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防災学習=これまでを踏まえて乗り越え、より良い未来に向けて行動する
3月11日。
あれから11年。
月日と共に記憶は薄れていく。
しかし、忘れてはいけないこともある。
今回、防災学習のまとめとして、防災ゲーム『クロスロード』を使った授業をした。
問題に対して、イエスかノーか、立場を明確にし、その理由を話し合うという活動である。
災害が起きた時のあらゆる状況や場面を想定し、もし自分なら、と考えることで、学習を空中戦で終わらせずに、自分ごととして捉えられるようにするための授業だと考えている。
判断に迷うこともあるかもしれない。
でも、いざというときは必ずくる。
そして、いざというときは、次の瞬間かもしれないのだ。
判断するのではなく、決断しなくてはならないのである。
これを読んでいるあなたも、ぜひ一緒に考えてみてほしいと思います。
第一問。
お家の人がいない状況で、自分はどうするかという問題。
避難所の方が安全だけど、お家の人との連絡が取れてないし…一人では不安だし…という意見が出た。
余震のことに言及したり、交通が普段通りでないことや、時間帯によってより危険になることなど、総合的に考えている子が多かった。
最優先すべきは、自分の命。自分の安全。
でも、安全と同じくらい、安心も大切である。
では、こんな状況になった時にどうするか、家族で話し合っているだろうか。
お家の人と意見が一致していればいいが、もし違ったら大変である。
いざという時に連絡が取れるとは限らない。
だからこそ、想定し、準備しておかなければいけないのだ。
第二問。
第二問は、ペットの問題。
当然のようにYESと答える子が多かったが、ある子の「俺、アレルギーやねん」という発言で揺れた。
そういう人もいるかもしれないという視点が入ったことで、考えがより深まった。
犬が苦手な人もいるかも・・・
小さな子は怖がるかも・・・
吠えたりしたら迷惑かも・・・
ただ可哀想だから連れていく、という考えではなく、連れていった時の周りの状況についても考えが広がったのがよかった。
「この学校(避難所)はペットOKなんですか?」との質問に、自分事として考えていると感じた。
身近な存在であるからこそ、自分に引きつけて考えられるのかもしれない。
第三問。
第三問はさらに視野を広げる問題。
NOの「平等が大事だと思う」という意見は、同意する子が多かった。
それに対して、YESの意見が素晴らしかった。
「少しずつ分けて平等に配る」
「人に応じて配る量を考える」
「子供や老人優先で配る」など、柔軟な考えが出たのだ。
答えは一つではなく状況に応じて考えていくことの大切さに気付けたことが素晴らしいと思った。
これまでの学習を活かして、全体にとって1番良いのはどういう方法か、という視点で考えることができた。
いざというときは、次の瞬間かもしれない
子供達に繰り返し語った言葉。
いつ起きるかわからない。
だからこそ考え、話し合い、準備しておかなければいけない。
子供達のふりかえりには、
「帰ったら家族と話したい」
「考えているつもりだったけど、全然考えれていないことが多かった」
「もっと細かく想像しないといけないと思った」
「家の人はどう考えているか聞いてみたい」
など、自分ごととして考えようとする姿が見られた。
どうしても、遠いもの、関係のないもの、と捉えてしまいがちな防災学習。
学んだことを活かすためには、もし自分なら、と考え、話し合うことが大切なのだと思う。
自分とは違う意見を聞き、新たな視点を得る。
そしてさらに考え、話し合うことで、自分が何を1番大切に行動すれば良いかがわかってくる。
これまでを踏まえて乗り越える。
そして、より良い未来に向かって行動する。
防災学習は、命の学習である。
それと同時に、自分達の未来を作っていくための学習でもある。
今後必ず災害は起きるだろう。
その時に、自分の命を守り、自分の大切な人の命を守れる。
そんな人間になってほしいと願っている。
めちゃくちゃ真面目な授業の話でした。
誰かの何かのきっかけになれば嬉しいです。