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#05 3三振後の左前打

夏休み前の最後の週末の土曜日、先週に引き続き4年生以下の練習試合が組まれた。相手は4年生以下しかいないチームで、逆に言えば普段から4年生以下だけで戦っており、4年生以下のメンバーとしてはかなりしっかりしたチームだ。

練習試合は2試合行うこととされ、1試合目、K太はこの日も8番レフトで先発出場させてことができた。

1回表の守り、うちの2枚看板の一人が今日も絶好調。初回、先頭バッターにファウルで4球粘られるも、根負けせずに三振に切って取ると、その後も2番3番を連続三振に打ち取り、幸先の良いスタートを切る。

1回裏の攻撃、相手投手も4年生としてはかなりの速球を投げる本格派だが、普段からレギュラー戦にも出ているチームメート達にとっては苦にするほどではもい。先頭バッターが2球目をたたいてセンター前ヒットで出塁すると、すかさず盗塁。2番バッターのセーフティーバントを相手が処理し損ねている間に2塁ランナーが一気にホームを陥れて1点先制した。その後も四球、エラー、5番打者のツーベースヒットで2点を加え、内野ゴロ二つの間にもう1点追加。2死ランナー無しで8番のK太に打席が回ってきた。

打線の勢いに乗りたいところだが、7番打者までとK太ではまだ経験値に差があり、相手投手の速球にタイミングを合わせることができない。2球で簡単に追い込まれると、その後2球見ボール球を見送って2-2になるも、最後の球に振り遅れて空振り三振に倒れた。

2回表は相手の内野安打に四球とエラーが絡み1点を奪われるも、その裏に2点を返し、3回表を無失点で切り抜けたその裏、1点を加えてなおも1死2・3塁のチャンスで再びK太に打席が回ってきた。

相手投手はこの回から二人目に交代していたが、2番手投手も4年生にしてはなかなかの球速の持ち主だった。

打席に入ってサインを見ると、いきなり監督から初球セーフティスクイズのサインが出た。今まで試合でセーフティスクイズなどやったことがないK太は、動揺してもう一度サインを要求する。監督からは同じサインが出たが、まだ動揺が収まらないK太は、一応バントの構えはするも、真ん中の速球にバットを引いてしまい見逃しのストライク。当然監督からは何で見送るんだと檄が入る。2球目も速球が真ん中近くに投げ込まれ、うちに行くもタイミングが合わず振り遅れて空振り。その後3球ボールが続くも、6球目のストライクボールにタイミングが合わず、結局空振りの三振に倒れた。

ベンチに戻ったあと、改めて監督から「三振は仕方ないが、セーフティスクイズでストライクを見逃してはいけない」と叱責を受け、K太はここでライバルのチームメートと交代となった。試合は4回表を1失点で抑え、チームは10-2でコールド勝ちしたが、K太にとっては悔しい結果の試合となった。


2試合目は両チームとも試合経験の少ない子をメインとしたチーム構成となり、K太は7番センターで再びスタメン出場のチャンスをもらった。

再度後攻となった初回の守り、先発したうちの5番手ピッチャーの制球が定まらず、四球に内野安打とエラーも絡んで3点を先制される。

それでも裏の攻撃でツーベースヒット2本に四球とエラーで3点を返し、なおも2死3塁でK太に打席が回ってきた。
今度の相手投手はそこまで球速はなかったので、今度こそはと期待したところだったが、2ボールのあとのストライクを見逃し、4球目の高めのボールに中途半端に手を出しファウル。追い込まれてからの外角低めの難しい球にバットが空を切り、この日3度目の三振。
その前の打者のライバルチームメートはファウルでしっかり粘ってフォアボールを選んでいただけに、本人としても何とかしたい打席だったと思われるが、気持ちとは裏腹に残念な結果に終わってしまった。

2回表、1死から1番打者にツーベスヒットを打たれ、1死後の2死2塁から、2番打者の痛烈なライナーがK太の前に飛んだ。ワンバウンドで捕球したK太は、素早くショートに返球し、2塁ランナーは3塁ストップ。ここでエラーでもしていたら立ち直るのに時間がかかるかかりそうな場面だったが、なんとか無難に守ることが出来た。その後四球で1死満塁のピンチとなったが、ピッチャーが何とか踏ん張り無失点で切り抜けた。

2回裏、3回表と双方点が入らず、迎えた3回裏、相手のエラーとバントヒットなどで1点を勝ち越し、なおも無死2・3塁のチャンスで再度K太に打席が回ってきた。この日打席では良いところのなかったK太だが、この回から変わった投手は、球速はないもののコントロールの良い、K太にとっては相性のよさそうな相手だった。監督からも打てのサインが出た。

初球、真ん中近くに甘く入ってきた球に反応して振りぬいた打球は、鋭いライナーでレフト前に飛んでいき、見事なタイムリーヒットとなった。
レフトが浅めに守っていたために二塁ランナーが返ることは出来なかったが、レガシーの力を借りなくても確実に安打となるような、初めてのクリーンヒットと言えるだろう。

この回は結局その2点止まり。時間的に最終回となった4回表に1点を返されるも、K太のヒットによる1点が決勝点となり、結果5ー4の2連勝で練習試合を終えた。


最後の最後でなんとかいいところを見せることができたK太だったが、速球への対応と、初めて出たセーフティスクイズのサインを見逃してしまったことの、大きく二つの克服すべき課題が見つかった今日の試合。既にレギュラーを張っているチームメート達も、こうして一つづつ経験してうまくなってきたはずだ。K太はまだ野球を初めて1年そこそこ。できることが増えるほど求められることも増えていくけれど、その都度覚えて意識して練習していけばきっと身につくはず。

今が一番成長できる時期だ。がんばれK太!



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