2025年1月 観た映画感想文

タイトルの通り、2025年1月に観た映画の感想文です。
対象は映画館で観た新作のみ。
ストリーミングで観た分や再上映で観た過去作品、テレビアニメなどの総集編作品、観るのが2回目以上の作品などは末尾にタイトルだけ備忘録として書いておく感じでいきます。
前月の分はこちら↓


神は銃弾

今年の映画初め作品。

悪魔崇拝を掲げるカルト組織に一人娘を誘拐された主人公が、かつてそのカルト組織に同じように誘拐された過去を持つ若い女の協力を得て何とか娘を取り戻すため奮闘する……という筋書き。冒頭「実話に基づく物語」との一文が表示されるものの、調べてもどの辺がそれに該当するのかがよく分からなかったからほんのりと香るスパイス程度に考えておいたほうがいい。

最初から最後までずっと張り詰めた空気が漂う特濃スリラーで、後から振り返ってみると映画初めにはあまり向いてなかったなと思う。ただその重苦しい雰囲気がむしろ心地よいというか、求めてたモノがそのまま出てきた感じがして個人的にはグッとくるところがいくつもあった。カルト組織と主人公たちが接触して以降はいつ誰が死んでもおかしくないような極限の緊張感の中で物語がズンズン進んでいくから本当に目が離せなくなる。

だからこそ何か尻すぼみな印象を受けるのが非常に残念。物語の骨子は復讐譚なんだけど、終盤にやってくる肝心の復讐パートがそれまでのシーンや展開と比べるとやけにアッサリしているのが原因だと思う。敵対組織を追いかける一部始終を中盤までは割としっかり描写してたのに、終盤に差し掛かると急にご都合主義的で雑な、過程をすっ飛ばすような描写になって「今までの丁寧さは何だったの?」と拍子抜けさせられるところなんかはあんまり印象が良くない。加えて、一番盛り上がるべきタイミングでロケーションや演出、画面のレベルがチープになるのはこの手の作品にしては致命的と言わざるを得ない。撮影スケジュールの管理をミスったのか、あるいは前半に尺を使い過ぎて後半は詰めざるを得なかったのか、予算切れでガス欠を起こしたのか……いずれにせよ何かしら事情がありそうではある。
(そもそも原作小説の時点で同様の展開になってるのかも?)

とはいえ映画自体の満足度は全体を通して割と高め。だからこそ最後の最後に飛び出してくる粗が悪目立ちしてしまっているという側面がある。

敵役である悪魔崇拝カルト周りに関してはアンモラルでインモラルな世界観、全身タトゥーの強烈なビジュアル、オリジナルの陰惨な儀式などバチバチにキマっており、視覚的なインパクトは相当なものがある。ものすごく魅力的なヴィランだった。

とにかく薄暗くて凄惨な映画だから観るのには気合いが必要になるタイプの一本。ゴア表現も割とガッツリあるからグロ耐性が無いとキツいかも……。

ビーキーパー

「多分こういう映画なんだろうな」と思い描いていた通りの映画が目の前で繰り広げられることの何と安心感のあることか。ジェイソン・ステイサムとはかくあるべしといった趣。例えば「カツカレー」と聞いた時に何となく想像する味があったとして、それそのまんまの味がするカツカレーが提供されるような、こういうのでいいんだよの権化みたいな作品。

悪い連中は軒並み叩きのめされ、復讐の道中を邪魔する煩わしい国家権力たちも軒並み叩きのめされ、一意先進、猪突猛進なステイサムを止められる人間は誰一人としてこの世にはいない。これは世界の理であり、それ以上でもそれ以下でもないのである……ということを約2時間かけてたっぷりと味わうことができるある意味最高のエンタメ。

作品全体を通じてあっと思わせられるような意外な展開や物語の捻りが一つも無いところに関しては何とも潔く、信念めいたものを感じさせられる。製作陣は自分たちが何をすべきなのかを骨の髄まで理解しているし、それを成すために全力を注ぐことに一切の躊躇いが無いんだよな。

一方で、観せたいモノを的確に組み上げ思い描いた通りに観せるということがどれほど難しいことかを思えば、この映画は一見して受ける印象よりもずっと細部にまで丁寧に気を払って作られていることが推察される。こういうのをきっとプロの仕事と言うのだと思う。

ちなみに主人公は養蜂家なんだけど、正直物語の展開的に養蜂家である必要は一切ない。ただそんなことはどうでもいいんだよね。重要なのは主人公が養蜂家であることではなく、主人公の養蜂家がジェイソン・ステイサムであること、そして我々はジェイソン・ステイサムを観るために映画館に足を運んでいるということなのだから……。

いやしかし同じこと言ってる人すでにいっぱいいるけど、この映画で使われてるメソッドを応用すればいくらでも新しい映画が作れそう。コレに味を占めて軽率に新作を撮っていってほしい、がんばれジェイソン・ステイサム。頼むぞジェイソン・ステイサム。

トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦

香港発のカンフーアクション。古き良きカンフー映画の雰囲気を保ちつつ、映像面では今風なスタイリッシュさも魅せつつといった感じでバランスが良い。

俳優陣の殺陣もさることながら物語の舞台となる九龍城砦のビジュアルが何とも強烈でついつい見入ってしまう。そのクオリティは一目でセット作りに尋常ではないこだわりを持って取り組んだことがわかるほど。

あとこの映画の何が嬉しいって、出てくるジジイが軒並みキャラ立っててカッコイイところ。特に初っ端、タバコ咥えたジジイがそのタバコを頭上にポイッと投げ捨てて主人公を殴り飛ばしたあと落ちてきたタバコをまた指で挟み取って一服を続けるシーンが差し込まれて「し、痺れる〜!」となってしまった。そこからはもうすっかりこの作品の虜ってわけ。

全体を通じて静と動のメリハリがしっかりしているから特濃のカンフーパートが連続しても胸焼けする感じがないのはお見事。物語的には良くも悪くも見た目通りの任侠モノって感じを受けたけど、真っ直ぐにアクションを観せてくれるから満足感は高め。

いやしかし、それにしたって気功が万能すぎやしないか?特に終盤、気功を使いこなすことができれば刃物で傷つくことも殴打で倒されることもないって少しやりすぎなような……まあ、けど、それが良い、良いんだよな。だってカンフーアクションなんてやりすぎなくらいがちょうどいいですからね、いや本当に。

全体的に人間が頑丈すぎるのはご愛嬌として、底知れない情熱を感じさせられるハイカロリーな一本です、オススメ。

ストリーミングで観た作品など

◆レ・ミゼラブル
◆機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Begining-
◆セブン


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