密教とは何か？自己と世界の変え方を知る
※普段食べ物のことばっかり書いているやつがいきなり密教について語りだしたら、いきなりどうしたお前、となりそうなので興味を持った経緯について軽く触れておきます。ならない方は目次までスクロール☟
12月のはじめに高野山へ行った。
すごい軽い気持ちだった。なんとなく行ってみたいな〜、くらいの軽さ。
でも奥之院までの参道を歩いている時、初めて歴史が今につながっていることを実感して身震いした。武田信玄や徳川家のお墓のそばに、松下幸之助や司馬遼太郎など聞き馴染みのある著名人のお墓が並ぶ。この国で生きた人たちが、時空を超えて名前を連ねている。歴史ははるか昔の物語ではなく今と同じ直線上にある過去なんだと知った。
高野山に行く電車の中で、友人と一緒に高野山の成り立ちや概要などをおさらいした。本当に表面上の、ごくごく表層のことだけをさらっと。事前学習するほどのモチベーションはなく、でも少しは知識があった方が面白いよね、とYouTubeを観たりホームページを読んだりした。
なるほど、高野山は空海が開いた真言密教の聖地で、数百の寺院と大学からなる宗教都市なのか。
…じゃあそもそも空海ってどんなひと？真言密教ってなに？
という当然湧き出てくる大事な疑問には蓋をした。こんなうっすい勉強の仕方でわかるはずないと思ったから。そんなふわふわした頭でふわふわと歩いていたら、参道でガツンと一発食らったのだった。
高野山から帰ってきてから、何かと「空海」というワードが頭の端っこでうろちょろしていた。しかし時は師走。空海に構っている暇はない。
年末を迎え、時間ができたので久しぶりにCOTENラジオでも聴こうかなとアプリを開くと、真っ先に飛び込んできたのは『最澄と空海』だった。どうやら数ヶ月前に途中まで聞いていたらしい。すっかり忘れてしまっていたので最初から聞き直すことにした。
全話聞いてみた率直な感想としては、やっぱりCOTENラジオしか勝たん。深井さんの真言密教の説明が、衝撃的に分かりやすかった。最澄と空海のキャラクターや、二人が織り成す人間ドラマも面白かったけど、一番なるほどと思ったのは密教の説明だったので、頭を整理するために書き残しておく。
密教とは何か
曰く、「密教」とは無意識層である末那識と阿頼耶識に到達して悟りを開こうぜ、というもの。つまり唯識の流れを受けて生まれたものらしい。
そもそも唯識とは、「自分も世界も全ては認識によって成り立っており、認識にアプローチすれば自分も世界も変えることができる」という考え方のこと。
だけど無意識の部分を書き換えることはとても難しいので、そこには特殊な技術が必要。その特殊な技術をもっているのが密教であると。
１ 即身成仏
密教の特徴の一つに、「即身成仏」がる。大乗仏教は、成仏するまでに輪廻転生を繰り返す必要があるからかなりの時間を要すると説くのに対し、密教は自らの無意識下をハックすることによって速攻で成仏できる（悟る）と説いている。
つまり、大乗仏教ではいろんな修行をやってちょっとずつ成仏していくけど、密教はすごい優秀な修行体系をもっていて、その修行体系を実践することで自分の無意識層である末那識、阿頼耶識をハックすることができる。ハックすることで速攻成仏することができる。
２ シンボリズム
さらに、密教はシンボリズムの特徴がある。宇宙の真理というのは人間が使っている言葉で完全に表現することは難しく、その諸要素、諸概念をシンボル化し、そのシンボルを自分にインストールすることで悟りに対して早くアプローチすることができるという。例えば一つの言葉、道具、マークなどをシンボライズすることで、それを見れば一瞬でその概念を想起できるようになるので悟りのスピードが爆上がりすると。ただ、このシンボルが何を包括しているのか、宇宙の真理の何を意味するのかは修行によって習得していくらしい。
３ ゴールは大日如来
密教の最高仏である大日如来は、宇宙という概念を擬人化したもの。つまり、大日如来は宇宙そのもの、宇宙の真理そのものを表している。でも唯識では自分の認識から全て発展していくから、宇宙そのもの＝自分。だから大日如来と一体化することが一つのゴールであるらしい。
よく色んな人が「人生は思った通りに行かないことの方が多い」と言うが、本当に悟ったひとは宇宙の真理と一体になっているから、むしろ思い通り、思った通りに全てが具象化するんだろう。
４ ソフトウェアのインストール
密教の儀式をするときの流れをパソコンに例えたのが面白くて、
①払清める（OSのクリーンインストール）
②結界をはる（ファイアーウォール）
③不動明王を置く（ウイルスバスター）
④印を結ぶ（プログラムのインストール）
インストールしたら病気を治したり、災害を防いだりして機能させ、終わったらアンインストールすると。このプログラムをいつでもインストールする方法を体得する修行として三密加持があるらしい。
５ 十住心と五次元思考
空海が作った発達段階の表がこちら。
この一番下の、最高の状態っていうのが宇宙の真理と一体化している状態。空海は、自分の深層意識である末那識と阿頼耶識を書き換える特殊な方法をもっている真言密教を使わない限り、そこに生きている間にその地点に到達することはできないと言っている。
というのが密教の説明だった。
めちゃくちゃ分かりやすい。便秘から解放されたみたいにすっきりした。そして個人的に、２年前に苦しみながら読んだ『唯識の思想』が急に輝き出して嬉しかった。
いきなり唯識を読み出したわけではなくて、浪人時代に「この世界は認識からできている」という概念に出会ってこの世はマトリックスであると知り、３年前にコアスクールを受けて末那識を書き換える行を学び、2年前に『唯識の思想』に出会った。このとき初めて、小学生時代心の拠り所にしていた輪廻転生の概念も、中高時代にハマっていたいわゆる「引き寄せの法則」も、浪人時代に出会った「認識革命」も、すべて唯識論から説明できることを知った。
世の中に色んな精神世界の本があるけど、結局言ってることは全部一緒で、全部正しい。宇宙の真理をどの側面から話しているかが違うだけだと思う。そして唯識は三蔵法師の時代にすでに成立していたんだから、昔の人すごって思った。頭良すぎじゃない？
それはさておき、ずっとよくわかっていなかった最澄、空海、大乗仏教、密教について理解を深められたのでとても満足度の高い年末年始だった。もう一度高野山行きたいな〜。
こんな内容を最後まで読んでくれた人、多分あなたも哲学オタクね。友達になりましょう。
ありがとうございました。