音楽の「うまい」「へた」の境目
ボーカルを含めて、音楽を、特にバンドなどで誰かと一緒に音を出すときに「上手い」か「下手」かは、シンプルに一つだけ、「縦のリズムが合うかどうか」しかないと思います。下手な人ほど「オレだけのグルーヴ」みたいな感じでゆらぎを求めるわけですが、それはそもそも「キチっと合わせられる」という技術があって初めて成立するもので、それがなければ「ズレている」でしかないわけです。
いまや電子音楽が割とポピュラーになったのでこの「縦のリズム」というのは非常にわかりやすいと思いますが、ジャズみたいな「人間臭い」音楽にもちゃんとあって、やはり「ここ!」というところに音を入れられる(あるいは抜ける)技術があって初めて成り立つもので。
じゃあどうしたらいいかと言えば、つまらないのですが、メトロノームと友だちになるしかなくて、とにかく体に覚え込ませるしかない。体感として覚えることと、指や腕や足が動くのはまた別なので、録音してみないとわからなかったりします。これはもう、訓練しかないというか。
SoulやFunkだと独特の「ノリ」があったりしますけど、あれはもう音楽というものが体に染み付いて初めて出るもので、基本的に同様とJ-Popでしか育っていない日本人には出せないグルーヴだったりします。あの「ごく僅かにズレてるけど気持ちいい」感覚というのは、意図してでてくるものじゃないわけで、やはり「体が知ってる」ものなんですよね。
上述のことは楽器しか当てはまらないかというと、ボーカルも同様で、まず「リズムが取れること」が第一です。もちろん音程も大事なのですが、それはそれでトレーニングするしかなくて、リズムはもっと大事です。これもどうすればいいかと言えば、「録音して確認する」以外にないんじゃないかと思います。自分が「声を出していると思っているタイミング」と「マイクが拾うタイミング」というのは、本当にコンマ何秒の世界ですが、ずれるんです。それを補正できるか?なんですよね。
リズム楽器だけでなく、ウワモノもこの「縦のリズム」が取れるかどうかで、バンドとしてのグルーヴが変わってきます。特に「低音は立ち上がりが遅く聞こえ」「高音は立ち上がりが早く聞こえる」という周波数の特性もあるので、特にドラマーはハイハットとバスドラムが「タイミングとしてはドンピシャ」でも聞こえる音はずれていたりします。
こういうことも、自分で録音してみてわかったことなのですが、自分の場合ギターは走り、ピアノはモタり、ベースは割とオンタイム、ドラムはいい加減、という具合です。ボーカルは言わずもがな、ひどいです。
なので、バンドでサウンドを作るときには、何をおいてもまずは「縦のリズム」を意識するといいと思います。それができるということは、「意図通りに演奏できる」とも言えるわけで、そこからズラすのは簡単なわけです。ジャコ・パストリアスのベースなんて、まぁよくあれだけの音をこの中に収めるな、という程の音数を正確にはめていたりします。とても無理です。
よく出来た音楽を聞くと当たり前なのですが、実際にやってみると難しいというところで、「縦のリズム」を意識してみると、いいんじゃないかなと思います。