【盛岡市大通】旅の仲間イクヤさんとツッチさんと「わしゅ」で呑む
3月のとある土曜日。旅の仲間、イクヤさんとツッチさんと「わしゅ」で待ち合わせて呑むことになっていました。
この日のテーマは「次の旅の行き先」でした。コロナですっかり旅行ができなくなっていましたから、実現すれば5年ぶりぐらいの愉快な仲間たちとの旅になります。
この日は料理も酒もすべてお任せしてましたので、テーブル席につくと、宮古の「丸めかぶ」と「山ウドの酢味噌」がスタンバイです。最高ですね、旬の食材です。
まずは生ビールをぐいっと呑って乾杯です。
「今日は宮崎のいいカツオ入ってます」と店主が供してくれたのは、なんとも美味そうな初鰹のたたきです。
「一升漬入りのマヨネーズで召し上がってみてください。あ、もちろん醤油も美味しいです」とのことで、画像左下にちらり写っている一升漬マヨでいただいてみると、さっぱりとした初鰹にマヨネーズの油分と一升漬のピリ辛が混じり合って、なんとも美味いではないですか。
思わず、「酒! 酒をお願いしまっす!!」と注文を飛ばします。
それに対して店主がにこやかに笑い、保冷ケースの方へゆっくりと移動します。
まずは王者の風格、滅多に呑めません、島根の「王録」。伸びやかで澄み切った酒質。そして、しっかりと残る旨味。もう、たまりません。
「本日のメインは鍋です」と、鍋の蓋をとると鴨鍋です。脂身がなんとも美味そうです。
「鴨はフランスの鴨、シャラン鴨です。でも、今日の主役は鴨ではなくて、葱です。佐々恵農園さんの葱です。とろっとろになるまで火を通して召し上がってください」
そう言って、店主がコンロに火をつけてしばしすると、くつくつの煮えてきて、食べ頃に。
「鴨は赤みが残っているくらいでも大丈夫です」と言われていたので、ミディアムレアぐらいでいただくと、想像以上に品の良い肉質と脂身の甘さ。思わずうっとりです。
そしてそして、言われていたとおり、佐々恵農園の葱が甘いこと甘いこと。とろっとろのふわっふわで口の中で消えてなくなります。
酒と箸が進み、会話が盛り上がり、一気に燗酒モードです。まず、「羽前白梅」の柔らかいお燗ではじめ、鳥取の完全発酵の旨酒「辨天娘」です。最高の燗酒がどんどん供され、どんどん酔っ払っていきます。
「ブリカマを大根と炊いてみました。酒と醤油だけ使っています」と出てきたのが、これまた燗酒に合うでしょう、ブリカマ大根。
「次の酒、お願いしまっす!」
とお代わりモードにも突入です。
「少しだけ残っていた、こちらいっちゃいましょうか」
とニコニコしながら店主が抱えて持ってきた酒は、奈良の「睡龍」の22BYの純米。10年以上前に醸された超古酒です。
「常温で熟成させた、貴重な酒です」とのこと。
で、この燗酒が最高にまろやかで、アルコール感なし。素晴らしい奥行きと舌に優しく絡みつく旨み、深みはあるけど強い主張はなく、これは日本酒なのか、と途中からわからなくなるほど魅惑的な酒でした。
瓶の底に残っていた一合を、ぴたりと流石の温度帯で提供され、最高の一杯でした。
今回は一人5,500円の完全お任せコース(2時間・税込)でしたので、存分に酒と肴と店主との会話を楽しみました。大通の名店会館にある、知る人ぞ知る日本酒の聖地「わしゅ」。
ハイレベルの酒と食を普段着のまま楽しみたい酒場なのです。