ムムリン
ハライチの岩井さん原作のマンガ「ムムリン」が、2021年8月2日発売のヤングマガジン36・37合併号から連載開始されている。
この「ムムリン」は、宇宙旅行中に乗っていた宇宙船が爆発するトラブルに見舞われ、何とか地球にたどり着いたポコムー星のかわいらしい宇宙人”ムムリン”が、コウタの家に居候させてもらうところから始まる。
画のタッチや作品全体がまとうムードは「ドラえもん」ぽいんだけど、読んでみると全然違う。
「ムムリン」はドラえもんのように、色んな使える道具をバンバン出してくれたりしないし、コウタはのび太のように気弱ではなく、思ったことを容赦なくズバズバ言い放つ。
例えば、コウタが、友達のミツヤ(ドラえもんではスネ夫にあたるキャラ)に最新のラジコンを自慢されて悔しく思っているのを見て、ムムリンはラジコンを手作りしてコウタにプレゼントする。決して、宇宙クオリティのスーパーラジコンではない。手作りの、ガタゴトと音をたてながら、のろのろと何とか動くレベルの手作りラジコンをプレゼントする。
このラジコンで遊んでみて、コウタは「僕がこれで遊んでるのを見られたらめちゃくちゃ馬鹿にされるのわかってる?ラジコンを持ってないことより、しょぼいラジコンで遊んでるほうがバカにしやすいからね?」と毒づく。思いやりの欠片も感じられない言葉だが、正論と言えば正論である。
そこにミツヤがやって来て、案の定その手作りラジコンをさんざ馬鹿にする。そして、ムムリンは「僕のせいでごめんね・・・」と言って泣きながら先に家に帰っていく。
その後も、ミツヤの目の前でタイヤが外れて故障したりと、良いとこ無しの手作りラジコンだが、コウタはブツブツ言いながらも、外れたタイヤを自分で直して、もくもくと一人でそのラジコンで遊ぶのである。
おそらくコウタは、一昔前の、オイラが子供のころに近所にいたような、おっちゃんおばちゃんのような性格。思ったことをズバズバ言うが、悪気はないし、悪口ではない。そして、性根は優しい。
そんなコウタと迷子宇宙人ムムリンの掛け合いは、派手な面白さではないけれどもクスリと笑えて、じわりと沁みるマンガに仕上がってます。
ぜひ1度、実際に読んでみてください。
そして、ネタが書ける芸人さんは、こういう1話完結型のコミカルマンガの原作に向いてるなーとあらためて思いました。