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取材をする方ならおおよそボイスレコーダーを使っていると思います。むろん当方もしばしば用いますが、これまた多くの方同様、いまやスマホがレコーダー役です。専用機器たるICレコーダーに比べればマイクのスペックや応用機能に差があるのでしょうが、ハイレゾで音楽収録を狙うでもなし、機能面での不足はありません。フェールセーフとしてスマホとボイレコを2台回す人もおられますね。大昔、私が編集仕事を始めた頃はカセットテープ(コンパクトカセット)かマイクロカセットのレコーダーが定番でした。ソニー製が多かったと思いますが、精密感まとったその姿は、まずもってものとしての魅力に溢れていました。カセットテープは昨今リバイバル人気となっていますが、生テープの製造は途切れず続いており、その用途の多くは語学学習や楽器などの習い事、カラオケ練習などだそうです。ベテランのライターさんの中には、現在もカセットレコーダーを愛用している方がおられます。カセットリールの回転を目視でき、録音を実感できるからだとか。それに比べICレコーダーやスマホは、たとえ画面上でデジタルカウンターが進んでいても録音を確信するに至らないのでしょう。でもここで気づきます。同じことだと。そうなのです。カセットテープが回っていようと、デジタルカウンターが進んでいようと、録音の確約にはならないのです。すべてが終わり、再生してみないと合否判定は出ないのです。道具を疑うなら使わなければいいのですが、そういうわけにもいきません。使います。結果的に裏切られたことはありません。でも今回はもしかしたら、と私はいつも思います。実は録音されていなかった経験があります。著名なギタリストのインタビューでした。メモを頼りにそれらしく仕上げ、記事づくりとしては事なきを得ました。原因は私の操作ミスでした。道具よりよっぽど、人の方がミスをします。人はミスをするから、それを防ぐべく道具の改良が繰り返されます。使い勝手にあれこれ言う前に自分のうっかりをなくすこと。それができれば冷や汗をかくこともなくなります。これはカセットレコーダーだろうと、ICレコーダーだろうと、スマホアプリだろうと、同じことなのです。

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