実習生教育日記①
5/24から薬学部の学生2名がうちの店舗に実習に来ています。
6年制の薬学部では、5年次生の時に薬局、病院のそれぞれで2か月半(11週間)ずつの実習を行うことになっています。
実習が開始して今日で3週目が終了。
今更にはなるけど、これから彼らの実習ぶりを描いていきたいと思います。
今日の話は以下の通りです。
はじめに
実習は調剤(薬の準備)だけでなく、実際の患者さんへの投薬(服薬指導)も行い、総合的に薬剤師の仕事について学ぶ機会です。
患者として出向いた薬局で、実習生の投薬の練習にお付き合い頂いたことのある方も多いかもしれません。
ご協力いただいている患者の皆様、本当にありがとうございます。
この記事を通して、薬学部の学生が実習でどんなことを学んでいるのか知っていただく機会になれば幸いです。
そして実習を通して彼ら学生がどのように成長していくのか?
私も楽しみにしながら書いていきたいと思います。
※個人情報に配慮し、一部改変や架空の事例を記載することがあります。
まずは二人を簡単にご紹介。
実習生①:ツバサ君(サッカー少年らしいので命名)
性別:男性
現段階での志望進路:製薬企業MR
性格:先輩からの課題やイジリをさらりとこなすナイスガイ。明るくて物怖じしないけど、根拠なく適当に回答するところがあるのが玉に瑕。課題に対しては黙って考え込む一面も。
実習生②:ユキちゃん(お肌が白いので命名)
性別:女性
現段階での志望進路:病院薬剤師
性格:まったり天然ちゃん。前に立って積極的に物事を進めるのは得意ではなさそうだけど、指示したことは意外と尻込みせずにやる。実は度胸を秘めたタイプっぽい。
※なお、性格は私から見た印象です。実際の人物像とは異なることがあるかもしれません。
3週間過ぎた現在、二人ともとても前向きに、そして楽しんで実習に取り組んでくれている印象です。
実習開始~初週まで
彼らの実習は、なんだかぬるっと始まりました。
初日の午前中は本社でガイダンスを受けた模様。午後から本社の方に連れられてうちの店舗へ。
やってきた時間帯はちょうどピークタイムに差し掛かり、スタッフ全員対応に追われている状況。とりあえず色々仕事を見てもらうことに。
集まって自己紹介の時間も取れず、手の空いたスタッフが思い思いに話しかけるという、実習生の立場からするとあまり良くないスタートだったかもしれません。反省します(汗)
2日目からは、午前中に座学、午後から調剤室に入って体験といったスケジュール。座学は薬局長が行っているので、下っ端職員の私が関わるのは午後の調剤から。
さて、うちの店舗は門前に小児科や眼科、内科などのクリニックが立ち並ぶ地域密着型の薬局です。
小児科ということで、散剤(粉薬のこと)やシロップ、軟膏の混合など幅広く調剤を経験できます。
のっけから散剤(粉薬のこと)の処方箋がやってきて、調剤に挑戦。
まずは慎重に、間違いのないように、確認しながら秤量。
交互に挑戦して、お互いに作った粉薬を監査(ゴミなどが入ってないか確認する作業)して完了。
無事、量り取って貰えたようです。
実務実習とOSCEのギャップ
ところで薬学生は実習に来る前に学校で研修を受けてきます。
その名もCBT(シービーティー)とOSCE(オスキー)。
CBTは薬学の知識を問う試験で、国家試験の簡易版みたいなもの。
対してOSCEは、調剤業務や患者対応の試験です。学校にある模擬調剤室を使って調剤の練習をするのです。
自動車免許の学科と実技みたいなものですね。
そんなわけで、実習に来る前から一通りの業務は体験して知っているわけですが、いざ実習に来てみると試験とのギャップに戸惑うようです。
その一つがスピード。
OSCE試験では、調剤を1課題5分でこなさなくてはなりません。
※例えば何種類かの粉薬を取り出して、計量して混ぜるところまでが1課題。
試験の緊張の中、スピードを保ちながら、チェックポイントを漏らさずクリアしていく必要があり、非常に神経を使います。
…だけど実務ではもっと早いスピードが求められます。
★あさイチのラッシュの時のこと★
その日、先に実習を始めたユキちゃんの最初の課題は、あさイチラッシュ時の調剤のお手伝い。
※ツバサ君は事情があって、毎朝の開始時間が少し遅め。
狭い薬局の待合室の中、患者さんをできる限りお待たせしないようにするには、実は一つの処方箋の調剤に5分もかけていられなかったりします。
捌いても捌いても際限なくやってくる処方箋たち。タイミングは重なるもので、気づけば散剤の処方が大渋滞。
スタッフもみんな鬼気迫っており、調剤室の中は戦場のような緊迫感に包まれていました。
そんな中でも取り乱さずに何とかやり遂げたユキちゃん。
本当にお疲れ様でした。
あとがき
実習の初週は調剤の体験をメインに、薬局の雰囲気を知ること、仕事のイメージを持つことなどが主な目的となったように思います。
今回の記事には書いてはいませんが、処方箋の来ない時間にも、薬の知識について問題を出したり、調べものをしたりと意外と休む時間がありません。
ツバサ君曰く「今週めちゃめちゃしんどかったっす」だそう。
毎日帰ったら倒れるように眠りについたのだとか。
慣れない環境の中でも、明るく前向きに実習に取り組む二人。
でも当然ながら、彼らの気持ちにかかる負担はこちらには計り知れないもの。
そのあたりも考慮しながら指導をしていく必要があるということを改めて感じたところでした。