実習生教育日記⑧
実習8週目(7/12〜16)、ユキちゃんとツバサ君は本社や他の店舗などの見学に行ってきました。
本社では、薬局製剤(薬局で作って販売する薬)の勉強として漢方薬や保湿剤を作って来ました!
実際にどんな感じだったのかは、一緒に居なかったのでわかりませんが、とても楽しかった様子。
作った薬を見せに、わざわざ終わった後店舗に来てくれました(笑)
楽しく実習できて良かったですね!
MRさんによる勉強会
MR(Medical Representative)は製薬会社の営業職です。営業さんなので、医師などに自社医薬品を売り込むのは勿論なのですが、医薬品情報の収集と伝達もその仕事の一つです。
さて我々薬局は基本的には全国どこの医療機関の処方箋もお薬をご用意することができます。店の看板などを見たことがある方も多いはず。
ただこれは、資格的には可能という意味で、一部取り扱いのできない薬もあれば、普段在庫していないため取り寄せに時間を要するものもあります。
もっというと、普段取り扱わない薬の中にはもちろん、我々の知らない薬というのも沢山あります。そういったお薬についても情報を集めて患者さんに適正に使用できるように勉強はしています。
情報収集は添付文書やインタビューフォームと呼ばれる薬の情報資料を用いるのが基本ですが、薬を作っている会社のMRさんから勉強会という形で伺うこともあるのです。
ということで今回新しい薬の処方箋持ち込みがあったのをきっかけに、勉強会を開催してもらいました。ツバサ君も呼んできての開催です。
今回の勉強会の対象は肺動脈性肺高血圧という疾患。実は私は学生実習の時に病院で習ったこともあり、基本的な部分には覚えもあったのですが、治療の進め方とか市場されている薬など質問を交えながら教えて頂きました。
ちなみにツバサ君は今のところMR志望。勉強会の後に、MRさんにお願いして仕事のことを聞かせてもらいました。
普段の就職説明会などではあまり伺うことができない仕事の裏側部分も経験を交えてお話頂けました。ツバサ君もとても満足そうでした。
実習の成果報告
実務実習では毎日どんなことをしたかを記録する日報を作成しています。
ユキちゃんやツバサ君が書いた日報を指導薬剤師が毎日チェックしてコメントを残しています。
それとは別に、実習の終わりには成果報告を行います。
学校によって異なるのかもしれませんが、ユキちゃんたちのところでは、病院・薬局の実習が終わった後、両方の実習を総括した内容の発表を学校で行うようです。
弊社でも実習生には最後に成果発表会を開催して発表してもらっています。
半分も過ぎて徐々に終わりが見えてきている今回の実習。ユキちゃんとツバサ君それぞれの発表内容について相談を受けました。
<ユキちゃんの気になること>
ユキちゃんは元々臨床現場に興味があり、薬局実習では在宅医療の現場を見たいと言っていました。
当店の薬局長は新卒から薬局に勤めて10年以上、在宅医療に携わった経験も多く、当店は弊社内では最も在宅医療に力を入れている薬局です。
そんな当店での実習で、在宅医療を受けている患者さんのお宅に何度も足を運んだユキちゃん。やはり印象に残ったのも在宅医療のようです。
足のむくみがひどいという患者さん。心臓や腎臓などの薬は飲んでおらず、そうした疾患背景もなさそう。飲んでいる血圧の薬の影響かもしれない、ということで薬の変更について先生に提案しました。
ベッドで寝たきりの患者さんにかゆみ止めが処方されている例もありました。傷になるほど搔きむしってしまうほどの状態。そのかゆみ止めが効かなかったら次にどうしようか?
そんなことを考えながら薬の効果を評価したりもしたようです。
また、そうした薬剤師の仕事にやりがいを感じただけでなく、薬剤師の仕事を通じて、薬剤師と患者さんとの信頼関係の構築や、医師・看護師・ケアマネージャーといった多職種との関わり合いについても気になったようです。
<ツバサ君の気になること>
ツバサ君は自身の目指すMRという職業を発端に薬剤師の仕事について気になったようです。
考えの発端は「MRの給料って高くね?」というところだそう。
それぞれの職業の給与平均などは検索すればわかりますし、就職サイトを見れば初任給も明示されています。
現在、実習と並行してインターンの活動も行っているツバサ君。こうしたデータも踏まえつつ、実習して薬局の仕事を肌で感じて仕事と給与の関係について気になったということのようです。
「MRになるなら、薬剤師としての知識をちゃんと活かして仕事したい」
そうツバサ君は言っていました。
MRは学部を問わずなることのできる医療関係者ですが、確かにそれぞれのバックグラウンドは活かして然るべき。
これまで勉強したこと、実習で体感したこと、それぞれの知識を自分のやりたい仕事にどうやって活かしていくか。それがツバサ君にとっての今後の課題なのかもしれません。
あとがき
途中で移動してしまったツバサ君は隣で様子を見れていないのでさておき、ここに毎週記録しているのを見返してみるとユキちゃんの成長は著しいものがあります。
しかし本人はあまり実感がない模様。そこで、最初の方がどんな感じだったのか伝えてみました。
最初に投薬を行ったのはこの記事。解熱剤の処方されていない患者さんから、症状が熱だと言われフリーズしてしまったユキちゃん。
「なんだか上手くいかなかったけど何が原因で上手く行かなかったかがわかりません(泣)」
と言っていました。一方先週のこの記事。
吸入指導を行うたび、少しずつ説明がクリアになっていきました。
ユキちゃん曰く、説明の仕方に問題を感じた部分と、説明すべき項目を書き出して、イメージトレーニングを行ったようです。
「全く何もわからなかった」ところから「課題を見つめてブラッシュアップを図ることができる」ようになるまでの変化と考えると進歩したな、と。
成果報告の話に戻りますが、多くの学生は実習で行ったこと、例えば携わった症例の説明とその感想に終始しがちです。
確かに、具体例を説明に持ってくるのは大事な要素ではありますが、これは実習で得られた成果の報告。
仕事においての成果、とはどういう問題をどのくらい解決したか、という話なわけですが、実習における成果、とは自分が得られたもの。
言い換えると、どのように成長したかを語ってもらいたいのです。
先日2人には、相談に乗った際にこのことをお伝えしてみました。
また少し悩んでしまっているように感じますが、2人の実習に対して考えた切り口は、それぞれの価値観が現れていてとても面白いです。
気になった部分と自分で感じる成長とを結び付けて語っていただけることを楽しみにしています。