【秋田県横手市】猛暑北国・横手で呑む。酒場レベルが高く、またまた横手が好きになった夜。 2019年8月10日(土)-11日(日)
2019年3月に訪れた横手市。市内に5つも酒蔵がある日本酒の街で、再び地酒を呑もうかと、お盆前の横手市を目指しました。
注)2019年8月の記事になります。
⚪︎「佐藤養助 総本店」で稲庭うどん
猛暑の最中、横手市へ遊びに行くことにしました。3月以来ですから、5ヶ月ぶりの横手市となります。
秋田県横手市は、岩手県と西和賀町で接してする県境にあり、人口は87,000人弱の秋田県では秋田市に次ぐ人口を誇る地方都市です。
午前9時半過ぎに自宅を後にし、東北自動車道を南下すると大粒の雨が降り始めました。途中、2年前の九州旅で大型の台風と遭遇した際を思い出させる大雨となりましたが、横手市に近づくほどに雨脚は弱まり、しまいには止んで、清々しい青空が見え始めました。
やれやれと胸をなでおろし、横手市の南隣にある湯沢市まで移動して、「佐藤養助 総本店」を目指しました。
11時半ぐらいに到着すると、席は8割がた埋まっており、先客は美味そうに稲庭うどんをすすっています。
席に通されたわたしは、かけうどんと比内地鶏ご飯がセットになった「比内地鶏ご飯セット」を注文します。
岩手県民のわたしは、隣県秋田の名物である稲庭うどんは、当然のことながら何度も食べたことがありますし、実際のところ大好きです。細い細いうどんは、クセになる喉越しが本当にたまらず、いくらでもツルツルと食べることができるのです。
で、この日は比内地鶏ご飯のセットでしたが、稲庭うどんが美味しいのは言うに及ばず、毎日決まった数しか出せない、つまり限定品だという比内地鶏ご飯がこれまた絶品でした。
鶏メシ系の話でいうと、だいぶ前にイクヤさんと訪れたシンガポールで、現地の案内人に連れて行かれた、観光客が足を運ばないようなディープな店で食した海南チキンライスを食べたとき以来の満足感を覚えました。
いずれ、比内地鶏の旨味が凝縮していてとても美味しかったです。
しかし、総本店の稲庭うどんも流石の品格と喉越しと熟成感。関西のうどんとは方向性が異なりますが、やはり美味しいのです。
「佐藤養助 総本店」を後にし、再び横手市を目指す車中で、横手市出身のシンガーソングライター高橋優の「明日はきっといい日になる」が、ローカルFMで流れました。
そうそう、横手市といえば、「釣りキチ三平」の矢口高雄先生の出身地でもあるし、「編集王」「ありゃ馬こりゃ馬」などの代表作がある漫画家・土田世紀氏、女優の壇蜜さんなども輩出しています。
時代をずっとずっと遡る1000年ぐらい前の平安の時代には、陸奥の安倍一族(貞任・宗任)を前九年の役で源氏と結託して破った清原氏なども、このあたりの豪族だったはずです。
盛岡市在住の直木賞作家・高橋克彦先生の名著「炎立つ」がお好きな方であれば、「むむっ」と飛びつくネタではないでしょうか。
清原氏は、その後いろいろありまして、世界遺産・岩手県平泉を繁栄させた奥州藤原氏の開祖・藤原清衡(安倍氏ととも源氏と戦った藤原経清の子ですが、安倍氏が討伐されたのちは、清原家で育てられたとされています)と、源義家によって滅ぼされることになったのでした。
いわゆる、「前九年の役・後三年の役」という戦さです。この時代の歴史、本当にドラマチックで胸熱展開です。
なお、余談ではありますが、安倍一族の末裔で内閣総理大臣を経験しているのが、盛岡市出身の米内光政(第二次世界大戦終結に尽力した大政治家)と安倍晋三さんの2人と言われています。
⚪︎超人気店「粋場」で天の戸まつり
この日の宿は、前回の横手訪問と同様にプラザグループの「ホテルプラザアネックス横手」としました。チェックインし、温度47度、毎分720リットル自噴の天然温泉で汗を流してから、横手一番の繁華街中央町を目指します。
朝方は大雨でしたが、日中は気温がぐんぐん上がり、この季節らしい猛暑となり、風呂上がりの体から再び汗が吹き出しました。
予約しておいた「粋場」はオープンして4、5年らしいのですが、すでに横手では、なかなか予約が取れない店となっているようでした。
メニューから、料理3品、おでん6品で2,000円のセットメニューを注文し、酒は地元の「天の戸 Land of Water 純吟 生」をいただきます。この一本、「天の戸」の夏酒となります。
しかし、去る7月30日に、「天の戸」を醸す浅舞酒造の森谷杜氏が急逝されたと聞いたときは本当に驚きましたし、本当に残念でした。わたしは、大好きな「天の戸」で、森谷杜氏を悼み、一人献杯をしました。
おでんの出汁は非常に上品。昆布の旨味が効いており、タネを食べるペースよりも出汁をすするペースが上がってしまいました。
実は、たまたま座った席が、フル稼働のエアコンから出る冷風がわたしに直撃したこともあって少々体が冷えてきていたので、温かいおでんがとてもありがたかったです。
料理の二品目は、秋刀魚のオイル漬けをトマトソースで煮たものとのことで、秋刀魚の脂をトマトの酸味が流してくれて、そこにチーズのコクがまじわり、シンプルですが複雑な味わいの品でした。
そろそろ熱燗を、と思ってきたので浅舞酒造の「天の戸 まる燗 きもと」を注文です。エアコンの冷風のおかげで、外は猛暑でありますが、熱燗が最高に旨いという贅沢なひと時。とろりした甘さのこの酒が、すいすいと進んで仕方ありません。
最後の料理はローストポークでした。しっかりとした肉質、程よい脂、燗酒ともよく合っていました。
なので、燗酒をおかわりして「天の戸 美稲 美山錦 特別純米」のぬる燗をいただきます。もう、「天の戸まつり」となっていました。
ぬる燗のお供がもう少し欲しかったので、魚介の昆布締めを追加注文です。
昆布の旨味を吸ったホタルイカ、牡蠣、甘海老、びんちょう鮪が最高に旨く、ぬる燗が一気になくなりました。
⚪︎仕上げはオーセンティックバー「Potstill Shibata」で
「粋場」を出たわたしは、横手で予約を取れない店として「粋場」と人気を二分すると聞きました「とぶ」に寄ってみますが、店内大混雑で、この日は予約で一杯だとのことでした。
ではでは、とこちらも気になっていた、お隣の「Potstill Shibata」へ入ることにしました。もともと「最後はここ」と決めていたオーセンティックバーでした。
ジントニック、スイカのウォッカトニックと呑み、まだ30代前半だというオーナーバーテンダー柴田さんから、他に客がいなかったので、いろいろ伺いました。
柴田さんは、前のオーナーバーテンダーから店を引き継ぎ、若くしてオーナーを務めているとのことで、3月にわたしも足を運んだ横手駅近くの「絆BAR」のオーナーとは兄弟子とのことでした。
なにやら美味しそうだとメニューから見つけた「塩豚のマスタード添え」を注文し、オールドパーでウイスキー&ソーダを作ってもらいました。
カクテルも確かな味わいでしたが、フードも気が利いていて、なかなかに良い感じでした。
わたしは、柴田氏の絶妙な接客加減と軽妙な会話を楽しみながら、他に客がいない店内で、オーセンティックバーの醍醐味を味わいました。
で、柴田さんに作ってもらうことにしたのはグラスホッパー。こちらも完成した一杯で、心から満足して、店を後にしました。
いやしかし、訪れるたび、わたしは横手が好きになっていくのでした。
(おわり)
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