実習生教育日記④
ツバサ君が他店舗に移動になってしまいました。
実は元々、ツバサ君は彼の自宅から徒歩圏内にある店舗で受け入れを予定していました。
しかし一時的にその店舗での受け入れが厳しくなってしまい、準備が整うまでの間、ユキちゃんを受け入れているうちの店舗で面倒を見ることになっていたのです。
最初からこうなることは決まっていたのですが、いざいなくなってしまうと調剤室の雰囲気も幾分変わってしまったように感じます。
ユキちゃんも心なしか少し寂しそうでした。
さて、そんなわけで4週目(6/14〜18)。まずは実習の受入れ側についてご紹介。そして慣れてきた小児科の処方では流行りもあって胃腸炎の処方が盛りだくさんです。
認定実務実習指導薬剤師
薬学生を受け入れるには、「認定実務実習指導薬剤師(以下、指導認定)」を持っている薬剤師が薬局にいる必要があります。
一方、薬学生は、5年生で実習にいくので、その一年程前に実習場所を決めます。
この指導認定を持った薬剤師のいる薬局がリストになっていて、その中で自分の家から近いところを選ぶような感じです。
※一部選考などある場合もある。
つまり、薬学生側は店舗で行く場所を決めますが、薬局側は店舗ではなく認定を持っている薬剤師によって受け入れ可否が決まるのです。
だから、一年前に受け入れを受諾しても、例えば、その薬剤師の怪我や病気、あるいは産休などの長期休職、もしくは離職などで受け入れが難しくなる場合があるんですね。。。
急なことであったとはいえ、今回の件ではツバサ君には大変迷惑をかけてしまいました。本当に申し訳なかったと思います。
今回は他の指導認定薬剤師を回して対応することになりましたが、会社としてはなるべくならこういったことはおきないようにしたいところですね。
胃腸炎の処方
さて、1人になったユキちゃん。4週目もできる範囲でどんどん投薬に挑戦です。
今回挑戦して大変だったのは以下の処方。
<処方>
ビオスリー配合散 1g
1日3回 毎食後 4日分
【般】ドンペリドン坐剤 30mg
吐き気・嘔吐のある時 1回1本 6時間空けて
【般】アセトアミノフェン坐剤小児用100mg
38.5℃以上の発熱時 1回1本
吐き気止めが出ているので、きっと食欲はないかもしれません…その辺りがまずはポイントでしょうか?
ユキちゃん「症状はどんな感じですか?」
患者さん(母)「何回か吐いちゃって。気持ち悪いみたいです。あと熱が38℃超えてて、寒気も酷いみたいです。」
ユキちゃん「そうなんですね。飲み薬で整腸剤が出てますので、食後に飲んでください。食事とれなければ食べずに飲んでも大丈夫です。」
ユキちゃん「あと、坐剤が2つ出てるのですが、同時に使う時は吐き気止めから使って、30分以上空けて熱冷ましを使ってください。」
だんだん落ち着いて患者さんの話を聞いたり、説明したり出来るようになってきたユキちゃん。
彼女の説明通り、整腸剤のビオスリーは食事の影響を受けるお薬ではないので、食後の処方にはなっていますが食事なしで服用できます。
食欲がないと思われる患者さんに配慮した説明ができたと思います。とってもgoodですね!
そんなユキちゃんには、今回もう一段上のアドバイス。
今回2種類の坐剤を使う際の説明をしてくれましたが、症状に注目するとより使い方が明確になります。
患者さんはすでに吐いていて、今も気持ち悪そう。であれば吐き気止めはなるべく早く使ってあげるべきです。
「帰宅後すぐに1本使ってあげてください。」とでも伝えてあげるとわかりやすかったと思います。
一方、お熱は上がってきていますが、寒気もあると言っていました。
寒気がある状態で無理に熱を下げると余計にひどくなる可能性があります。よって、解熱剤の使用は少し待って、様子を見る方がいいと考えられます。
こちらは「少し様子を見て、汗が出て来るようになったら使ってあげてください」などと伝えてあげるといいかもしれませんね。
あとがき
患者さんにお渡しする薬袋には処方通りに薬の飲み方が記載されています。
例えば『1日3回毎食後』といったように。だから患者さんとしては、最低限その通りに服用すれば問題はありません。
だけど、いざ使って見るときに迷った経験のある方も多いはず。
『発熱・頭痛時』って書いてるけど、熱なくても使っていい?とか
『嘔吐時』って書いてるけど、吐くまでは飲んじゃダメなのかな?とか
実際に使い方について質問を受けることは沢山あります。
また、質問されればいいのですが、例えば食事を摂らないから、という理由で薬を服用しなくなるケースもままあります。
そこで私が意識しているのが『具体的に指示を出すこと』。
先の例に書いたユキちゃんへのアドバイスはまさにこれでした。
これは5W1Hで説明するという原則的なことなので、これができると色んなところで活きてくると思います。
とはいえ意識してもなかなかうまくできるようにならないところもあり…
ユキちゃんも焦ることなく、実習が終わる頃には少し意識できるようになれるといいなと思っています。