オアシスの都 ブハラへ -ウズベキスタン記5-
朝食を食べに中庭に出ると、今日も抜けるような青空。世界遺産内での朝食に、否が応でもテンションが上がる。
バイキングスタイルの朝食で野菜やフルーツを中心に、しっかり平らげた。
チェックアウトを済ませ、タクシーの時間まで観光に出る。今日は昨日行かなかった路地裏から周り始めた。
賑やかな通りを一歩入ると、普通の生活がある。今は世界遺産になっていても、そんなのお構いなしだ。ドアの横に洗濯物を干し、前の庭で野菜を育てる。ナンを焼くタンドーリがあり、そこでいつもの生活をしている。まあ京都のお寺もすぐ横は民家なわけで、当たり前といえば当たり前なんだが、この石造りの町並みのせいで非日常感がハンパない。
そのまま居住ゾーンを抜けると賑わいが戻ってきた。広場の横に門があったので中に入ってみる。ここはどうやらタシュハウリ宮殿だったようだ。青いタイルと木造の精緻な彫刻が施された天井が美しい。ハレムもあり見ごたえがある。吸い込まれるようにタイルを見ていると、「スザニ?」「ピクチャー?」と声を掛けられた。そう、ここでもお土産物を売っているのだ!言うなれば松本城の場内で、一般人のお土産物屋が商売しているようなもの。自由すぎる・・・お土産物屋のおばちゃんの横をすり抜け、天井の装飾の写真を撮っていると、「ハロー」と声を掛けられた。「フォト、フォト」学生っぽい集団がニコニコと聞いてくる。一緒に写真に納まると友人が「私らも一緒に撮ってもらお」と携帯を渡し撮ってもらった。普段ならもし携帯を盗られたらと警戒するが、ウズベキスタンでは人の善意が信じられた。(もちろん相手は選んだが) 国は発展していないが貧しそうにも見えない。物乞いも観光地で数人見ただけだ。過剰に警戒しなくていいって気分がいい。
宮殿を出てメインストリートを歩きながら、そろそろ移動のことを考え始める。出発がお昼なので車で軽食を取ろうとお店を探すが、もちろんコンビニなんてない。ここに着いた時門の周りにキオスクのようなお店があったのを思い出し、門の外へ。門の前の広場の脇に、パンが売ってあったので見てみると、どうやらそれでホットドッグを作ってくれるようだ。ジャンボホットドッグとお菓子を買って、一人20000スム。帰りにお気に入りのリプトンのアイスティーを7000スム(ちょっと高い)で買い、準備オッケー。
12時ちょうどにホテルに戻ると、もうタクシーのドライバーが待っていてくれた(感激!!) さっと荷物をトランクに積み込んでくれる。無口だが不愛想ではないおじちゃん。
行き先を告げると車は走り始めた。だいたい6時間くらいかかるらしい。
市街地を抜けると乾燥地帯の一本道。さっき買ったホットドッグを齧りながら1時間くらい走ったところで、道路わきのガソリンスタンドに車は入っていった。トイレ休憩のようだ。用を済ませて車に戻ると、なんとおじちゃんから水の差し入れ。1.5ℓのデカペットを1人1本。ホント自然にハイどーぞって感じでまた感激。いい運転手さんに当たった。
それからは変わらない荒涼とした乾燥地帯をひたすら走る。それでも日本では見ない景色に、始めは脳内に「Born to be wild」が流れ興奮していた。でも2時間もすれば飽きてくる。いつの間にか夢の中。
2時間ぐらい寝たか、車は工事中のガタガタ道を器用に避けながら走っていた。小さな町をいくつか過ぎてゆく。少しブハラに近づいてきたようだ。
6時前、太陽が午後のやわらぎに変わった頃ブハラに着いた。通り沿いの駐車場に車は止まった。ホテルは路地に入ったところらしい。おじちゃんにお礼を言いながら、これから帰るのか心配になった。ちょっと聞いてみると、今日はブハラに泊まるって。よかった!
早速ホテルにチェックイン。重厚な木製のドアを開けると、モザイクタイルであちこちを装飾された華やかなロビーと若いお兄さんが片言の英語で迎えてくれた。
案内された部屋に入ると、あれれのダブルルーム。ツインで予約したと伝えると、他の部屋を開けてくれたが部屋が準備できてなくてお兄さんテンパる。3部屋目でようやく落ち着けた。
部屋はかなり広くてベッドも3台ある。部屋の真ん中でヨガも出来そうだ。(やんないけど) もう夕食時だったので、とりあえず食事に行こうと部屋を出た。
タクシーで降ろしてもらった通りに出ると、地図の記憶を頼りに西へ歩いてみる。すぐに1件のウズベク料理のレストランがあった。
「入ってみる?」お腹がすいていた私たち。そのままレストランに吸い込まれる。
「ハロー」観光客慣れしてそうな愛想のいいお兄さんが、私たちを上の席に案内してくれた。中は見た目よりずっと広く、そしてキレイにタイルで装飾されている。花瓶に大きな造花を飾ってある感じが、ちょっと昭和っぽい。
入って気づいたが、ここはガイドブックにも載っている高級レストラン。ちょっと緊張したが、雰囲気は堅苦しくなく、値段も普通で一安心。
私達の他に、韓国系のカップルと、ウズベク青年のグループがいた。
今日はこっちの人がよく頼んでいるザクロのジュース、ラグマン、サラダとシャシリクを注文。今回も文句なく美味しい食事に満たされ店を出る。
日が傾いてきた街を見ながら、さらに通りを進むことに。
5分も歩くと人通りが増え、石造りにタイルのホテルや遺跡が見えてきた。
奥には池に噴水が上がっている。ラヴィハウズだ。
ラヴィハウズの広場を右手に見ながら通りを進むと、どんどんお土産物屋さんが増えてくる。細かい装飾のお皿、鷺の形の小さなハサミ、イカットのワンピース、スザニの小物・・・どれもカワイくてもっと見たくなる。
キリがないのでここで引き返し、明日見ることに。
ホテルに戻ってついに洗濯をすることに。
旅行を始めてから下着はちょこちょこ洗っていたが、大物はコインランドリーを探そうと思い洗ってなかった。
でもそこそこ都会のこのブハラでも、調べてもなさそうなのだ。
バスルームに浴槽があったのでお湯を張り、持ってきた洗濯洗剤と服を入れ足で踏み踏み。シャワーで使ったバスタオルで水けをきり、部屋干し。小物を干せるハンガーを持ってきてよかった!
これで着る服ができるとちょっと安心。
因みにこの後もウズベキスタンでコインランドリーを見ることはなかった。
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