実習生教育日記⑤

すっかり1週分まとめて1記事を書くことになってきているこの日記。

実習5週目にして、ようやく現実の時間に追いつくことができました。

ユキちゃんがうちに来てから早くも1か月が経過、色んな面で少しずつ成長が見て取れます。そこでユキちゃんには一つ指示を出しました。

「だんだんできること増えてきたから、気づいたら積極的にやってみてね」

そんなわけで今週もユキちゃんの奮闘をご覧ください。

分包機のフィルム交換作業やってみた

ユキちゃんは実は結構器用さん。

お家でも料理やお菓子作りをよくするらしく、軟膏を練る作業もこなれた手つきでテキパキこなしてます。

そんなユキちゃんに分包機のフィルム(分包紙)交換をお願いした時の話。

分包機というのは、散剤や一包化(複数種類の錠剤を1回分ごとにまとめること)をしてくれる機械のこと。

フィルムを予め機械にセットしておいて、薬を入れてスイッチを押すとフィルムの中に薬が入れられて、封がされて出てくるようになっています。

このフィルムのセットがなかなか面倒で、散剤の処方が立て込んでいる時にフィルムが切れて機械が停止すると、調剤室はてんやわんやになることも。

実は来て間もない頃にやり方を教えて以来、薬剤師の指示の下に何度か挑戦しているユキちゃん。

今回は指示なしで最初から挑戦…!

いつも通りの手順に沿ってセットしてくれました。
スイッチを押して運転開始…すると

分包機からまさかのエラー音が…!

ユキちゃん動揺…

確認してみると、フィルムが裏表逆にセットされていて、上手く送り出せなかったようです。セットし直して再開するとちゃんと動いてくれました。

失敗はありましたが、最初から最後まで1人でやりきったユキちゃん。
また一つ、できることが増えましたね。

高血圧の処方

その日挑戦したのは内科ではありがちな以下の処方。

【般】アムロジピン錠5mg
【般】カンデサルタンシレキセチル錠 4㎎
1日1回 朝食後               30日分

処方は高血圧のお薬です。

先週から循環器の勉強を始めているユキちゃん。処方されている薬が何の薬なのか、はバッチリな様子。

ちなみに処方を端折っていますが、今回は他に数種類の薬もある処方でした。今まで2種類の薬までなら内科の薬も投薬していましたが、この数は初めて。

だけど今回は自分から行ってみたい、と挑戦の意思を示してくれました。
よっしゃ、そういうことなら行っておいで。

何を患者さんから聴取するのか、話の流れを考えていざ投薬台へ。

ユキちゃん「こんにちは、今日はいつものお薬ですね。血圧の調子はいかがですか?」

患者さん「なんて?」

ユキちゃん「…!?」

ご高齢の患者さんだと耳が少し遠いことがあります。また最近ではコロナ対策のビニールカーテンやマスクの影響で、年齢によらず聞こえにくい状況ですよね。

出鼻を挫かれたユキちゃんですが、その後なんとか普段の血圧の推移や、副作用の症状がないか確認できました。

ユキちゃん「血圧の調子はよさそうですね。このまま続けて飲んでいってください。

ちなみに一般的には、上(収縮期)の血圧が140mmHg以上、下(拡張期)の血圧が90以上の場合を高血圧と言います。

この高血圧の状態が続くと、血管に負担がかかるので脳や心臓などの大きな病気にかかりやすくなります。そこで、血圧を下げる薬を使って負担を減らすようにするわけです。

患者さんの中には、血圧の数値が下がったからと服薬をやめてしまう方がいます。また、一般的な血圧の数値と比べて一喜一憂してしまう方もいます。

負担を下げる目的で使用しているので、基準値より以下に保つことが大事。つまり、下がったからといって服薬をやめることはおススメできません。

また、人によって適正な血圧は、実は違ったりします。
過去に心臓の病気などをしたことがある人はもっと低めに抑えた方がいいでしょうし、元々の血圧が高くて、下げすぎると(一般的には高めでも)ふらつきなどの症状が出やすい、という方はそうした症状が出ない範囲でなるべく血圧を安定にさせるべきです。

大切なのは、自分の生活を如何に変えずに見えないリスクを減らしていくか、ということ。そのためには主治医の先生と降圧目標値について相談してみるのが良いと思います。

あとがき

実習に来て1か月が経過した5週目は『次のステップに踏み出す』がテーマとなった1週間でした。

バイトの要領で、気づいたらできる仕事はどんどん自分でこなしていくツバサ君に比べ、ユキちゃんは一歩出だしがゆっくりなところがあります。

だけど指示を出すとそれほど拒まないし、できるようになったことはちゃんとこなせます。

恐らく実習ということもあって、遠慮もあるのかもしれません。もしくは自信がない、とか失敗が怖い、という部分もあるのかも。

そこで冒頭のように指示を出すことにしました。

1か月経過して、ユキちゃんは簡単な作業には慣れ、ある程度こなすことができるようになりました。

次のステップは、「できることはやる」ということ、そして「少し挑戦してみる(=できることを増やす)」ということなのかなと思います。

おそらく、「できるかどうかがわからない」とか「(やればできると思うけど)やっていいかどうかがわからない」といった気持ちが『指示待ち』を生みやすくなるのだと思うので

「できることはやっていい」ということと
「できないことも側に付いてるから挑戦していい」ということが伝えられたら、と思っての指示でした。

結果として、ユキちゃんはやったことのない処方の投薬にも自分から進んで挑戦してくれたので、まずは上手くいったかなと思っています。

この実習の間に、もっともっと進んで動くことができるようになれるといいですね。


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