「社会貢献×健康増進」の新しい広がり
新型コロナウイルス感染症が流行拡大してから3年目に突入しましたが、街を歩くと以前の日常を取り戻したかのように感じます。この2年、TFT参加企業さんとのやりとりもオンラインがメインでしたが、直接訪問させていただく機会も少しずつ増え、その際に垣間見えるオフィスや社員食堂の風景もやはり以前の日常に戻ってきているように感じます。
しかし、マスクの着用や手洗い・消毒の習慣はすっかり染みついていて、心のどこかにバリアがあるような、ないような。
Youtubeなどで昔のライブ映像や花火大会などを見ると、思わず「うわっ、密・・」と思ってしまう自分もいます。
TFTでは、コロナ禍でリモート勤務の体制が完全に整い、地方から働く職員もいるので、今も在宅勤務が主体です。
働く上でのコミュニケーションに不足を感じることはありませんが、企業訪問をさせていただく際に社員同士が対面で笑い合いながら働く様子を見ると少し羨ましく感じます。同僚とお昼を一緒に食べる時間など、楽しみの一つだったなぁ・・と。
この記事では、働き方や生活習慣が変わる中で新しく生まれている「社会貢献×健康増進」の取り組みについてご紹介します。
新しい働き方で、浮かび上がる健康課題
在宅勤務のメリットはもちろん多くありますが、日々の課題として感じるのは、主に「食事面」と「健康面」です。
食事面では、如何にランチタイムを豊かにするか自分自身に委ねられます。
健康面では、通勤がなくなると、やはり歩行量の減少が顕著です。また、対面でのコミュニケーションの減少により雑談などの機会も限られるので、心の健康面においても「あれ、なんか疲れているかな?」と自分自身で精神的な不調を把握し対処する必要があると感じています。
コロナ流行直後の2020年にTFTが実施したアンケートでも、同様の声が集まりました。
多くの方が、食生活の変化・運動量の変化を自覚する中、体調管理のため健康的な食事や行動を取りたいと思いながらも、限られた休憩時間の中で、昼食の準備に時間を割いたり、運動の時間を確保することが難しいという声が挙がりました。
一方で、TFT参加企業の担当者さんとお話する中では、個人としての観点とは別に、企業としての観点においても、課題があることがわかりました。
社会貢献を推進する部署の担当者さんからは「対面式でのボランティア活動は休止を余儀なくされている」「オンラインで実施できる社会貢献活動などの代替策を模索している」という声が、社員の健康増進を推進する部署の担当者さんからは「リモートワークの定着によって、社員の健康状況が把握しづらくなった」「運動不足による心や身体の不調について、社内で話題にのぼることが多くなっている」という声が届きました。
そうした課題を解消するべく、TABLE FOR TWOでは「社会貢献×健康増進」を掛け合わせた取り組みを昨年から推進しています。
歩数に応じて寄付になる社内ウォーキングイベントや、社員同士で褒め合ったり感謝の気持ちを伝え合うと寄付につながる褒め活など、企業・団体が主体になって取り組む、社員の健康づくりと寄付を合わせた取り組みです。
体の健康面の課題を解消!寄付つきウォーキングイベント
寄付つきウォーキングイベントについては、「8,000歩達成ごとに会社が給食1食分を寄付」など目標歩数や歩数に応じて届けられる寄付食数は各社によってまちまちですが、参加者からはポジティブな声がたくさん届きました。
企業担当者からの声もご紹介します。
「誰かのために」がモチベーションに
社会貢献部・人事部・健康保険組合などそれぞれの狙いが掛け合わさり、「社内ウォーキングイベント参加人数の増加」「従業員の平均歩行量の増加」「従業員の社会貢献参画機会の向上」「コミュニケーション活性化」の相乗効果が生まれています。
このように、社会貢献を入り口に「誰かのために」がモチベーションとなり、継続(=従業員の運動習慣定着)に繋がる本取り組みについて、以下のとおり、ナッジ(※)の意思決定フレームワークで表すことができます。
(※)ナッジは英語で「そっと肘でつつく」行為を指し、人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする手法です。
TABLE FOR TWOでは、各社における健康増進×社会貢献の取り組みの広がりを受けて、今年4月から6月に「FOR TWO WALKING 2022 ―健康NO.1はどの企業?―」を初開催しました。運動習慣をつけながらアフリカやアジアの子どもたちに学校給食を届ける企画で、4月1日~6月30日の期間に1週間以上、社内で「寄付つきウォーキングイベント」を実施した企業の中から、「社員の参加率」「参加社員の平均歩数」「届ける給食数」の3つにおいて、NO.1を決定しました。
心の健康面の課題を解消!「褒め活」
心の健康面においても、社員同士で感謝・称賛の気持ちを贈り合う件数ごとに、会社が学校給食1食分の寄付をするユニークな取り組みが広がっています。
贈り合う方法は、手書きのサンクスカードだったりWEB上だったり、アナログとデジタルと各社によってまちまちですが、特にリモートワークだとつい業務上の要件のみのコミュニケーションになりがちなので、とても面白い取り組みだなぁと感じます。
この取り組みは、コロナ禍以前より、社員食堂をもたない企業の社長さんが発案したアイデアから生まれました。
「褒められて嬉しい」だけでなく「褒められるポイントがわかり、業務上の学びとなる」など、働く上でモチベーションの向上にもなり、実際に離職率の低下にもつながっているそうです。
さらに、アフリカ・アジアの子どもたちの給食支援にもつながるなんて素敵ですよね。
ポジティブな気持ちを言葉で表現することは、とても重要なコミュニケーション手法のひとつだと感じます。
「お世辞」ではなく、(自分でも気づかないようなポイントを)「心から褒められる」と、「こんなところも見てくれていたんだ」「認めてもらえたんだ」と嬉しい気持ちになり、大きなモチベーションになります。
人との距離が生まれがちな昨今だからこそ、私自身もそんな言葉を相手に投げかけられるよう意識して「褒める」コミュニケーションを取っていきたいな、と改めて思いました。
健康づくりをしながら、社会貢献も
働き方が変わり、今まで以上に個人で健康をコントロールする必要性が高まってきています。
そのような中、「体のために良い」とわかっていても、健康に良い習慣を続けることの難しさもあります。
「誰かのために」がモチベーションとなり、チームメンバーと取り組むことでコミュニケーション活性化にもつながり、さらにその先に社会貢献にもつながっている、そんな機会を社員に提供している企業さんのことを一個人として羨ましく感じることもあります。
企業規模や寄付予算に関わらず、取り入れやすい工夫もしていますので、興味を持ってくださる方がいましたら、ぜひお問い合わせください。
肥満の解消や生活習慣病の予防は、飢餓の解消とともにTABLE FOR TWOの活動の両輪の一つです。
今後も引き続き、 社会貢献と連動して社員の健康増進に取り組む企業様の事例などを発信していきたいと思います。
(文責:小此木利沙)