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【春目前の彩りを】豆腐田楽×鉾杉 柚子にごり酒~日本酒ペアリング研究会 報告書No.17~
※「日本酒ペアリング研究会」は、日本ソムリエ協会が認定する日本酒・焼酎のソムリエ資格「SAKE DIPLOMA」を持つ筆者が、ご家庭でもできる料理と日本酒の合わせ方を提案する企画です( ˘ω˘ )。
ついでに日本酒は三重の地酒を中心に取り上げ、料理で使う食材はほとんど三重の地物食材です。料理のレシピも詳しく解説していますので、ぜひお読みください( ˘ω˘ )。
〇冬の終わりはもうすぐ。
こんばんは~。わっきーです( ˘ω˘ )。
だいぶ日が長くなってきましたね~。予報では寒さも少しずつ和らいでいくそうですし、もう冬も終わりですね。とはいえ、春先は三寒四温とも言いますから、花粉も含めて体調には相変わらず気を付けないといけませんね( ˘ω˘ )。なんなら、いちばん体調崩しやすい時期かも。
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それはともかく、「日本酒ペアリング研究会 報告書」の第17回です。今回の料理は「豆腐田楽」です。三重県だと伊賀の郷土料理ですね。前回に引き続き、三重の郷土食シリーズとなっております( ˘ω˘ )。
お酒は三重県 河武醸造さんの「鉾杉 柚子にごり酒」。日本酒ベースの和リキュールです( ˘ω˘ )。
それでは、早速やっていきましょ~。
◯材料と作り方
◇材料(2人分)
木綿豆腐 1パック
(厚揚げでも良い)
油 フライパンに薄くひく程度
煎りごま お好みで
<味噌だれ>
赤味噌 大さじ4
砂糖 大さじ4
お湯 適量
僕は豆味噌で作ってますが、米味噌でもOK。また、上記に白みそや淡色味噌を少し混ぜてもいいと思います。お好きにアレンジしてください。
◇作り方
1.冷蔵庫で1日以上、豆腐の水を切る。
水を切らずにそのまま使うと、焼いてもびしゃびしゃになったり、崩れやくなったりします。それを防ぐため、前日に用意して次の晩以降までしっかりと水を切りましょう。また、豆腐の味も凝縮されて濃くなります。
まずは、豆腐をキッチンペーパーでくるんで皿やバットの上に置き、きつめにラップをかけます。
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次に、その上にもう一枚皿などを置き、なにかしら重しになるものを置いておきます。この状態で冷蔵庫に入れておきます。
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すると、けっこう水が出てきます。冷ややっこもこの工程をしてからのほうが美味しいです。
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2.豆腐を切り分ける。
お好みですが、今回は1cm厚ぐらいにしました。
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ほうんとうは「田楽」というと串に刺すものなんですが、フライパンで焼く場合は邪魔なので、そのままでいいです。
電熱グリルや七輪を使って串焼きにする場合は、割り箸を刺すといいと思います。
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3.味噌だれを作る。
赤味噌と砂糖を器に入れ、お湯で伸ばしながら混ぜるだけです。
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豆腐に塗ったり絡めたりして焼くなら柔らかめに、焼いた豆腐につけたり載せたりして食べるなら固めがいいかと思います。
4.フライパンに薄く油を敷き、中火で焼き色がつくまで焼く。
ひっくりかえすとき、崩れやすいので注意。
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串焼きのほうが雰囲気は出ます。
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5.豆腐に味噌だれをかけて、焼き付けるようにしながら焼く。
焦げすぎないように注意。中火のままでいいです。
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焼いた豆腐を皿に盛って、そこに味噌だれをかけるスタイルでもOK。
6.盛り付けて完成
お好みで煎りごまをかけてください。
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厚揚げでも美味しいですよ。これは絹・木綿どちらでも。
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◯今回のお酒とペアリング考察
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今回は豆腐田楽に、「鉾杉 柚子にごり酒」を合わせていきます。
◇お酒の基本情報とコメント
「鉾杉 柚子にごり酒」(三重県 多気郡 多気町 河武醸造)
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区分:リキュール
原材料:日本酒(国産米100%)、ゆず果汁、ゆず果皮、果糖、醸造アルコール
度数:7度
公式商品紹介ページ:
酒蔵情報:
筆者のコメント:
〈香り〉
爽やかかつ落ち着きのあるゆずの香り
上立ちでも口のなかでも、ゆずの香りがいっぱいに広がる。日本酒の吟醸香や米由来の香りを感じないぐらい、香りにおけるゆずの比率が大きい。また、果汁だけでなく果皮も入っているため、ゆずを丸ごと搾ったような雰囲気が出ている。
〈味わい〉
ゆずの皮のつぶつぶ感
にごり酒らしいとろみあるなめらかな質感
ゆず果汁由来の柔らかい酸味が豊かに広がる
粘性のある豊かな甘み(おそらく糖類由来が強い)
旨味は穏やか
果皮の穏やかなほろ苦さ
ゆずの酸味が余韻まで長く続く
ゆずの柔らかい酸味やほろ苦さが、にごり酒のとろみや豊かな甘味と相まってゆったりと広がる。全体としてはかなり甘口だが、ゆずの味わいもしっかりと効いており、しつこさはあまり感じない。また、にごり酒を合わせることによって、きりっとしたサワーとはちがう奥行きのある味わいに仕上がっている。
<総評>
ゆずの果汁だけでなく果皮を使うことで、ゆずをまるごと閉じ込めたような味わいや香りになっている。そこににごり酒を合わせることで、ゆずがもつ「落ち着き」「穏やかさ」がゆったりと広がっていく。これは他の柑橘にはないゆずならではの特徴であり、それがしっかりと活かされている。
近年、様々な酒蔵が「和リキュール」に取り組んでいるが、この組み合わせは最適解のひとつと言えるだろう。アルコール度数も低く、そういった意味でも親しみやすい。そのため、普段は日本酒を飲まない人にもぜひおすすめしたい。
しっかり冷やして、小さめのグラスで。常温でも柔らかくて美味しい。
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◇今回の料理との合わせ方
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今回のお酒はゆずを使った「和リキュール」というとで、当然ながら「ゆずの酸味とほろ苦さ」が前面に押し出されています。それに加えて、「糖類・日本酒由来の豊かな甘み」や「にごり酒らしいとろみある質感」が全体をより穏やかで柔らかい印象にしていると感じます。ここからは、その3点を踏まえて豆腐田楽とのペアリングを検証していきましょう。
今回のペアリングでは、シンプルな赤味噌だれに柚子を使ったお酒を合わせて「柚子味噌のような味わいをつくる」ことをイメージしました。同調や中和だけでなく、料理に新しい味わいを付与することを重視したペアリングですね。言うならば、お酒は「味変」要素なわけです。
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とはいえ、同調や中和がないわけではないです。まず、赤味噌だれは大豆の凝縮された旨味やコクが、砂糖によってまろやかにまとめられています。加えて、豆腐は口のなかでほぐれると、穏やかな旨味ともになめらかな舌触りとなります。豆腐田楽はそれらが一体となり、まろやかかつコク深い、でもどこか上品な大豆の味わいが口いっぱい広がります。
そのまろやかさ、なめらかさには「にごり酒らしいとろみある質感」がよく合います(同調)。この質感が豆腐田楽が織りなすまったりとした感触に寄り添い、お酒の味わいとともに全体をまとめあげてくれます。加えて、赤味噌だれの強い旨味は「ゆずの酸味」が、やや強い塩味は「糖類・日本酒由来の豊かな甘み」が中和してくれます。これらによって、味わいのバランスが取れ、一体感が増します。
注意点としては、味噌だれの砂糖が少ないと、酒と合わせた時に対比効果で塩味が目立ちます。豆腐に合わせるのでそれでもいい具合にはなりますが、一体感という意味では微妙かもしれません。そのため、赤味噌だれは少し甘口に仕立てるのをおすすめします。
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少し話が逸れましたが、今回のペアリングにおける最大のポイントは、豆腐田楽にはないゆずのフレーバーが付与されるということです。豆腐田楽というと地味なイメージかもしれませんが、これが加わることでほんのりと明るさや上品な華やかさが感じられます。また、ゆずの酸味は味わい全体を軽やかにしますし、ほろ苦さはよいアクセントになります。なんというか、「もうすぐ春だね」と囁くような柔らかく優しい光が差し込んでくる…みたいなイメージです。
♪はるのとなりー佐々木恵梨
…おっと趣味が出てしまいました(笑)。アニメ「ゆるキャン△」2期のエンディングですね。いい曲なんでぜひ( ˘ω˘ )。
それはともかく、今回は豆腐田楽というしっかりとした味わいの料理に、「鉾杉 柚子にごり酒」が優しい彩りを添えるような良い組み合わせになったと思います。それこそ、季節的にもぴったりなんじゃないでしょうか( ˘ω˘ )。
ぜひお試しください( ˘ω˘ )。
〇巡る季節になに想う。
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今回は豆腐田楽に「鉾杉 柚子にごり酒」を合わせてみました( ˘ω˘ )。「田楽」という名前は、むかし田植えの際に踊られていた「田楽舞い」からきているとか。当時、それを生業としていた「田楽法師」という人がいて、白い袴に色つきの上着を羽織り、棒に乗って踊っていたそう。その姿が串焼きの豆腐に味噌を載せた見た目に似ていたことから、この名前になったらしいです。詳しくはこちら↓
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実は三重県は全国的にも田植えが早く、最北部以外は4月上旬には始まります。そのため3月には耕して水を入れるんですが、そういう意味でもいいタイミングなのかもしれません。近づく春を想うこの季節に、ぜひこのペアリングを楽しんでいただけたらと思います。
個人的には、好きな季節である冬が終わってしまうのは寂しいですけどね。まぁでも乾燥は天敵だしなぁ…。いや、とはいえ花粉もけっこう…。
…どうでもいいですね(笑)。
それでは、また次回お会いしましょ~。
素敵な日本酒ライフを( ˘ω˘ )。
♪季節は次々死んでいくーamazarashi
「日本酒ペアリング研究会 報告書」のまとめを作りました。
他のメニューとペアリングもあわせてお読みいただけると嬉しいです( ˘ω˘ )。
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本企画とは別でやっているエッセイ企画「淡い雲をとどめて」のまとめです。ぼちぼち書いていきますので、こちらもぜひに。