三宅香帆『「好き」を言語化する技術』

 久しぶりの投稿になってしまいました、、、。
 仕事が忙しくなるとつい文章を書くことが後回しになってしまいます。少し前に『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆著)でもありますが、仕事を第一優先にするべき、と言う思考に毒されている気がします。本を読んでいる時間があれば、残業していた方が真面目・熱心と思われるに違いないと。仕事がら本を読む方が大事なのに。

 そんな状態だった自分ですが、noteに戻ってくるきっかけになった本、それが『「好き」を言語化する技術』です。
 まずこの本、文章作成の方法がよく学べます。自分は国語の教員をしていますが、文章を書くのが苦手なんです。でも授業では生徒たちに文章の書き方を教えなければならない。noteを始めたきっかけはそんな矛盾とコンプレックスを埋めるためのものでした。
 何か好きだな・いいなと思ったときに「好き」「いいな」「やばい」「すごい」のような言葉しか出でこないんです。その理由を三宅さんは、語彙力ではなく分析力に見出しています。自分の好き・いいなを「細分化」していく必要があると。
 好き・いいねを「細分化」すると大きく2つの感情が出てくるという。それは「共感」と「驚き」ポジティブな感情はだいたいこれらに分類できるといいます。この考えは自らの内面を文章にする時にも使えることに「驚き」を覚えました。
 自分は授業で、何かと何かを比較させるときによく「共通点と相違点を書き出しなさい」と指示を出します。「共感」と「驚き」はまさにこれだと思いました。「共感」は今までの自分の経験と「同じだ」と感じることで、「驚き」は今までの自分の経験と「異なっている」と感じることではないでしょうか。
 このように考えると、自分は文章表現が苦手でセンスが無いと思っていたけど、実は必要な考え方は持っていたのかもしれない。そうしたらなんだが文章を書きたくなってきました。それで戻ってこられたんですね!!

 もう一つこの本を読んで共感したのが著者が持つ言葉への危機感でした。昨今はSNSで他人の言葉を簡単に見ることができます。そんな言葉の中には語気の強いものがあり、そういった言葉ばかりが目についてしまう。そうしたときに自分の言葉を持てなくなってしまうと著者は危惧しています。確かに簡単に発信・受信ができてしまう今、ある言葉を聞いて多くの人が納得することを言う方がいいねを稼げるんですよね。だってほとんどの人がその発言にアクセスできるんですから。物事の本質を見抜いている人に刺さることよりも、物事の上部しか見れない人の方が世の中多いわけですし。ですから世の中には薄っぺらい耳障りのいい言葉がありふれてしまいます。しかし、私たちはこうした言葉に少なからず影響を受けてしまうと著者は危惧しています。そして、それに対抗する方法が、自分自身の言葉を持つことだと語るわけです。
 自分に推しはいないので、推しを紹介する言葉が欲しいわけではありません。でも、自分の考えは持ちたいともちろん考えています。自分の言葉を持つことは、自分のだけの世界の見方をすることだし、それは人の言葉に左右されずに自ら物事の本質を見抜くことだと考えます。
 自分も自らの言葉を鍛えていこうと思いnote再開です!!

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