リジェネラティブリーダーシップ
3年間の翻訳期間を経て、今年中には日本語訳が発売されます。
4年前に英語でのABD読書会に参加した後に、内容を簡単にまとめた文をこちらに再掲します。
はじめに
REGENERATIVE LEADERSHIP
命を大切にする21世紀の組織のDNA
GILES HUTCHINS & LAURA STORM
この本を書いた理由:
どうやって子供たちに生態系が繁栄する地球を伝えよう。それにはリジェネラティブなリーダーシップが必要だ。
パート1
第1章 現在の危機の根本を遡って見つける
10万年前に人がアフリカで誕生し1万年前にはアジアやヨーロッパにも移り住んでいた。この頃は大きな攻撃性や階級による分断がなく、モノづくりやダンス、共同生活への時間が充分あった。
全ては大きな全体の一部であると考えられていた。人間の目的は生き延びるだけでなく自然の中で生来のリズムの守り人であること、地球の守り人であると考えられた。
1万年前に気温が下がって作物が育たなくなり、気候変動に対応しようとする力が強くなった。不平等や社会の分断が起こり、武器、通貨、文字や土地への権利が出現するきっかけとなった。
500年前に起きた氷河期のような気候変動では作物が育たなくなり、餓死や病気が流行して人々は自然の力に対してますます用心深くなった。
中世にはキリスト教の教義が広まり、自然の智慧を知っている女性は魔女とされた。1485年に魔女狩りが始まり300年間続いた。
【人と自然】 【女性性と男性性】 【内界と外界】 【右脳と左脳】
1万年前:繋がっている
500年前:分断が始まる
現在:分断している
Regenerationの時:再度繋がる
第2章 崩壊か突破か
現状はどうなっているのか。
仕事上で複雑な問題が起きている。
・気候変動、資源不足、生態系サイクルの破壊
・生物多様性の急激な現象と主の絶滅
・破壊的な革新
・デジタル化と間の繋がりの無さ
・気まぐれな市場
・購買パターンがすぐに変わること
・ストレスが多く、うつや燃え付き症候群
・雇用契約のレベルの低さ
・人材戦争
・ソーシャルメディアにより透明性が増し、倫理的考慮が変化する
・変化する政治的規則
・働き方への様々な要望
全体を機械であるかのように見る古い論理で物事を動かそうとしている。これからは、革新的で素早く、しっかりと目的を持った弾力のある組織の能力により動かされるようになるだろう。
仕事の世界観にひびが入っている。
外界と資源の真の価値とが繋がっていない。
間違って創られた必要性や欲望が、人々の幸せを減らしている。
気候変動が起こっている。
生産・政治・経済⇔心・身体・精神⇔生態系、それぞれがお互いにストレスを与え合っている。
第3章 新しいリーダーシップ時代の夜明け
新しい組織は、単純な機械的論理から、複雑に関係している生態系論理に変化する。
地球上の課題は、毛虫が蝶になるように変態する。変態の時には古い組織が崩壊する時期がある。
分断された時代から再結合の時代へ、変化は螺旋状に進む。
現在のオレンジレベルの意識では、いい生活を目指し勝つことを目指す。
機械のような組織である。
オレンジリーダーシップは、底辺に影響を与える持続可能性や倫理には目を向けない。
オレンジから意識改革によりグリーンレベルに進む。
グリーンの組織は家族の組織に例えられる。このレベルは対話、平等、調和、他者や環境への思いやりを価値観の中心とする。
グリーンの次の段階へは大きな変革で、第1段階から第2段階への変化と言える。オレンジやグリーンと異なり第2段階は、組織が相互に関係している全てのシステム関係に気づく事を基本としている。組織は生きていて、学び、適応していくシステムと感じられる。
☆古い論理:第1段階のリーダーシップ
機械的、直線的、原因と結果、自我/左脳/男性的/外面重視
☆リジェネラティブな論理:第2段階のリーダーシップ
内面に繋がっている
1.システム思考
左脳―右脳の統合、関係認識、決めつけない思考
2.全体的認識
内面―外面、男性性―女性性、身体の声を聴く、決めつけない心
3.生態系認識
人間―自然、いのちを全体として捉える、決めつけない意志
パート2
第4章 リジェネラティブな論理に基づく新しいリーダーシップ
自然の智慧に学ぶというのは何を意味しているか
リジェネラティブリーダーシップのDNAとは何か。
いのちの論理は3つの部分からなっている。
【生命システムのデザイン】
1.廃棄物=食べ物
2.すばらしい形
3.循環できる素材
4.生命的デザイン
5.生態的デザイン思考
【生命システムの文化】
1.生き残る&栄える
2.任務&活動
3.開発的&ていねいな
4.多様性&包括
5.自己組織的&場所との調和
6.生態的変容&対話
【生命システムの在り方】
1.今を生きる
2.一貫性
3.忍耐
4.豊富
5.沈黙
6.ダンス
リジェネラティブな論理の7つの原理
1.いのちを肯定する
いのちはいのちへ伝える状態を創造している。
2.絶えず変化があり、それに反応する
変化はいのちの中にあるもの
3.つながりと相互接続
いのちは関係性を通して繁栄する
4.相乗的で多様
多様性は新しいいのちを産み出す
5.循環と季節のリズム
春の芽吹き→夏の熟した成長→秋の収穫→冬の振り返り→また始める
6.エネルギーと物質の流れ
生態系の流れには生物学的、心理学的、社会経済学的、生態学的段階がある。
7.いのちの場所
いのちは全てつながっている。
第5章 リジェネラティブ リーダーシップの中の2つの原動力
ビジョンは自分の心の中が見えた時のみはっきりしてくる。外面を見ている人は夢見ている。内面を見ている人は目覚めている。
リジェネラティブ リーダーシップの中の2つの原動力
【いのちの原動力】
いのちの原動力は、発散と収束のリズムでいのちを出現させる。
発散:開放する、探究する、経験する、繋げる
歴史的に多様性と雑多で改革が起きた例がある。シルクロードは単なる文化交流ではなく、遠くの文化、宗教、手仕事の考え方やものの見方が交わり、ヨーロッパの画家、デザイナー、芸術家、建築家、工芸家、音楽家にひらめきを与えた。
収束:一緒に行く、固める、まとまる
並べて結合する力である収束は、心からの価値と目的から創られるものであり、怖れに基づく力やコントロールによるのではないということが重要である。
出現:発散と収束から生まれるもの
出現はいのちの表現そのものだ。
はっきりした価値観、深い目的意識、毎日の習慣が導き出す基本法則により一貫性がもたらされる。産み出すリーダーは心を開くこと、探究、関係者の対話、新しい考えや解決法を導く考え、創造的な従業員を可能にする。
【リーダーシップの原動力】
自己認識と全身の気づきが変化してREGENERATIVE リーダーシップの意識が創られる。
第6章 生命システムのデザイン
自然を充分注意深く観ると、自然の智慧は、あらゆる変革、あらゆる挑戦を行っていることに気づく。
1.廃棄物は食料
揺りかごから揺りかごまで食物連鎖、環境連鎖が行なわれている。
2.自然はすばらしいデザイナー
自然の中には長年かけて保証済みの立体的や平面的な形、構造が見られる。
3.もう一度いのちとなる材料
自然は無毒の接着剤、汚れをはじく構造、菌の侵入を防ぐ表面、自然治癒力を持つ特質、丈夫で軽い材料を創りあげている。
4.生物親和性のデザイン
生物親和性デザインは、私たちの周りや内部にある自然に繫がることを助けるような建物のデザイン、都市計画、建築物がストレスを和らげ、創造性を高め、より良い在り方に向上させるという考え方に基づいている。
5.生態系的デザイン思考
生命力や人生を肯定する潜在能力を自分を取り巻く環境の中で高める。
第7章 生命システムの文化
1.生き残る&栄える
逆境に強いビジネスは健康な財政上の結果をもたらす。
2.任務&活動
組織はより大きなものに貢献すべき。
実践としての目的、道としての目的、内的コンパスとしての目的、この3つが重なり目的の力となる。
3.開発的&ていねいな
自分や他の人のために学び成長し、尊敬できる方法で発展できる余白を持つ。
4.多様性&包括
価値の多い文化の一部として多様な背景や視野を大切にする。
5.自己組織的&部分的調和
自己組織化の原理を通じ柔軟さと機敏さを発揮する。
6.生態系の舵取りと変容
組織が働くシステム全体を理解し注意深く気にかける。
第8章 生命システムの在り方
1.今ここにいる
私たちは在り方を通して自分のいる世界を常に創っている。行動は、想像するよりずっと広くさざ波のように影響を広げる。世界は、いのちとの深い関係に価値を与え実践する、地に足のついた、今ここにいる、賢いリーダーを必要としている。リーダーがいることで、他の人も同じことが出来るようになる。
2.一貫性
本当の自分自身と繋がり自分自身の内部の導きに従おう。
3.ゆったりと
毎日やる事でいっぱいになっている。もっとゆったりとした、力を与えられる、創造性のある職場環境では、大急ぎで作られたものではなく、質のいい結果がもたらされる。
4.沈黙
沈黙の中では、自分の中にもっている悪魔や影を統合出来る。そうすることで心やペルソナの、隠され見過ごされた部分にエネルギーを浪費する事を減らせる。
5.豊富
人生の豊かな可能性に気づかせ、好奇心が強く、創造性のある、思いやりのある人にする考え方の枠組みである。
6.ダンス
人生のリズムを上手に使おう。陽気さ、変化、四季と共にあること、深さ、出現。
パート3
第9章 進んで行こう
この目まぐるしい時代の中に産み出すリーダーシップを当てはめるには、どのように進めたらいいでしょう。
1.大量生産できるレシピは無い。
決まったやり方は存在しない。
2.ローマは1日にしてならず。
自分と自分のチームと一緒にたゆまず働こう。頑固にならずに人生の旅を楽しもう。
決まった行先は無いので、やる気にさせる目印を見つけ、3カ月ごとに見直そう。
【生命システムのデザイン】
1.廃棄物=食べ物
a. 揺りかごから揺りかごまで:自分の組織が生態系の原理を受け入れているか。リサイクル、リユース、分解できるデザイン。
b. ライフサイクル診断:製品やサービスの、社会や環境の中でのライフサイクルを追ってみる。
c. 総合的にプラスになる戦略:製品、サービス、手段に関して中立よりも、総合的にプラスになるよう計画する。
2.もう一度いのちとなる材料
a. 再生可能な材料を用いたデザインにする:毒性が無く、生物分解性の材料で製品を作る。
b. 組織が気づく:再生可能な価値観に基づき消費行動する。
c. 商品調達:仕事場の掃除用具、印刷用紙、社員食堂の食器や制服なども再生可能な製品とする。
3.すばらしい形
a. 生物模倣:自然から学んだ物やサービス方法を積極的に用いる。
b. 自然から智慧を得る:ワークショップやブレインストーミングに自然の智慧を活かす。
c. 自然を良き師とする:製品を作る過程、考えや構造、型を統合する時、自然から学んだ持続可能なデザインを取り入れる習慣を持つ。
4.生物親和性デザイン
a. 直接的、間接的に自然に近づく:職場や工場などの建物の環境と自然との繋がりを増やす。自然の中での会議や職場で植物を育てたりという直接的なものばかりでなく、窓から自然を眺めたり壁に自然が描かれた絵を飾る、自然音を流すなどの間接的なものなど。
b. 自然に触発されたインテリアデザイン:自然光、自然な空気、自然の材料、色、模様を仕事環境に多く取り入れる。
c. 生物親和性に気づく:生物親和性原理が製品やサービスに及ぼす心理的生理的効果に、事業計画立案者やデザイナーが気づく。
5.生態系的デザイン思考
a. 生態系デザインの影響力に気づく:製品やサービスをデザインする時、より大きな生態系をいつも意識することを組織文化に根付かせる。デザインは実用性より効果的。
b. 生きているパートナーシップ:原材料から製品輸送、アフターサービスを通じて生態系への取り組みに挑戦するパートナーシップを積極的に探す。
c. 生態学的展望を組織的に統合する:デザイナーやリーダーは、製品デザインやサービスに影響するステークホルダーの可能性を活用したり、生態学的見方を得るために定期的に立ち止まって考える。
【生命システムの文化】
1.生き残る&栄える
a. 収益性:組織が健康的な損益計算書と財務結果予測を持っていて、文化や価値計画への投資が可能である。
b. 投資家/株主の優先順位:持続可能性や成長可能性に興味を持つ長期的な投資家や株主を、組織が引き込もうとしている。(投資家や株主がいない場合には、組織が主に短期的な稼ぎを目指しているか長期的な成功を優先しているか)
c. 未来の成功を目指す:持続可能な倫理的資源利用や労働条件への厳しい決まり、より高い原料価格を意識している顧客に向けて、既にギアを入れている。
2.任務&活動
a. 目的重視の組織:金銭上の成功より大きな目的により動いている。
b. いのちのある価値:組織の任務が、情熱的ないのちの価値に支えられている。
c. 意識ある従業員:多くの従業員が情熱を持って任務に当たり、より大きく活動しようとしている。
3.開発的&敬意ある
a. 寛容と共有:学びを共有する、お互いに学びと成長を助ける事を推奨する組織である。
b. 熱心に発展している:多面的評価、対等な学び、コーチングのような発展が行われ、年毎でなく定期的に見直されている。
c. 一体になっている文化:仮面をつけたり、その場に相応しい役を演じるのではなく、仕事している時も自分自身でいられる。
4.多様性&包括
a. 多様性が優先される:組織で多様性が重要視されると、新採用やリーダーシップ、パートナーなど他の関係にも影響を与える。
b. 違いを歓待する:持っている技、才能、背景、ものの見方、文化、国籍、年齢性別の違いを尊重し歓待する組織である。
c. 組み入れる事に力を入れている:仲間外れや見えない障壁が無く、皆がどこでも受け入れられる組織である。
5.自己組織的&部分的調和
a. 分散型リーダーシップ:全ての層で、一番上の層の承認を得ずに相応しい決定を行える組織である。
b. 自己組織的なチーム:雇用された人が決まったチームに固定されるのではなく、職能上の枠を超え、ヒエラルキーが無いチームで働くことが出来る。
c. 組織全体の関わり:組織の中の人は常に大切な決定事項に携わっている。少人数で作りヒエラルキーを通じてトップダウンで広まることはまれである。
6.生態的変容&対話
a. 決定事項の作られ方の生態学的考察:仕事とステークホルダー全ての生態系が、ワークショップ、お互いの会社の主導権を通じて繋がっている組織である。
b. より広い生態系からの知見を用いる:組織の外を含むステークホルダーとのワークショップにより、将来の可能性を探索する組織である。
c. ステークホルダーとのパートナーシップと対話:経済的、社会的、環境的利益を超えたパートナーシップを多く持っている組織で、それぞれの部分が良くなっている事をお互いに伝えあっている。
【生命システムの在り方】
1.今を生きる
仕事の合間に散歩などのリフレッシュ、休む、瞑想するなどの時間を取る文化がある。
2.一貫性
私たちの行動、習慣、決定は自分の在り方による。自分自身を感じる時間をとれる環境である。
3.忍耐
行動するか待つかの感覚を大切にする、忍耐力を高める組織である。
4.沈黙
ミーティングの最初と最後に静かな部屋で沈黙する時間がある。
5.豊富
一方の利益が他方の損失となるのではなく、関わる皆にとっていいシナリオを大切にする。
6.ダンス
市場の盛衰や流れは全て自然のリズムであると、わかっている。
第10章 FAQ
質問1:機械的な多国籍企業でも変容が起こるでしょうか。
答え:
困惑はごもっともです。登れない山のように思えるでしょう。
この旅が自分の中と外に起こすいい事を探しましょう。新しい変化、仕事の機敏性、ストレス耐性、文化が生まれる事、創造性や意欲が高まること、発展への効率と効果、ステークホルダーの間での評判が良くなることなど。
チームや中間管理者とRegenerative Businessについて話し合う事も出来ます。この本に興味を持って読み組織の未来を話し合う人が見つかります。
質問2:どんな変化を起こすにも疲れ切っています。
答え:
あなたは孤独ではない。組織の多くの人が疲れ切っていますが、潮目が変わり転換点が来ている事をわかってください。
毎日をあるがままに。自分の1日の中で個人的なRegenerative演習をしましょう。ランチの後1時間ほど近くの公園で座ってゆっくりと深く呼吸しましょう。
個人的な生態系地図演習のどこで自分のエネルギーが得られるかがわかります。全て自分のコントロールの中での事です。少しバーンアウトしていると思われます。自分が強くなる事に集中しましょう。雑音、電話、ソーシャルメディア、やるべき事のリスト、ストレスから離れ自分自身になる時間を持ちましょう。
急がず荷を積み過ぎず、ゆっくりする事がいいでしょう。
質問3:古い、融通が利かない、会社の中で固まっています。
会社からのいい給料、いい経歴、名声に囚われています。家族を養っています。個人的と組織的な生態系地図演習から、バランスが悪い事がはっきりしています。何をしたらいいでしょう。
1.企業内事業家になりましょう。変化を起こしたいと思っている仲間を組織内に見つけましょう。DNA診断の輪を使い、必要なところから始めましょう。
2.組織を離れ、より自分らしくいられる仕事を見つけましょう。
質問4:何から始めるのが一番いいでしょう。
自分たちの組織はRegenerative Businessとリーダーシップに向かっています。何から始めたらいいでしょう。
答え:
まず、重要な内部のステークホルダーに知らせる事から始めましょう。次に重要なステークホルダーに焦点を当てて内部のワークショップを開きましょう。
一度に全部は出来ないため、初めにどこにエネルギーを注ぐかを決めましょう。
質問5:変化への抵抗
答え:
変化への抵抗は自然な事です。変化は気持ち良くはないが成長と発展をもたらします。
質問6:全ての産業への妥当性
答え:
どんな組織でもいのちを肯定する生態系へ変わっていくことが出来ます。
質問7:ヒエラルキーとRegenerative リーダーシップ
私の組織はヒエラルキーによるトップダウンです。ヒエラルキーを根絶する必要はありますか?
答え:
ヒエラルキー全てが悪いものではありません。力、コントロール、怖れ、力学的なマネジメントに基づくヒエラルキーが問題となります。
質問8:フィードバック
フィードバックは本当に必要ですか。ストレスを感じます。
答え:
信頼性と尊重を伴ったフィードバックを与える事や受ける事でいい気持ちになる人は多くいます。フィードバック文化を創ることは「コーチング文化」を耕し、難しい会話が必要になった時にもお互いがコーチとして支えられているように感じられます。
質問9:Regenerativeリーダーへの戦略
答え:
力学的マネジメントでは直線的なタイムラインでの3年計画を立てることが多いです。Regenerative戦略は、仕事の内外、常に変化しているいのちの本質と相互に関係のある全てのステークホルダーを考慮します。
質問10:Regenerative BusinessにおけるKPIと3カ月ごとの目標
答え:
近年は全てのステークホルダーと生涯展望を考えた「相対的なKPI」、「あらゆるバランスの点数表」が広まっています。
質問11:競争することは全て悪い事ですか?
答え:
競争は生活の一部です。体系的な背景があるなら競争は健康的で人生を肯定します。もし組織の文化が情け容赦ない開発、他者をコントロールするようなもの弱らせるようなものであれば、このような私利私欲にかられた競争は創造性、協調や組織の元気を抑えてしまいます。健康的な競争は創造性を刺激し、個人的な、また共有している可能性を良くすること発見することを助けるものです。
第11章 REGENERATIVE LEADERの道具箱
【個人としての道具箱】
1.ジャーナリング(自分の素直な感情を書くこと)
寝る前の5分間にその日1日を振り返ってみましょう。
自分の感情の動きや反応を振り返りましょう。自分を困らせるのは自分です。
成長した事、与えた事を振り返りましょう。毎日は成長する事、与える事を学ぶ機会です。
2.沈黙の時間
1)週に1日はマルチメディア無しで過ごしてみましょう。
2)毎日10分、電話の電源を切って自然の中で過ごしましょう。
3)やるべき事ではなく自分らしく「考える時間」を大切にしましょう。
4)30分の昼寝の時間や瞑想を行う事で、他の人もリフレッシュする習慣を持つようになるでしょう。
3.深く聴く
1)自分自身の内側の声を深く聴きましょう。
2)一対一の会話で相手の声を深く聴きましょう。
3)いろいろなグループの中で深く聴きましょう。
4.心に寄り添う
心から呼吸する
1)意識して呼吸する
息の通り道を、冷たい空気が鼻から入り、温かい息が出るというように意識しましょう。
2)心から呼吸する
心の部分を通って息が出たり入ったりする事をイメージしましょう。
心と一緒にいる
4分間途切れないリラックスする時間を持ちましょう。すると上の2つが出来ます。そして次の2つが働きます。
1)愛に満ちた時を思い出す
心から深い呼吸を行うと、以前飼っていたペットや自然の中を歩く事、子供たちと遊んだ事のように特別な本当に愛に満ちていた記憶を思い出します。
2)愛の感覚が身体全体から拡がっていく
心を感じて呼吸すると愛の感覚が足と手、つま先や指と背骨、首と頭、身体全体に拡がり、心からの呼吸を行っている間、愛の感覚に浸ることが出来ます。
この易しい運動で意識が微妙に変わります。固執ではなく寛容へ、判断ではなく共感へ。
5.身体を詳しく調べる(ヨガニードラ)
快適で安全な邪魔されずに10分間横になれる場所を見つけましょう。
1)3、4回深い呼吸をしましょう。
2)自分の身体の重さを感じましょう。
3)古代のヨガニードラの方法で身体を詳しく調べましょう。
6.外へ出て自然にふれよう
1)気になる木を見つけましょう。
2)快適にして身体の中を感じよう。
3)木の根、幹、枝の中を感じよう。
A. 土の中に拡がっている根を想像しよう
B. 空に拡がっている木の枝を想像しよう
【組織としての道具箱】
1.会議の中で沈黙の時間を持つ
例えば1分間沈黙、15分話し、1分間沈黙のような方法で、話し過ぎる人に引っ張られる会議では無くなり、お互いの信頼と尊重が生まれることになります。
2.発展的フィードバック
フィードバックは互いにやり取りすることで与える側も受け取る側も育てることが出来ます。
3.フューチャーバックの道具
フューチャーバック:未来のある時点に目標を置き、そこから現在すべきことを考える
アウトサイドイン:世界が直面する環境問題や社会課題をビジネスの力で解決する事に挑戦する
・ステップ1 チームのメンバーと考えましょう:誰にまたは何に仕えているか
・ステップ2 組織が生命体としてどう感じているか、チームメンバーや同僚と考えましょう。例えば、活気があって元気づけられる、忙しくていらいらしている、のんびり官僚的、など。
・ステップ3:未来は組織にとってどんな様子でしょう。世界はどのようでしょう。
1)未来は現在とは大きく異なっているでしょう
2)この10年のうちに17SDGゴールがより重要度を増していきます。
・ステップ4:静かに考えたあと、組織がどう感じているかという内側の文化と、依頼人、顧客、卸や投資者のように組織がどのように関わっていくかという外側を仲間と分かち合いましょう。
・ステップ5:同僚が今の在り方から勇気をもってどのように動き、10年の間に、仕事と生態系が全体的に健康に育つよう組織に変化を起こしていくかを尋ねてみましょう。
・ステップ6:未来に向かうこの練習には力があります。私たちは今の標準や限界による直線的な戦略に替えて、未来が私たちに求めるものを感じ取る広いものの見方と、いのちあふれる場所を創り出せます。
4.対話による質の高い会話
今日の忙しい仕事環境では、一緒に働く人と深い対話が出来ないと感じられます。「新しい規範」では会話の質を高める必要があります。会話で重要なのは聴く事、感じる事、学ぶこと、動的に共有することです。
5.評議会
評議会の古代の慣習は、人々が集まり判断することなく受け入れ、共同の雰囲気を分かち合いました。
評議会の基本的な決まりが有ります。
1)話す
評議会で話すときは頭ではなく心と腹から話します。単に、何が起きているか、どのように感じているか、経験している機会や挑戦を話します。サークルのために使える時間を意識して簡潔に話します。
2)聴く
聴くときには、心身ともに今ここにいて聴きます。話されていることに充分に注意を向け、寛大に心を開いて聴きます。
3)言葉の断片は注意の標識
言葉の断片にしっかりと注意を向けます。聴くとき、話すときはマインドフルネスの実践です。
4)他の人が話す事に批評や判断は要らない
言われたことが、どのように「自分」に起きている事に関係しているのか、対立的な判断や批評することなく分かち合います。
5)自発的貢献
沈黙により、何も言わずに言葉の断片を保つことが出来ます。
6)サークル内で言われた事はサークル内に留める
異なる意見は健康的で、共同体の中に多様な意見が有ることにより、長い期間の生存率に必要な回復力が得られます。
6.ストーリーカフェとワールドカフェ
小さなグループ(ストーリーカフェ)や、より大きなグループ(ワールドカフェ)で多様な意見が出て共有されることが調整の機会(収束)となり、新しい洞察の形(出現)となる。
ストーリーカフェ:15名以下で4-5名ずつに分かれます。それぞれの人生で完全に生きていると感じた時を共有することから始めましょう。
ワールドカフェ:15名以上で2、3テーブルに分かれます。テーブルの間でいくつかの話し合った後、自由に他のテーブルに参加することが出来ます。
7.オープンスペース技術
オープンスペース技術は、小さなまたは大きなグループでの自己組織化した話し合いです。この方法は複雑、多様、対立、緊急な状態が差し迫った場合に有効です。特別な議題は無く「話し合いの目的」を優先します。
8.群れのワークショップ
群れとは多様な人々が一緒にいる事です。そこでは複数のステークホルダーが、よりいのちあふれる世界を創る可能性を持って共創的に解決できます。
11章で述べた【個人としての道具箱】と【組織としての道具箱】により、自分自身と自分の組織を人類の意識の次の段階へと連れていくRegenerative Leaderになるための旅に乗り出す準備完了しました。
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