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プロダクトマネジメントの視座 - 鳥の目、魚の目、虫の目を使いこなす

「視座が高いね」

「もうちょっと視座を上げたら?」

「視座を多角的に持ちましょう」

プロダクトマネージャーとして日々耳にするこの言葉は、もはやお約束かもしれません。

しかし、単純に「高い視座」だけを求めるのではなく、“多様な視座”を持つことが真の鍵と思います。


そこで象徴的な表現として引用されるものですが、
私の好きな表現として、「鳥の目、魚の目、虫の目」があります


鳥の目:上空から広範囲を見渡す、いわゆる“俯瞰視点”
プロダクト全体のロードマップ設計、長期的なビジョンに関わる意思決定

魚の目:環境の変化や潮流を感じ取り、柔軟に動く視点
顧客ニーズや産業トレンド、マーケットリサーチでの競合動向チェックなど

虫の目:地面すれすれで細部を検証し、具体的な実装や課題を捉える視点
UI/UXの細かな改善点の洗い出し、CS(カスタマーサポート)観点での不具合検証、日々の運用最適化

いずれも、プロダクトマネージャーとして押さえておきたい視点と言われるものですね。

ただ、同時に持つのは難しい….
私たちはホモサピエンスであって、鳥類でも魚類でも昆虫でもないんです。

そこで、私が実践している・おすすめしたい「多角的視座を養うための3つのアクション」をご紹介します。

1. とにかく“話す”——他者の視座を借りる

ステークホルダーやチームメンバー、ユーザーと積極的に話すことが最強の手段です。
ビジネスサイド(経営層、マーケティング、営業)にとって“鳥の目”は当たり前。長期的視野やP/Lを最優先する視点を教えてもらえます。
テックサイド(エンジニア、デザイナー)からは、“虫の目”の極致である実装やユーザー接点の課題発見が得られます。
カスタマー(顧客やユーザー)に近いCSやサポート担当と話すと、リアルな利用シーンを魚の目のように把握できます。

人と話すことで、自分が持っていない“視座”を借りられる。これがPMにとって最も大きな成長要因になると考えています。

2. 「2つ先のリーダー/マネージャー」ならどう見るか?

私がよく伝えるのが「あなたの上司の、そのまた上司の視点を想像してみよう」「話している相手が、さらに先で話す人を想像してみよう」ということ。

これには2つ意味があります。
一つは、対面している相手が困っている事は、その先からくるからです。その先を想像することで、対面している相手の解決もしやすくなる事があります。
もう一つは、物事を俯瞰して見るときに2階層くらい先というのは丁度良い気がします。広すぎず狭すぎず。離れすぎると想像がしにくくなってしまいます。

こういった2つ先の目線を想像することで、自然と“鳥の目”に切り替わります。一方、また現場の視点に戻って自分たちのタスクを見るときには、“虫の目”をより意識的に使うことができるようになるでしょう。

3. “高尚でかっこいい視点を表す言葉”を“お守り”にする

モチベーションを上げるためにも、自分を高めるキーワードを意識して取り入れるのは大いにアリです。
「鳥の目、魚の目、虫の目」
「ムーンショットを狙う」(常識を超えた飛躍的なゴールをめざす)
「社会実装をゴールにする」(社会全体を変える可能性にフォーカスする)
「10倍思考」(10倍スケールで考える)
「North Star Metricを定義する」(プロダクトの北極星指標を見つけ、全体最適を図る)

こういった言葉は、自分の思考スイッチを切り替える合図として便利です。忙しい中で業務がルーチン化してしまう時期こそ、「あ、ちょっと鳥の目スイッチ入れよう」と唱えるだけでも、視点の転換を促してくれます。

まとめ

プロダクトマネージャーという役割は、単に機能を作るのではなく、事業の未来を形づくり、ユーザーの体験価値を最大化する重要なポジションです。

そのためには、大局を見渡す「鳥の目」市場やトレンドの流れをとらえる「魚の目」、そして細部の実装や品質を担保する「虫の目」をバランスよく行き来する必要があります。

多様な人と積極的にコミュニケーションし、他者の視座を借りること
2階層先をイメージして意思決定の枠組みを広げること
“高尚”なワードをお守り代わりに使い、視座を自由に動かすクセをつけること

簡単に目を持てるものではないと思うのですが、時々なりきるような変身スイッチがあると良いのかもしれません。

私は比較的、鳥の目での視界は良いと思うのですが、魚の目で潮目を読むのはまだまだです。

みなさんはどうでしょうか。

おわりに

今日は、鳥の目、魚の目、虫の目をみてきましたが、

さて、人の目では何を見るのでしょうか。



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