仕事と介護の心理的な両立~テレビ朝日での放送を受けて~
今日、テレビ朝日「ワイド!スクランブル」という番組で、仕事と介護の両立について特集がありました。
その特集の中で、私も取材を受けていました。
自身が仕事と介護を両立していく中で、制度やルール、効率よく働くためのツールも重要だが、何よりも企業の中で介護について気楽に共有できる、理解してもらう「風土作り」が必要だと、ずっと思っていました。今回、取材を受けたのは、テレビを通して、その風土作りに少しでも貢献できればと思った次第です。
妻も寝たきり状態であり、女子のお洒落ができていない状態なので、テレビに映るのも嫌だったかもしれないのですが、「寝たきりでも社会貢献できるなら」ということで、快く引き受けてくれました。
幸い、会社の協力、ヘルパーさん達の協力、近所の診療所の皆さんの協力、フラメンコ仲間の叱咤激励!?、たまにご飯やお茶に付き合ってくれる方との何気ない会話により、仕事と介護の両立は成立している状態です。本当に、感謝、感謝ですm(_ _)m
でも、正しく表現すると「両立しているように見えている」ということでしょうか。なぜなら自身の中では、「妻の介護は果たしてこれで良いのか?」、「仕事ではもっと成果を残せるのではないか?」と常に葛藤があります。心理的な両立は本当に難しいのかと思います。
仕事と介護の心理的両立を冷静に考えるために、最近は以下の三つの時間のバランスを振り返るようにしています。
①要介護者が可能な限り健康で文化的な生活を送るために、家族が介護する時間
②要介護者と家族が真っ向に向き合う時間
③介護を担う家族が、自分の人生を充実させるための時間
この3つの時間のバランスを保てるようにしないと、仕事と介護の心理的両立は難しい。自分がイライラしてしまうときのことを振り返ると、このバランスが崩れている。(私の場合はね。)介護は、要介護者の病状が進行して、状況が悪化すると、①を優先せざる得ない期間が続きます。それもある日、突然その状態がやってきます。そうすると③の時間がなくなり、②の時間もうまくいかなくなる。この崩れたバランスを元に戻すために、心の整理や多くの調整ごとが発生する。中にはこのバランスを元に戻せずに、つらい思いをする方もいらっしゃると思います。
介護をしならが働く人は、常に心理的に絶妙なバランスを保っているのだと思います。だから企業は、単に介護と仕事が両立するための制度やツールの導入をするだけではなく、介護者の心理状態を把握する必要があるのだと思います。心理状態を把握するためには、やっぱり常日頃のコミュニケーションが必要。そのためには、介護のことを気楽に共有できる風土がないと。
年齢的に働き盛りの私も、初めて介護のことを会社に話すときは、勇気がいりました。「働けなくなるかもしれない」と、いうことを宣言したわけですから。でも上司が会社の制度とはまた違う形で、働き続けるための体制づくりにぐに動いてくれました。今では、もちろんこちらからも家族の状態を伝えますし、上司も「最近どう?」と、話すきっかけを作ってくれます。課の人と昼食を食べに行ったときに話したりもします。それをきっかけに、周りの方の協力を得られていると思います。
社員の心理状態まで把握するなんて、、、と、思われるかもしれませんが、これから企業の中で介護をしながら働く社員が増えてきて、その人たちが成果を残すためには必要なことなのだと思います。
テレビの特集では、私が仕事と介護を両立していくためにぶち当たっている壁について、フォーカスされていました。ご覧になられた方は、「とても大変!長澤、大丈夫かよ」と思われたかもしれません。それも真実だと思います。でもこの状態をまずは周りに伝えることで、周りから協力を得て、たぶん皆さんがご想像されるより、穏やかな日々を妻と過ごせています(たぶん)。趣味のフラメンコも細々続けられていますし!
※追記
番組のディレクターさんから「長澤さん、ご自身が奥さんと同じ病気だったらどうでしたか?」と聞かれました。「私だったら、いじけています」と、答えました。仕事と介護の両立をなんとか続けられているのは、妻がいじけていないのも大きな要素です。