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前川建築。木村産業研究所

(旧木村産業研究所)     1932年(昭和7年)竣工

長いこと弘前に住んでいるのに、前川建築のことを全く知らずにいたんですよね。市民会館は子供の頃でもなんとなくかっこいいなぁとは思っていたけれど、誰も建築家が誰かなんて教えてくれないし。まぁ他所を知らないし、比べようがないから市民会館っていうのはどこもこんなものかと思っていた。

弘前公園の桜と一緒。春になると日本全国みんなこのくらいの規模の(ディズニーランドと同じ広さを持つ公園の中に2,600本の桜、どこまでいっても続く)桜を見て、桜の木の下で観桜会やるのよね、という感じ。

そう思うと弘前の人はたいそう贅沢なんじゃないかと思いますよね。地元の人はそれを贅沢と知らずに育っているけれど。UターンやIターンした人はみんな少なからず感じていること。

そんな桜よりもまた一層レアなのが前川建築。
特にル・コルビュジエのアトリエで学び、フランスから帰ってきての第一作目である旧木村産業研究所は、今でも一度も見たことがないという人が多い作品で、在府町の住宅地に忽然と現れる建物。大通りからも外れているし、たまたま前を通るってことがない場所なので結果、見る機会はやはりないのです。

旧木村産業研究所(現こぎん研究所)

昭和7年の竣工当初は黒塀の武家屋敷跡の建物が並ぶ中にこの真っ白なモダニズム建築が浮かんでいだそうで、その黒と白のコントラストの美しい情景を見てみたかった。

正面玄関の上に設けられたバルコニーも、えもいわれぬ美しさ。実際のところバルコニーは雪国にはツラい設備だったようで(凍害のため)、一時取り外されたものの今は復活を遂げています。当時は屋上まで外階段が伸び、上がると屋上から岩木山が臨めるようになっていたそう。周囲に高い建物がなかったことを考えるとどれだけのびのびとした風景だったことか。

仲邑さんによる模型

前川さんは木村産業研究所のイメージを「小高い丘の上にあって南へゆるい斜面が広がり、そこに綿羊がいて、西の方に岩木山が見える。真っ白い四角い建物は水平線のスカイライン。丸柱のピロティーが南に抜けて、水平な連続窓、社長室には円いアルコーブ、窓枠はフレンチブルーで。会議室は自由な平面の上を家具で仕切られる。大会議室から屋根の上のテラスでバーベキューができたり、寝室や居間から出てお茶をしたり、幸福な生活があるように」と話していたそうです。(Ahaus2005/1月号より)

円いアルコーブのある社長室

そんな前川さんのもとで働き、35年に亘って弘前の前川建築を担当してこられた仲邑さんが、前川事務所での前川さんのお話ややり取りなどのエピソードを交えつつ、説明してくださる前川國男建築ツアー。仲邑さんは東京からこのツアーのために来てくださるんですよー。なんて贅沢!
建築好きの方、弘前に住んでいながら前川建築を知らずにいた、という方もぜひ。ご参加ください。

仲邑さんと巡る前川建築ツアー4/30(日)14:00-17:15
行程 弘前市観光館集合→弘前市役所→弘前市民会館→弘前市立博物館→緑の相談所→弘前中央高校講堂(外観のみ)→木村産業研究所→弘前市斎場→弘前市観光館解散
参加費 5,500円(途中タクシー移動有り)
定員  14名
問合せ、申込 旅する弘前(前田)
                    maedaita@gmail.com
                    080-1680-9387

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