花巻市にある「南部杜氏伝承館」へ行ってきた。
またまた花巻市の記事になるのですが、昨年末、ちょっといわて花巻空港へ行く用があり、その途中にある「南部杜氏伝承館」へ寄ってみました。
場所はJR盛岡駅から車だと30〜40分のところ、国道4号沿いの「道の駅 石鳥谷」内に設置され、非常にわかりやすいところにあります。
南部杜氏は、「日本一の杜氏集団」といわれ、越後杜氏、丹波杜氏と並んで、日本三大杜氏のひとつです。
日本一の冠を掲げることができたのは、ひとえに南部藩を挙げてのプロジェクト推進にあったとされています。
当時、17世紀初頭、未熟な技術でしか醸造できなかったらしいのですが、近江商人を通じて上方の酒造りの技術を南部藩に移入し、それを自分たちの技術として浸透させ、また、寒冷な土地ということでクオリティコントロールもしやすく(土地柄寒いので、現在のように温度管理できる設備などがなくても良い、つまり、いわゆる寒仕込み、ができたということです)、高い質の日本酒を醸すことができるようになったのです。
まー、このへんの経緯は、主だった産業に乏しかった南部藩が、さまざまな技術を近江商人のネットワークを介して取り入れ、それを自らの技術・文化に昇華させ、外貨を稼ぐ手段として確立させていったとうい歴史的背景となっているわけです。
とりわけ、南部杜氏に関しては、冬場の農閑期の出稼ぎの手段として日本各地の酒蔵に出向き、酒造りのリーダーとして腕をふるい、それなりの報酬を得て岩手に戻り、家計の足しにしてきたということもあったようです。
特にも明治期に鉄道網が岩手にも張り巡らされると、南部杜氏の出稼ぎは一層加速化され、まさに日本中に南部杜氏の高い技術が行き渡り、日本酒そのものの品質格上げに寄与・貢献してきたとも聞いたことがあります。
まー、前置きが長くなりましたが(笑)、日本最大の杜氏集団とか日本三大杜氏とかいわれる理由が、こんなとこにあるようです。
はい、てなことで、日本全国の南部杜氏が醸した銘柄の一升瓶が並びます。有名どころだと「磯自慢」「正雪」「呉春」「春鹿」「梵」「四季桜」「峰乃白梅」「腰古井」「天鷹」などが見てとれます。
こっちは東北の酒蔵ですが、まあ、多いのか少ないのかですが、東北六県ですから、十分多いのでしょうね。
あとはまあ、伝統的な仕込みに使う酒造り道具なども展示されていますので、興味がある方は現地でご覧いただければと思います。もちろん、酒造りに関する解説なども充実していますので、併せてご覧になれます。
あ、そうそう、館内には日本酒の有料試飲のコーナーもありますので、車の運転がない方は、試してみてもいいかもしれません。
道の駅敷地内には、お土産が買える「酒匠館」があるので、そちらで実際に地酒の購入なども可能です。
ということで、日本酒に興味がある方は、観光の行き先のひとつに、この「南部杜氏伝承館」も候補に挙げてみてはいかがでしょうか。アクセスもいいし、お土産も帰るし、レストランもあるし、非常に便利な観光スポットだと思います。
ではでは。