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【さかばなし47】ベーコンは脂身が勝負どころ
「さかばなし」は、酒場(さかば)であった、ちょっとしたエピソード(はなし)について綴っています。「さかば」の「はなし」で、「さかばなし」です。
棒棒鶏を食べ終え、満足げに店主の顔を見上げると、にやりとしながら、「もう少しなにか食べる?」と店主が聞いてきたので、「あ、お願いします」と答えた。
春牛蒡の揚げ焼き、棒棒鶏と軽めの酒肴が続いたので、もう少し食べたかった。
スプマンテが空いたの見て、店主が「ほい、これ」と蕎麦猪口を目の前に置き、日本酒で満たしてくれた。
「お、なんすか?」
「呑んでみて」
「はい、、、ん、どこかで呑んだことあるな」
「おー、わかる?」
「いや、正直わかんないっす。綺麗だけど、ちゃんと旨い」
「えーと、オレの毎晩の寝酒だね」
「ほー」
「南部美人のパック酒。美味いんだよねぇ」
「あーーー、好き!」
「だよねー、これはサービスね」
いや、本当に南部美人のパック酒は手頃な価格で、期待以上の旨さで、いい意味で驚かされる。地元消費が9割を占めるという「わしの尾 金印」も岩手最強の晩酌酒であるが、南部美人の普通酒パック酒だって、値段も安く期待を裏切らない旨さだ。
「んで、はい、ベーコンとエリンギと菜花をチーズで焼いたの」
「おーーー、うまそうーーー」
「自家製ベーコンだけど、脂身がうまいよー」
「ベーコン、確かに甘くてジューシーですね」
「こういう洋っぽいのも南部美人に合うから、じっくり味わって」
「ありがとうございます」
しみじみとベーコンの上品な脂身を味わい、さらりと優しくキレる「南部美人」で流す。普段食べない組み合わせも、新しい発見があって楽しい。
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