本宮にある宝物殿を堪能し、前宮に向かうこととした。前回の記事はこちら。
お守り授与所をみると、薙鎌をデザインしたお守りを見つけた。翡翠と黒曜石を組み合わせたもので、しかも諏訪大社の魔除けの祭具、薙鎌がモチーフとなっている。
手に入れようかかなり迷ったが、今年はいろいろな神社のお守りをいただいているので、またの機会にすることとした。
気になる方は、下記リンクをご参照。
本宮から前宮までは、山裾の道をほぼ真西に歩いて行く。県道16号線沿いを歩いていくと、迷うことはない。地図アプリを見ると30分ほどで着くようだ。
山裾の道を歩いていくのだが、かつて諏訪湖がもっと大きかったころは、湖畔の道であったと思う。現在の諏訪湖は、約13平方キロメートルであるが、平安期ごろまでは、現在の本宮あたりまで湖が広がっていたようだ。徐々に湖が縮小していき、現在の姿となっている。
https://www.city.chino.lg.jp/uploaded/attachment/17164.pdf
上記の地図は、前宮・本宮の散策マップだが、この途中にある神長官守矢史料館と北斗神社が印象に残った。
特に神長官守矢史料館については、以前こちらの記事であげている。
私が今、諏訪が大好きになったきっかけとなった場所だ。建物自体も信州出身の著名建築家 藤森照信氏の設計である。
庇を突き抜けた木は、御柱を象徴しているようだ。
ぜひ、同行者にも知っていただきたく、無理を言って立ち寄らせていただいた。
強烈な鹿の頭の壁飾りは今回は載せていない(笑)。
今、ジャンプ連載の人気漫画「逃げ上手の若君」で諏訪信仰に対する興味関心が高まっているようだ。中世の信仰や諏訪地方独特の文化が垣間見れて、私も楽しみにしている漫画だ。(どちらかというと単行本の巻末の解説が面白いのだが。)
その関係か、前回来た時には、さりげなく展示されていた中世の文書が、目立つ場所に公開されていた。
こちらをじっくり見ていると、あっという間に時間が経ってしまうので、立ち寄るだけとし、前宮へと急いだ。
諏訪大社前宮へ
多少のアップダウンはあったが、ほぼ平坦な道を歩くこと30分ほどで上社前宮に着いた。
前宮はその名の如く元々諏訪大社があったと言われている場所だ。こちらが本宮ほどのしっかりした建築物があるわけではないが、もともと本宮の摂社扱いだったこともあり、こちらには本殿がある。
祀られているのは、タケミナカタノカミの妃とされるヤサカトメノカミである。だが、祭神は後の世の都合で入れ替わることもあり、やはりここはタケミナカタノカミが本来祀られていたところであると思う。
前宮の駐車場から鳥居をくぐり、山道を歩くと水場がある。水眼と言われる場所だ。その美しい水の源は、守屋山からの水脈だ。
その水眼川のほとりに立つ。
先程の本宮の幣拝殿などの社殿と比べれば、前宮の本殿は質素で小さい。その本殿を取り囲む質素な木塀があり、その四隅に四つの御柱が屹立している。本殿の後背地には木が植えられているだけだ。
その後背地の遥か向こうは山の中である。この山の中はフォッサマグナと中央構造線が交わる場所だ。大地の大きな力が交差する特異点であり、古代の人々はその大地の力を感じ、その場所に向けて祈りを捧げた、もしくはその力をいただくために、この場所を選んだのではないかと思う。
改めて諏訪大社の力を感じながら茅野駅へ
諏訪大社前宮で改めて、諏訪の神々の力を感じながら、満たされた気分で茅野駅に向かった。タクシーなどを拾いたかったが、あいにく見つからず、30分ほど歩き、茅野駅にたどり着いた。
甲府を経由し、身延線で帰るため、甲府までの特急あずさに乗る予定であった。ところが特急あずさは、すべて満席表示。
これはしまったと思ったが、駅員から甲府までは空席があると説明を受けた。これは聞かないと分からない。なんとかそれにギリギリに飛び乗った。
これを逃すと甲府から、特急ふじかわに乗ることができず、到着が1時間以上遅れてしまうところだった。おかげで特急ふじかわの車中で、お土産とビールで打ち上げをしながら、ゆっくりと帰ってくることができた。
おまけ:北斗神社
前宮から本宮に向かう道が、三の鳥居と四の鳥居に岐れるあたりある。南に向かって急峻な山裾を駆け上がるように、階段が伸びている。
北斗神社という名前から、北極星を信仰する神社と思われる。
後で調べてみると、祀っているのはアメノミナカヌシ。古事記では、最初に現れる神。あまり詳しくは調べていないが、これが太一信仰と結びついて、ここに祀られたのではないだろうか。
200段以上の階段を登った先にある神秘的な神社。今度この本宮と前宮の間にある鎌倉古道を歩きながら、こちらにも立ち寄ってみたいと思う。
おまけ:謎の館
山路ペンションの裏手にあった謎の廃校。本格ミステリー好きの私にはびんびんくる怪しげな気配。金田一少年の事件簿の舞台になりそうな場所だ。
青銅の門扉に絡まった蔦がなんともミステリアスな雰囲気を増幅させている。辺りには謎の(!?)井戸もあり、ミステリ作品を書けるのではないかと、しばし空想した。