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(4/9)初の九州横断に狂喜乱舞し、広島まで足を伸ばす。 2015年11月28日(土)-12月2日(水)

天領日田、阿蘇、天孫降臨の地・高千穂、のちのち「俺たちの酒」と名付けられることになる諸塚村の川崎醸造場の「園の露」を醸造の場で味わい購入してから、宮崎の友・イグチさんのホームグラウンド、宮崎県宮崎市に到着したわれわれ一行。2日目のクライマックスは「みょうが屋」の肉と「ブルーツリー」のカリスママスターにノックアウトされたわれわれでした。
注)2015年11月の記事になります。


◾️「みょうが屋」での最強最高の肉の宴

待ちに待った「みょうが屋」

「腹いっぱい、腹がはち切れんばかりに、肉汁したたる肉を喰らいたい」「飽きるほど高級肉、そう、ブランド牛を思う存分喰ってみたい」

誰しもどこかに、そんな欲求を隠し持っているはずです。誰しもいつかは、そんな欲求を叶えたいと思っているはずです。
誰しもそうやって、自分を押し殺して届かぬ願いをやっぱり押し殺しているはずです。

わたしもそうです。そうやって40過ぎまで生きてきました。
牛肉なんて、ましてやブランド牛なんて、そしてそして日本一の宮崎牛なんて、「いつになったら思う存分食べられるんだろう」と夢見てきたのでした。

そうやってわたしはついに「みょうが屋」に辿り着いてしまったのでしたそう、禁断の肉汁ワールドに飛び込んでしまったのでした。

牛筋スープ

この「みょうが屋」、イグチさんのホームグラウンド宮崎市にある超人気焼肉店です。ホテルから乗ってきたタクシーの運転手さんも「うん、ここは美味しいよ」とぼそぼそ呟き、にやりと笑って見せました。

先に来店していたイグチさんと合流し、ほろっほろの牛筋スープをすすりながら生ビールで乾杯です。まわりの先客たちは「じう、じう、じう」と肉を焼き、ワハハハアハハと幸せそうに笑い声を挙げ、それがわれわれの食欲をいっそう煽っていくのでした。

美しすぎる宮崎牛

さあ、そうして肉なのです。肉、宮崎牛の肉。どこかって? 部位?
いや、そんなことどうでもいいんですよ。
肉は肉。宮崎牛、日本一の牛肉の肉なんです。牛肉の、肉の、肉の、肉の中の肉の一番旨いところです。

これまた美しい肉

「いやあ、これはまた」
「いやはや」
「まいりましたなあ」
「はたまた」
「なんだか、かんだか」

とわけのわからぬことをいいつつ口元だらしなく緩ませ、かつ、素早く肉が焦げぬようトングで肉をひっくり返しつつ、肉をかっ喰らっていきます。

一応4人分ずつ切ってもらっているから、誰か一人裏切り者が出ない限りは十分に行き渡るはずですが、どことなくお互いに警戒しつつ落ち着きなく、視線をあっちへこっちへ飛ばします。

お湯割りでしょ、お湯割り

焼酎は、蔵にお邪魔させていただいた、都城市の柳田酒造さんの新酒「蕾千本桜」を。肉の脂を受け止めつつ、そして甘みを引き出してくれる奥行きのある味わいと香りです。大きめのグラスにたっぷりのお湯割がとても美味しい一杯となります。

次々肉が現れます

肉の中の肉、カルビが大盛りで登場です。
「いや、その」「ええ、まあ」「あひ、あひ、あひ」「くわわわわ。。。」と引き続き変な声を挙げながら肉を焼いて口に運んでいきます。

焦げ目も美味そう

焦げる野菜には目もくれず、一心不乱に「肉、肉、酒、肉、酒、肉、肉、酒、肉、、、」と箸と手と口を動かし続けます。

美しすぎるホルモン

そしてついに肉の中でも庶民の味方、庶民にとっての王様である「内臓=ホルモン」部位が登場となりました。

いやしかし、「ホルモン=放るもん」とはなかなかに言い難いつやつやピカピカの、シロ・ハツ・ハチノスです。徐々に腹が膨れてきたところへの、満を持して投入された食感重視のワイルドな部位でしたが、あまりに美味そうで一気に食欲が戻ります。

「うっしゃ! 泡だ、泡!!」とイクヤさんが叫び、イグチさんが素早く立ち上がり、厨房の方へ走って泡をオーダーしました。

スパークリングワインが届き、われわれは、「イグチさん、結婚おめでとーーー! 出産おめでとーーーーー!!」と今更ながら、いきなりイグチさんのプライベートのめでたいことを祝ったのでした。
そうそう、しばらく会っていない間、イグチさんは結婚入籍され、お子様を授かったというおめでたいことがあったのでした。

焼き飯

〆の焼き飯は、これまた宮崎牛がたっぷり。このころになると、満足感たっぷりの5,000円コースに完全フォールされつつあり、大人しく「うめえ」「うめえすね」「うん、腹いっぱいだけど、ぜんぜん喰える」と焼き飯を黙々と喰らっていきました。

◾️スナック「ブルーツリー」へ

ブルーツリー

「みょうが屋」を後にして訪れたスナック「ブルーツリー」のことは、正直どこまで書いていいのかわかりません。
マスターの上妻さんは、店のことを細かく書いたとしても、たぶん「そんなの気にせんよ」というだろうけど、なんとなく大事な思い出として自分たちだけで取っておきたい気もしないでもないという意味での、書いていいのかわからない、というのが正直なところです。

マスターは最初ぶっきらぼうな人かと思いました。けれど、それは言葉が東北人にはそう聞こえるだけで実は全然そんなことはなく、実に優しい、気遣いの人だと少ししてからわかりました。

焼酎なんにする? と聞かれ、「湯割りでオススメを」と返すと、黙って作ってくれた湯割りが実に旨かったです。お替りは? と聞かれ、「なにか違うのをオススメで」と答えると、またもや黙って作ってくれた湯割りはいっそう旨いものでした。

富源

いつの間にかイグチさんがちびちび呑っていた粕取り焼酎「富源」を呑ませてもらいます。香りとコクのバランスが良い、東北では味わえない焼酎でした。

居合わせた常連客とも仲良くなり、いつの間にか一緒に盛り上がります。気づけばカラオケを歌い出す人も。それはそうです、スナックですもの。

「言っとくけど、ウチは焼酎バーじゃないぞ、スナックだからな」と笑いながら断言する上妻さん、いや、マスターがとてつもなくカッコよく見えました。
あとからイグチさんに、「あそこ、平気でxxの古酒とか出しますけど、どんなに呑んでも基本一人2,500円ですから」と聞きました。

マスターとマスターが経営する「ブルーツリー」の強烈な個性は、わたしの九州旅一番のインパクトであったとはっきり断言できます。

いただいてしまいました

イグチさんと一緒だからでしょう、店に併設する「秘密の部屋」に通してもらいました。小さなスナックだったのでしょう、そのスペースは、居抜きで焼酎保管スペースになっており、今ではすっかりお目にかかれないような貴重な一本一本が所狭しと並んでいるのです。驚愕です。

「おう、アレとアレ、持ってったらいいよ」と軽く言って寄越す上妻さん。とてもじゃないが、初めて来た客がもらえるような代物ではないので、「いえいえいえ、とんでもないです!!」と全力で断ります。だがしかし、「いいから、いいから」と笑って持たせてくれました。

その焼酎は、この焼酎たちは、いつか旅の仲間たちで旅の思い出を語りながらちびちび呑るつもりで、大事に大事に頂戴してしまいました。

(5/9へつづきます。)

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