【山形県山形市】(1/2)雪降る山形。新幹線は運休停止したけれど、酒場で呑んで喰っては休まない。2022年1月13日(木)-1月14日(金)
出張で山形市へ行ったときの記録になります。いい酒場を見つけました。
注)こちら、2022年1月の記事になっています。
新幹線がトラブルで遅れて出発できない
2022年も新型コロナに振り回されそうな年明け。オミクロン株が全国的に広がりつつある中で出張が入りました。行き先は盛岡と同じ東北は山形県山形市。
日本海側の県ということもあり少し遠いようなイメージを持ちがちですが、新幹線で仙台市まで40分、仙台市から山形市まで高速バス一時間の移動ですから、盛岡からは、二時間程度で到着できる街なのです。
出張先で会う予定の現地の方がいて、その人とは夕方に山形駅で待ち合わせることにしていたので、昼過ぎに盛岡を出れば余裕だろうと見ていて12時50分ごろの新幹線を予約していましたが、東北新幹線のポイント故障が原因で朝から新幹線が運休するという事態となりました。
新幹線が動くまで、駅ビルフェザン地下の「フレスキッシマ」で13時ごろに遅めの昼食をとり始めました。すると、13時半ごろに新幹線が運転再開の案内が入りましたので、素早く鮭とほうれん草のパスタを平らげて新幹線のホームへ向かいました。
予定どおり新幹線に乗り、仙台駅から高速バスへ乗り換え、山形駅に着いたのは日が暮れる直前でした。
「いやいや、新幹線の運休大変でしたね。大丈夫でしたか?」と出迎えてくれた地元のRさんと合流し、彼が運転する車でホテルに移動しチェックイン。ホテルロビーで小一時間ほど打ち合わせをし、「では行きますか」と促されて七日町方面へ向かいました。
雪の中「いし山」へ向かい郷土料理をいただく
雪が降るなか七日町を歩きます。街道筋の町人街だったという七日町。細い路地がいくつもあり、雪景色とあいまって非常に風情があります。
連れて行かれた「いし山」はそんな路地のひとつにぽつんと佇む、なんともそそられる店構えの割烹でした。
二階の個室に通され、しっかり暖まった部屋で生ビールで乾杯です。ぐいっと呑ると、目の前に出された前菜は寒締ほうれん草にほぐした鱈子を和えたもの、めかぶと河豚皮の三杯酢ときましたた。これは日本酒にいかねばならぬか、などと考えていると、続いて美しい八寸が供されます。
骨煎餅、立派な数の子、煮凝り、いなご佃煮、あん肝、干し柿のバターサンドと、間違いなく日本酒、そう地酒が欲しくなる酒肴が盛り付けられています。
間をおかず「冷酒と熱燗どちらがお好きですか?」とRさんに尋ねられ、少し迷った末に「どっちも大好きなのです」と答えると、「ではでは」とRさんはインターフォンを使って店の一階に「地酒を。冷酒と熱燗二合ずつ」と気の利いた注文をしてくれました。
この日の宴はRさんの職場の同僚が二人駆けつけてくださり計4名となっていました。個室も一人一人がゆっくり座れるちょうど良い大きさで、座椅子に座布団と旅館の部屋食でもいただいているかのようなシチュエーション、新年会っぽく呑んで喰って騒いで楽しんじゃっていきましょうという雰囲気となりました。
スーツじゃなきゃ一番なんだが、と思っていると「もうネクタイ外しちゃいましょうよ」とRさんがいい、そうだそうだと他の二人もネクタイを外し始めるので、わたしも便乗してネクタイを外したらすっかりリラックスし、あぐらをかいて酒をくいくい呑みました。
「お料理、どんどん出ますから、お酒もどんどんいっちゃってください」とRさんが注いでくださったのは、米沢は新藤酒造店「九郎左衛門 泉水鑑」。呑みやすくほんのり甘い、呑み飽きしない味わいの酒です。
前菜も八寸も隙がなく、酒が進んで進んで仕方なかったです。めかぶと一緒に三杯酢で和えた河豚の皮の食感を楽しんでいると熱燗が到着。こちらは「銀嶺 月山」。山形を代表する寒河江市は月山酒造の一本となります。
「あー、外はまだ雪降ってますねえ」と誰かが窓を開けて外の様子を見ました。「ま、ま、外は大雪ですが熱燗もどうぞ。あ、お水もありますんで」と次々酒を注がれながら旨い肴に舌鼓を打ちます。山形はやっぱり、実にいいのです。
山形の夜、「いし山」の夜はまだまだ続きます。地酒を呑みつつ箸を休ませず肴を堪能していきます。お造りは、ホタテ、タコ、スルメイカ、イカ下足、マグロ。そしてツマに茹でた菊花がつくところが菊を食する文化が盛んな山形らしいのです。
刺身はどれも鮮度よく、とても美味でした。マグロは赤身と中トロの中間ぐらいの脂の乗りで、こちらは「銀嶺 月山」の熱燗とよく合います。
しかしまあ、前菜、八寸、お造りといい仕事をされています。ご主人のもとでは息子さんが後継として仕事を学ばれているというし、今後も安泰であろう名酒場が「いし山」でした。山形市に名店あり、です。
焼き魚はニシンでした。山形ではニシンを「カド」と呼び親しまれている魚です。春を告げる魚、「春告魚」でもあります。
10年以上前になりますが、山形駅近く、やはり名酒場「川なり」でコース料理に焼いたニシンが丸々一匹出され「こんな大きなニシン、量が多くて食べられないよ」と思いつつ手を出したら、ぱりりと焼けた皮、しっとりとした身、じわり溢れる脂に箸が止まらなくなったということがありました。
盛岡というか岩手は生の鰊を焼いて食べる文化はないことはないですが、実際のところはそれほど多くはない気がします。保存食である身欠き鰊の方がよく食べるのではないでしょうか。ので、焼き鰊は御馳走の類になります。
この日出された鰊は大きな白子が入っていて、この白子がとろり蕩けてとても美味しかったです。皮はぱりり、身はしっとり、ほどよく脂がじゅわり溢れ、「川なり」でいただいたときの鰊の美味さがプレイバックしました。
熱燗「銀嶺 月山」が追加され、冷酒は鶴岡は加藤嘉八郎酒造の「大山 飛切」をもらいます。「大山」はキレある爽快な辛口酒で、呑み飽きせずに盃が次々と空いていきました。
(2/2へつづきます。)